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「経営は奇跡を起こす」渡邉美樹氏に聞く 成功する経営者の7つの条件

ワタミ株式会社の創業者としてだけでなく、参議院議員としての活動や教育・介護への取り組みでも知られる経営者としても知られる渡邉美樹氏。これまで数々の経営者と接してきた渡邉氏に、成功する経営者に共通する7つの特徴をお聞きしました。
(構成:Tokyo Edit 大住奈保子)

欲の強さが成功への原動力になる

私は自分自身も経営に携わっておりますが、その中でいろいろな企業の経営者とお会いし、お話を伺う機会もたくさんありました。また、政治家としての活動も始めたことで、経営というものをより客観的に見ることができるようになったと思っています。
そのような経験の中で、経営に成功するために必要だと感じた要素を7つ、紹介させていただきます。

まず1つめ、私は最初にあげたいのは「欲の強い人」です。お金持ちになりたい、いい車に乗りたい、別荘を持ちたい。そんな強い気持ちが人を成功させる原動力になるからです。

私自身のことを考えても、創業のきっかけになったのは「絶対にお金持ちになってやる」という思いでした。小学校5年のときに父親が会社を清算して、ものすごい貧乏を味わったんです。靴も靴下も買えなければお弁当のおかずも少ししかない。友人とお昼休みを過ごすのも辛い日々でした。でもそんな辛い経験がバネになって、「社長になって成功する」という決意をさらに強くしてくれたと思うのです。

世のため人のためといった「他の人の欲」も、こうした自分の欲の延長線上にあると思うのです。それを満たすためにも動けるということも、経営者としてとても大切なことです。

私は仙人ではありませんから、自分が得たコップの水を全部人に渡して0にするなんてことはできません。でもコップの大きさは必ず一定にしようと思っています。
コップの大きさが一定なら、利益が大きくなって水があふれたとき、それは社員にいきわたります。これが関連会社や取引会社、地域社会にまでいくようになれば、最後には発展途上国の子どもたちにも水がいくと思うのです。

自分への欲だけでとどまる人は、経営者としても二流で終わってしまいます。水をどんどんあふれさせて、世界中の人たちを幸せにしたい。一流の経営者を志すのならば、そのくらいの規模の欲を持ってもいいのではないでしょうか。

成功するビジネスは「イメージ」から生まれる

2つめは「想像力のある人」だと思います。これはイメージする力ということです。
居酒屋経営の原点となったのも、自分の中にわいてきたイメージでした。イメージしたのは、あたたかな家族の食卓でした。私は10歳のときに母親を亡くし、父親も仕事で忙しくてあまり家にいなかったものですから、家族団らんの経験がないのです。だからこそ店をはじめたときは、あたたかなもうひとつの家庭の団らんを提供したいと思っていました。

ひとつのおかずをみんなで取り合って、お父さんはそれで1杯やる。それが家庭の団らんじゃないですか。居酒屋はそれを実現できる場所だったんです。
もちろん料理は手作りで、安心できる食材を使ったものにこだわりました。農薬漬けの野菜で作った冷凍食品であたたかい食卓は再現できないと思ったからです。また、私がイメージする食卓はおじいちゃんもおばあちゃんもいる大家族のものでしたから、それぞれ好みに合うよう品数は多くないといけません。料理には季節感も必要ですし、当然安くなければいけないと思っていました。

もちろんイメージを実現するのは容易なことではありません。でも、私はできないことをできるようにするのが経営だと思っています。だからこそ、お客様は価値を感じるわけですよ。
安価でおいしい手作りの料理を提供するために3,000人にものぼる主婦のみなさんの力をお借りし、安心・安全な野菜を手に入れるためにみずから農地を取得して農業まではじめました。それもこれも、すべては最初の想像力、イメージから生まれてきたことです。

どういう世界を作りたいのか。その世界をつくるために、考えつく限りの創意工夫、試行錯誤ができるか。私はそれが経営者として成功する人の条件だと思います。

3つめは「数字に強い人」です。私はいつも「夢に日付を入れなさい」と言っています。これによって夢と現実との差が明確になりますし、その差を日数で割ってしまえば今日やらなくてはいけないことも自然と分かるからです。

しかしそれだけではダメで、本当に夢を実現するためには、裏側にある数字の動きにも敏感でなければいけません。つまり、何かをするためにどれだけの投資が必要で、どこからお金を借りてこないといけなくて、そのときのバランスシートや損益計算書はどうなっているのかということが、スラスラと出てくるかどうかということです。

歌手なんかでよく「一発屋」と揶揄される人がいますよね。経営者も同じで、たまたまいいアイデアを持っていたとかでまぐれで1回だけ成功することは簡単なんです。しかしその先会社が続くかどうかは、経営者が明確な数字を根拠にして、先ほど言ったような経営計画を頭の中に描けているかどうかにかかっているのです。

利益を超えて大事にしたいものがある人は強い

4つめは「危機意識の強い人」です。これは常に安心しないということです。すべてのことにおいて「大丈夫かな」といつも心配する。それが経営ではないでしょうか。
経営では、売り手や仕入先はもちろん、売り先であるお客様も常に変化します。たくさんの競合にも囲まれているはずです。常にそれだけの不安要素に直面していたら、安心なんかできるわけがないのです。

ワタミは今、経営危機と言える状況に陥っています。会計基準の変更など小さな要因はいろいろとありましたが、根本的な原因は、私が経営陣に対して「大丈夫だから」と言って安心させてしまっていたことにあると思っています。
経営というものは、安心したら終わりです。常にビクビクしている人、危機感を持っている人が、長期的な成功を収められると思います。

5つめは「売上の利益以上に大事なものを持っている人」です。会社は慈善事業ではありませんから、利益はもちろん大事です。でも利益を超えて大事にしたいもの持っているということが、経営者としてはとても大事だと思っています。

たとえば私が利益以上に大事にしているのは、自分が心からやりたいかどうかということです。ワタミの経営も介護事業への挑戦も、根本にあったのはその思いでした。利益だけ考えていたら、手作りの料理や有機野菜にこだわるわけがないですし、ましてやなんの経験もない介護の世界に飛び込もうとも思わなかったと思います。

でも、私の中には「自分ならもっとお客様によろこんでもらえるものを提供できる」という確信がありました。冷凍食品ばかり出す店より手作りで品数が多い店のほうがいいし、入浴も食事も機械的にこなす介護よりも、たきたてのごはんを食べてもらい、毎日ひのき風呂に入ってもらう介護のほうがずっといい。そういうイメージが明確にわいていたので、たとえお金がかかって商売としては効率が悪かったとしても、やるという選択肢しかありませんでした。

もし頭でばかり考えていたら、どちらも絶対に思いつかなかったことだと思います。利益を超えた経営者の思いというのは、本当に大事だと思いますね。

会社経営をするからこそ生まれる奇跡がある

そして6つめは「あきらめが悪い人」です。経営なんて、全部が全部うまくいくわけがないんですよ(笑)。だから、幾度も訪れる「もうダメだ」という局面を乗り切れる人でないといけないんです。

私もそういう経験はこれまでに何回かありました。最初のピンチは3店舗めを出した頃ですね。最初の2店舗が成功して調子に乗っていた私は強気でしたが、ふたを開けてみれば700万が損益分岐点のお店で200万しか売れないという大失敗。キャッシュが回らなくなってつり銭さえもなく、銀行に入れるべきお金をかき集めて月末の支払いをしのいでいました。
そのときは当時お付き合いのあった酒屋さんが2000万円現金で貸してくださり、なんとか持ち直すことができました。その後ワタミをはじめてからも、お店をつぶすかつぶさないかというピンチが訪れたこともありましたが、私は決してあきらめず、悪あがきを続けました。そうしたら半年後くらいには徐々に好転していったんです。

「ああダメだな」というときに萎えたら終わりです。そこを超えられる人でないとダメだと思いますね。

最後の7つめは「運がいい人」です。これが一番かもしれないというほど、大事なことだと思います。

ワタミの前に店舗を出していたつぼ八も、友人と歩いていて偶然見つけたんです。その友人とは私が起業をしたら一緒に店をやろうと約束していた仲でした。そんなときにつぼ八の求人募集を見つけて「この店に入ればすごく勉強になるぞ」という話になって友人がつぼ八に入社し、私自身もその後つぼ八で店舗を出すことになりました。

もしこのときつぼ八の前を通りかかっていなかったら、ワタミをはじめることもなかったでしょう。また、つぼ八とのご縁によって、恩人とも言うべき多くの方々と出会うことができました。その後も「もしあの人に出会っていなかったら」という出会いばかり。これは運がいいとしかいいようがありません。

私は運というのは「神様がその人を応援してくれている力」だと思っています。神様に味方してもらおうと思えば、日ごろの行いにも気をつけるでしょう。人のためになるようなことをしようと思うでしょう。そういう心の持ち方自体が、運を引き寄せるのだと思います。


経営者になろうというみなさんは、きっと自分なりの夢をお持ちでしょう。ぜひ、それを大事にしてください。なぜなら、夢は奇跡を起こすからです。
会社経営もそれ自体がひとつの夢だと思います。経営者がいなかったら働く人もいないし、仕事を通じて作られる思い出もなく、よろこんでくださるお客様もいない。どれもこれも、みなさんが経営をするからこそ生まれた奇跡なんです。ぜひこれからも経営を続けて、そんな奇跡を起こし続けていただきたいと思います。


【プロフィール】
渡邉美樹(わたなべ・みき)

1959年生まれ。小学校5年生の時、父親が経営する会社を清算したことから「自分は将来、社長になる」と決意する。明治大学を卒業後、財務や経理を習得するため、経理会社に半年間勤務。その後1年間運送会社で働き資本金300万円を貯める。1984年ワタミを創業。2000年東証一部上場。「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念のもと、外食・介護・宅食・農業・環境など、人が差別化となる独自の「6次産業モデル」を構築してきた。

個人として、「医療法人盈進会岸和田盈進会病院」理事長、日本経団連理事、政府教育再生会議委員、神奈川県教育委員会教育委員、日本相撲協会「ガバナンスの整備に関する独立委員会」委員、観光庁アドバイザーを歴任。現在、「学校法人郁文館夢学園」理事長、「公益財団法人みんなの夢をかなえる会」代表理事、「公益財団法人School Aid Japan」代表理事として、カンボジア・バングラデシュの学校建設・孤児院運営にも携わり、現在合計225校(2014年度末)の教育支援に携わる。

2011年行政に経営を持ち込むため東京都知事選に立候補。101万票を獲得するも落選。
同年6月、岩手県陸前高田市参与(震災復興支援)に就任。
2013年1月「ユヌス・ソーシャルビジネス」の育成・支援を行い、社会問題の解決に寄与することを目的に「一般社団法人ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズ」代表理事に就任。
同年7月、参議院選挙(全国比例区)において、104,176票という貴重な全国の皆様のご支援をいただき当選。
「中小・零細・ベンチャー企業の支援と育成」に着眼し、「実体経済の成長」を最優先事項と捉え活動を開始。実名企業小説「青年社長 上・下」「新青年社長 上・下」(高杉良著)の実在モデルでもある。

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