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【中国】預金準備率引き下げ、流動性供給を拡大へ[金融](2018/10/08)

中国人民銀行(中央銀行)は7日、大型商業銀行や外資銀行の人民元預金準備率を15日から1ポイント引き下げると発表した。これにより増加する市中銀行の資金を、一部は人民銀貸出の返済に充てさせることで銀行資金の安定性と流動性の質を高め、残る部分は民営企業などへの融資に回るよう誘導する。

預金準備率引き下げの対象となるのは◇大型商業銀行◇株式制商業銀行◇都市商業銀行◇非県域農村商業銀行◇外資銀行——。15日に預金準備率を1ポイント引き下げて流動性を供給すると同時に、同日が償還期限となる中期流動性ファシリティー(MLF)を更新せずに打ち切ることで、増加した資金の一部を人民銀が貸し出した約4,500億元(約7兆4,500億円)の返済に充てさせる。

市中銀行にはMLFの返済後も、約7,500億元の流動性が新たに生まれる見通し。人民銀はこの分の資金について、小規模零細企業や民営企業、イノベーション型企業への貸出を強化するよう各行へ求める。MLFの返済で銀行の資金コストが低下するため、企業の融資コストが下がる効果も見込んでいる。

人民銀は9月26日に開いた第3四半期(7~9月)の金融政策委員会で、「穏健な金融政策は中性を維持する」と表明。その上で「緩和と引き締めの度合いを適切にし、通貨供給のバルブを管理し、合理的で十分な流動性を維持する」との方針を示していた。

人民銀は、今回の預金準備率引き下げは「流動性の供給ターゲットを絞った調整であり、金融政策の方向性に変更はない」と説明。「穏健中性」の方針に基づく「合理的で十分な流動性」を維持するための措置であることを強調した。

為替レートへの影響については、合理的な流動性の供給によって「人民元レートを支える経済のファンダメンタルズがより強固になる」などと指摘。さらなる元安を招くことにはならないとの認識を示した。

預金準備率の引き下げは、今年に入り1月、4月、7月に続く4回目となる。毎日経済新聞(電子版)によると、中国社会科学院世界経済政治研究所の張明研究員(平安証券首席エコノミスト)は「米中貿易摩擦の激化が経済成長に対する貿易部門の貢献を一段と弱めるだろう。輸出の伸びが落ち込めば製造業の投資にも影響する」などとして、今回の引き下げの背景には経済成長の鈍化があると指摘している。

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