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【ベトナム】JICA「極めて遺憾」、円借款報道に[経済](2018/09/05)

ベトナム財務省が「日本の政府開発援助(ODA)案件で雇用する専門家の報酬が高い」などとする報告書をグエン・スアン・フック首相に提出したとの報道を受けて、国際協力機構(JICA)ベトナム事務所は4日までにNNAに広報を通じて「事実関係の確認や具体的な根拠が示されないまま批判がなされている」として一連の報道を「極めて遺憾」とコメントした。

トイバオキンテー電子版などによれば、財務省は2018年度円借款事業審査準備に関する報告書で、円借款で起用する日本人コンサルタントの報酬が高すぎると指摘した。報告書によれば、コンサルタント1人当たりの報酬は月平均額3万米ドル(約333万円)を超えて、他の国・組織の援助による事業に比べて20~25%高く、円借款事業の経費がかさむ原因となっている。また事業総額にコンサルタント報酬が占める比率も、円借款事業では5~8%と、他の国・組織の4.5~6.5%を上回っているとした。

JICAは、トイバオキンテーなどでの「報酬」を人件費として捉えた場合、「円借款案件で外国人コンサルタントの人件費は、日本政府が定める技術者単価を採用しており、報道記事のおおむね3分の1」として事実関係に誤りがあると反論した。

またコンサルタントの人件費以外にかかる渡航費・宿泊費、間接原価・一般管理費などを含んだ場合でも、「平均3万米ドル超という数値の根拠などが不明」と指摘した。

さらに諸経費を含めたコンサルタント費用総額は、JICAの審査結果では、対ベトナム円借款事業の「対総事業費比は約5%、土木工事の詳細設計を伴わない類いの事業のケースでは約2%にすぎない」とした。

■財務省に事実確認を依頼

JICAは財務省が作成した報告書を共有されていないため、報告書自体については「コメントする立場にない」として直接の反論をしなかった。他方で記事については、「日本のODAのみ取り上げ、事実関係の確認や具体的な根拠が示されないまま批判がなされている点、これまでベトナムの社会経済発展に注力してきた立場からは極めて遺憾」とした。報道内容は明らかな事実誤認があるとして、報道元に対して今後の対処を求める予定だ。また財務省にも、報道が出た背景や事実関係の確認を依頼したという。

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