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【香港】MTRC、手抜き工事問題でCEO退任へ[経済](2018/08/08)

香港鉄路(MTR)を運営する香港鉄路公司(MTRC)は7日夕、MTR沙中線の手抜き工事の問題にからみ、梁国権(リンカーン・リョン)最高経営責任者(CEO)が任期満了を待たず退任すると発表した。黄唯銘(フィルコ・ウォン)工程総監は同日付で退任した。

官営放送RTHKによると、馬時亨(フレデリック・マー)会長が同日の記者会見で、香港政府に提出した手抜き工事に関する報告書に誤りがあったことを認め、「MTRCに対する政府の信頼を失墜させるとともに、香港市民に不安を与えた」と述べて謝罪した。

梁CEOは退任の意向をMTRCに申し出た。MTRCは後任探しに着手する。梁CEOは2015年3月から現職を務めていた。

政府運輸・住宅局の陳帆(フランク・チャン)局長はMTRCに先立って行った記者会見で、沙中線の手抜き工事の問題が深刻な状況にあるとして、MTRCに対してプロジェクトに関わる職員を処分するよう求めたことを明らかにした。

■地盤沈下の監視64カ所を公開

MTRCは6日、地盤沈下の監視を行っている鉄道関連施設64カ所のリストを公開した。このうち3カ所では、あらかじめ想定した範囲を超えるか、それに近い沈下が確認されたため、周辺での建設工事を中断した。7日付サウスチャイナ・モーニングポストなどが伝えた。

64カ所のうち、監視対象が最も多い路線はMTR西鉄線の15カ所。このほか、◇観塘線=7カ所◇セン湾線(セン=草かんむりに全)=4カ所◇港島線=9カ所◇南港島線=1カ所◇将軍澳線=3カ所◇東涌線とエアポート・エクスプレス(機場快線)=6カ所◇東鉄線と馬鞍山線=11カ所◇軽鉄道(軽鉄、ライトレール=LRT)=8カ所――となっている。

リストによると、東鉄線大囲駅上部の物件開発では、工事中断の基準となる20ミリメートルを上回る23ミリの沈下が確認された。LRT天栄駅近くの天水囲の住宅物件開発では、基準の80ミリを超える90ミリの沈下。西鉄線・元朗駅付近の「グランドYOHO」の物件開発では沈下が16ミリとなり、基準の20ミリに迫っていた。これら3カ所では工事を一時中断した。

一方、香港政府は新たな監視体制を整える。政府の報道担当官によると、屋宇署が鉄道保護エリア内の民間開発物件の着工を認めるにあたり、機電工程署(機電署)とMTRCの両方に通知する。こうすることで、MTRCは工事の監視計画を立てる時間を得られるとしている。

政府は、地盤沈下が工事中断の基準に達したからといって、必ずしもその鉄道施設が危険だというわけではないと説明した。

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