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経営者なら知っておきたい資産運用の専門家「IFA」とは?

資産形成や資産運用を行うとき、あなたは誰に相談していますか? 欧米ではIFAと呼ばれる独立系ファイナンシャルアドバイザーに相談しながら、長期的な資産運用を行うことが広く浸透しています。
今回お話をうかがったのは、今注目のIFA法人・ファイナンシャルスタンダード株式会社の福田猛代表取締役。日本でも広まりつつあるIFAの活用法から会社としての運用方針まで、聞いてきました。
(聞き手・仙石実・公認会計士、税理士/構成・Tokyo Edit 大住奈保子)

「IFA」とは実務も行う資産運用のアドバイザー

(仙石)欧米では一般的だといわれるIFA(Independent Financial Adviser)ですが、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか。

(福田)IFAとは、簡単に言えば金融商品の仲介業です。たとえば、弊社はインターネット専用の証券会社である楽天証券と業務委託契約を結んでおります。楽天証券には店舗がないため、お客様が直接相談できるアドバイザーもいません。それがビジネス上のネックになることも多かったそうです。

このような場面でIFAをご利用いただくと、商品をお客様に直接ご説明するという“実務”を提供できるのです。IFAは財務局への登録を行っておりますので、信頼度という面でも安心して利用できます。

ファイナンシャルプランナーという職業もありますが、こちらはアドバイスを行うだけで、実務を提供することはできません。その点IFAならアドバイスから売買などの実務までワンストップでサポートでき、効率的でもあると思います。

(仙石)そうなのですね。御社では資産形成のゴール(目的)を設定してから運用を行うとお聞きしましたが、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

(福田)資産運用においてゴールを重視しているのは、運用のプロセスにおいてお客様にご安心いただきたいと考えているからです。もともとは将来予測に基づいた「マーケットベースアプローチ」という手法でお客様へのご提案を行っていたのですが、ある時点からゴールを重視した「ゴールベースアプローチ」に変えました。

マーケットベースアプローチというのは「トランプ政権の発足で今後はこのような動きが予測されるので、こういう資産配分をしたほうがいい」というような、世の中のマーケット動向や将来予測に基づいたご提案のことです。
しかし、将来予測はあくまでも予測ですから、常に当たるわけではありません。これではお客様は安心できないだろうと考えたのです。お客様からの信頼も上がり、会社としての大きな成長にもつながりました。

(仙石)具体的には、ゴールをどのように設定されるのでしょうか。

(福田)長期のゴールと短期のゴールの両方を設定しております。長期のゴールでは、リタイアするまでにどのように資産を形成するのかというのが、ひとつの大きな区切りになります。
短期のゴールでは、手元にある程度の資金があり、その資金を年間にどのくらい増やしていくかというものが代表的です。いずれにしても、数値で具体的にゴールを設定するのが大切です。

ゴールの設定においては、なるべくリスクを排除して、長期間安定的に運用していただくという視点で考えます。そのため弊社では、定量評価だけでなく定性評価も取り入れて、分散投資のポートフォリオを研究しております。

(仙石)定性評価とはどのようなものなのでしょうか。

(福田)たとえばポートフォリオの中に日本株を20%組み入れるとき、それをインデックスで組むのかアクティブで組むのか。ここに定性評価を取り入れております。株で運用を行う投資信託なら、運用のチーム体制も徹底的にチェックします。

銘柄を選定しているアナリストやファンドマネージャーが企業を訪問せず、二次情報のみで投資をしている場合は、注意が必要です。実際に経営者と会って話を聞かないと見えてこない面というのは、たくさんあるからです。一次情報を得ているファンドマネージャーとそうでないファンドマネージャーでは、パフォーマンスにもおのずと開きがでてきてしまいます。

弊社ではこうした定性的な側面までチェックを行い、定量的な分析だけでは出せないリターンも見に行けるようにしています。運用の世界では「コストが安いものがいい」風潮もありますが、それよりも重視すべきは「パフォーマンスが出ているか」です。このような観点から、安かろう悪かろうの商品ではなく、投資に見合ったリターンを得られる商品をお勧めしております。

「安心」と「結果」を両立する資産運用の秘訣とは

(仙石)他社にはない、御社ならではのサービスはございますか。

(福田)お客様が運用に求めるのは、「プロセスにおける安心感」と「結果」の2つだと思います。弊社ではこの2つにフォーカスしたサービス構築を行っております。
「プロセスにおける安心感」と「結果」を高いレベルで維持している職業として、私の頭に一番に浮かんだのが医師でした。そのため弊社では医師の業務をモデルとした「カルテ」と「カンファレンス」という仕組みがあります。

ご相談を受けたらカルテを作成し、ヒアリング内容を記録します。そして、その内容をもとに専門家を集めて会議を開きます。大学病院などでは患者さんの治療方法を決める際に、さまざまな分野の医師が集まってカンファレンスを開きます。弊社でもこれと同じようにマネーの専門家が意見を出し合い、ご提案内容を精査するのです。

(仙石)それぞれの分野の専門家に相談できるというのはうれしいですね。

(福田)そうなんです。また「結果」という面では、われわれは「目利きができる料理人」を名乗っています。どんなによい野菜(=金融商品)でも、調理方法(=運用方法)や組み合わせを間違えばおいしく食べることはできません。

われわれの役割は運用会社を徹底的にリサーチし、お客様のゴール(目的)に合った商品の組み合わせを提案するという“目利き”です。たしかな目利き力で、お客様に安心と結果をご提供できる。これが他社のIFAにはない弊社ならではの特長だと考えております。

ご相談の内容によっては、担当者や会社からのサポートだけでは不十分な場合もあります。そのため弊社では、相続対策や不動産関連の専門家とのチーム体制を整えております。
担当者と会社、そしてチーム。この3つのサポートによりコンサルティングの質を高めているのです。

「人にフォーカスすること」が企業を存続させる

(仙石)ファイナンシャルスタンダード株式会社の設立のきっかけになったのは、どのようなことだったのでしょうか。

(福田)IFAについては、証券会社勤務時に業務上でお会いしたファイナンシャルプランナーの方から話を聞いてはじめて知りました。「これはすばらしい仕組みだな」と感動しました。

長期的に投資家の方々をサポートするという仕事には、もともとやりがいを感じていました。ただ、金融の世界では少人数で事業を行うのが難しいのではないかという思いがあり、踏みとどまっていました。

IFAという仕組みなら、インフラを証券会社から提供してもらうことができます。証券会社を自分で作るのは難しくても、これならできるのではないかと思いました。
また、コストを劇的に下げることができるのも、IFAのメリットです。この仕組みを使えば、お客様によりよいサービスを提供できると考えました。

当時の日本では、IFAがまったく浸透していませんでした。そのため、この仕組みを日本に取り入れるにはどうすればよいかについては、確固としたイメージがあったわけではありませんでした。ただ、これを使えばきっといいことができる。そういう確信だけを頼りに、私と妻ともう1人のスタッフの3人で、2012年の秋に会社を設立しました。

(仙石)企業ではいろいろなところで、事業承継や相続などの話が出てくるかと思います。福田様は事業を継続させるために、どのようなことが大切だとお考えですか。

(福田)やはり、自分たちが何で一番を目指すのか、何を一番大切にするのかを明確にすることですね。「なんでもできます」というのでは、お客様にとっては「よくわからない会社だな」という印象になってしまいます。「われわれはこれでNo.1になるんだ」という分野を決めたほうがいいと思います。
あとは「人」を大切にすること。「人」とはお客様はもちろん、従業員や関係者を含めた全員です。この2つが浸透すると、おのずと長く続く会社になるのではないでしょうか。

事業承継においては、創業社長の価値観を引き継げる人を選び、事業の根本となる考え方を継続させることが大切です。しかし、進化がないと継続はありません。先代の失敗を客観的に分析して必要であれば軌道修正し、進化を遂げていける人がいいと思います。

(仙石)御社の企業理念と、今後の展望をお教えください。

(福田)企業理念は「人にフォーカスする会社」です。人と人とが掛け算になって価値を生み出し、影響を及ぼしあいながら成長していけるように、という思いが込められています。

これからの金融業界では、ロボットアドバイザーやFintechがどんどん普及していくはずです。しかしロボットとは違い、ときには非合理的な行動をしてしまうのが人間です。資産運用においても、こうした心の機微が分かる人間の力が重要だと考えております。

たとえば「積立」という資産形成法がありますが、これは途中でやめてしまう方が多いことで知られています。相場が悪くなっても継続したほうがいいというのは誰もが知る常識ですが、それでも止めてしまうのです。

長期的に運用を続けていただくには、こうした人間らしい行動を織り込んだコンサルティングが必要不可欠です。テクノロジーが進化しても、人間の力は大きな価値を持つ。弊社の企業理念には、こうした信念があらわれているのです。

今後はこの理念を大切にしながら、日本全国に拠点を広げていきたいと考えております。より多くのお客様の資産運用をお手伝いできるのが、本当に楽しみですね。


<プロフィール>
福田猛(ふくだ・たけし)
同志社大学卒業後、2003年大和証券株式会社入社。資産コンサルティングに従事。2012年ファイナンシャルスタンダード株式会社設立。 著書に「金融機関が教えてくれない本当に買うべき投資信託」(幻冬舎)がある。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系フィナンシャルアドバイザー総合1位を受賞。