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【香港】香港の「中国化」に懸念、米諮問機関[経済](2018/11/16)

米国議会の超党派諮問機関である「米中経済・安全保障審査委員会」は現地時間14日、年次報告書を発表し、香港の「中国化」に懸念を示した。中国政府が香港への政治干渉や司法介入を強めている点に言及し、「香港は徐々に中国本土の都市と区別がつかなくなっている」と指摘した。15日付明報など香港各紙が伝えた。

報告書は500ページ余りに上り、香港に関する記述で30ページを割いた。香港の中国化が進む根拠として、香港政府が香港独立を主張する政党「香港民族党」に活動禁止を命じたことや、香港当局が外国人記者クラブ(FCC)副会長の英紙記者の査証(ビザ)更新を拒んだこと、香港―深セン―広州を結ぶ高速鉄道「広深港高鉄」の香港側駅「西九龍駅」で、出入境手続きを1カ所で行う「一地両検」を導入したことなどを列挙。「香港の言論の自由は引き続き脅かされ、高度な自治も弱まっている」と報告した。

中国政府が推進する「一帯一路」政策や、広東省、香港、マカオの経済協力を強化する構想「粤港澳大湾区」、中国と香港の融合加速政策についても取り上げ、「香港の独立的地位を徐々に奪い、米国の利益に影響する」と懸念を表明した。

その上で、「中国のハイテク製造業が米国の国家安全に脅威をもたらしている」と主張し、軍事向けにも転用できる民間ハイテク製品の対中輸出規制策を見直すよう米商務省に提案。香港を独立した関税地域として見なす現行策の存続の是非を検討すべきだと訴えた。

これに対して、香港政府は同日夜に声明を発表。「いかなる形であっても、外国の議会が香港の内政を干渉するようなことはあってはならない」として、遺憾の意を表明した。香港基本法に基づき、香港は独立した関税地域である点を強調するとともに、「香港政府は常に戦略物資に対する貿易制限を行ってきた」と説明し、報告書の内容は「偏見であり、事実無根だ」と反論した。

IT業界選出の莫乃光(チャールズ・モック)立法会(議会)議員は「香港が本土都市とみなされて、米ハイテク技術の香港への輸出に規制がかかれば、国際イノベーションセンターを目指す香港にとって重大な悪影響を及ぼす。香港のビジネス環境にもマイナスだ」と懸念を示した。

会計界選出の梁継昌(ケネス・リョン)立法会議員も「独立した関税地域の地位を失えば、香港にかつてない大打撃を与える。香港の国際金融センターとしての地位も脅かされる」と述べた。

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