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【香港】貿易戦が玩具企業に圧力、来年の受注減も[製造](2018/10/23)

米中貿易摩擦が香港の玩具産業を視界不良にさせている。香港の輸出型玩具メーカー、怡高安迪(香港)の施俊匡・副社長は、「来年は受注が落ち込む恐れがある」と明かした。米国の顧客が調達に慎重となり、発注のペースをこれまでの1年単位から月単位へと短縮させる可能性があるとみている。22日付香港経済日報が伝えた。

玩具産業は、香港の製造業を支える主力業種の一つ。米国の対中制裁関税リストに今のところ含まれていないものの、玩具に使うリチウム電池などが追加関税の対象になっている。

施副社長によると、同社にとって米国は出荷量の15%を占める最大のマーケット。現時点で貿易摩擦の直接的な影響は受けていないものの、制裁関税の対象となった電子製品に関連するサプライヤーがもし倒産すれば、サプライチェーンが断裂され、同社にも影響が及ぶ可能性がある。

香港の玩具メーカーの中には生産拠点を移すことを検討する動きも出ているが、施副社長は「東南アジアはサプライチェーンが未熟なため、工場を移転させることはない」と表明。全ての夫婦に2人目の子どもを認める「二人っ子政策」を追い風に、向こう3年で中国本土市場のシェアを現在の5%から20%に引き上げる目標も明らかにした。

玩具メーカーの業界団体、香港玩具廠商会の陳允誠・副会長も、貿易摩擦が香港の玩具業にもたらす長期的な影響を懸念。「中国は世界の半分超の玩具を生産しており、玩具が制裁関税の対象になれば、その影響は計り知れない」と危機感を示した。

陳副会長によると、玩具メーカーは本土の人件費の上昇を受けて、経営が苦しくなっている上に、多くのバイヤーがここ3年で玩具の買付先をインドやベトナムに広げている。「貿易摩擦がこうした動きを加速させかねない」との見方を示した。

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