『仕事』ではなく『志事』。新興国で“留職”すれば一皮向けた人材に

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『マスターズインタビュー』今回のお相手は、NPO法人クロスフィールズ代表理事・小沼大地さん。

小沼さんは、2011年にビジネスパーソンが、新興国のNPOや企業とともに、本業を生かして課題解決に挑むプログラムを展開する、NPO法人クロスフィールズを創業。

このプログラムは、留学の「留」に、職業の「職」で、「留職」と呼ばれ、これまで、多くの留職者を新興国に派遣してきた。文化放送『The News Masters TOKYO』のパーソナリティ・タケ小山が迫った。


起業のきっかけ

タケ:
起業しようと思ったきっかけは何でしょうか?

小沼:
青年海外協力隊から日本に帰って来たら、先に就職していた大学時代の友人たちが、昔持っていた目の輝きを失っていました。

むしろ途上国の人たちは幸せに働いているなと思い、そこにギャップを感じました。そこで日本のビジネスパーソンに対して、仕事に対する想いを持ち直してほしいと思ったのが起業のきっかけです。

そんな小沼さんの青年海外協力隊での舞台は中東・シリア。

最初に携わったのは、人口2000人ほどの貧しい村で「牛を買ってミルクを絞って売る」、「ミシンを買って裁縫の仕事をする」といった小さな事業を始めようとする人にお金を貸す小口の融資のプロジェクトであった。

そうした事業に精を出すも、志半ばにして事業を変えないといけない状況に直面。次は、自分で仕事を探して、小学校向けの環境教育のプロジェクトを現地で立ち上げた。

ゼロからのアラビア語、さらに全く見ず知らずの場所、全く知らない人たちに囲まれた中で、仕事を自分で作るという過酷な体験をした。

このときなんと齢23歳。

この経験から小沼さんは「どんな状況でも、なんとかなる」という自信を得たという。

タケ:
クロスフィールズの起業当初は、苦戦したと聞きます。どう苦戦しました?

小沼:
留職は、大企業としては前例がないから、『他で実績を積んでから...』と断られること100社以上。1年以上、箸にも棒にもかからないという状況が続きました。

そうした苦戦を強いられた中で、初めて賛同してくれたのが、日本が世界に誇る企業『パナソニック』。

営業をするときには、パナソニック含めて数社「絶対にやってもらう!」という気持ちで意気込んでいた小沼さん。当時をこう振り返る。

小沼:
パナソニックがやるといえば、ニュースになる。そうでないと、留職が波及しないと考えていました。


留職について

100社以上断られた末に、大企業パナソニックの成約へと至った小沼さん。

記念すべき1件目の留職体験者は、パナソニックのデザイナーであった。

そもそも、留職は、どのような手順で進められたのだろうか?

小沼:
どういう仕事をして、どこに行きたいのか、会社としてはどんなリーダーを育てたいのか、等のお話を聞いて適切な団体をアレンジします。

その時の留職先はベトナムのダナン。

電気も通っていない場所で、「太陽光で加熱ができる調理器具」を作る団体、その団体の製造コスト削減プロジェクトに参加してもらったのだ。

結果として、理論上はコストを15%下げられる試作機を製作し帰国、現地から感謝されたのはもちろんのこと、留職したデザイナーはその後、2017年に新規事業を成功させ、自分が作った製品を発表。

イノベーションを起こせる人材へと成長したのであった。

タケ:
留職することで、全員がハッピーになる?

小沼:
現地の団体と日本の企業にWIN-WINが届けられる。これが我々の留職プログラムだと思っています。

つまりそのWIN-WINとは…

●現地→日本企業が持っている固有のスキル、経験が活かせる。すなわち国際協力。

●企業→イノベーションを起こせる人材、グローバルに活躍できる人材をつくれる。すなわちリーダーの育成。

ということ。これまでに、約35社・135人ほどがアジア10カ国の留職プログラムに参加したという。

他には、どんな事例があるのかというと…

留職例1:
自動車メーカーの研究者inインド→ソーラーエネルギーを使った新しい機織り機の新製品の設計。

留職例2:
製薬メーカーのMR inインドネシア→薬局の立ち上げプロジェクト。

留職例3:
人事担当inカンボジア→とある小さな工場の人事制度をゼロから作る。

エンジニア、営業、人事などそれぞれの専門性をいかして現地に貢献し、そしてさらに一皮むけた人へと変貌を遂げていくという。


仕事は『志事』だ

タケ:
小沼さんは、『仕事は志事だ』と仰っているそうですが、どういうことですか?

小沼:
通常であれば、『仕える事』と書いて仕事。やらなければいけないことのためにやるということですが、個人的には、働く事を通じて、『自分の想いや情熱を実現できている』(志事)と感じている人が増えてほしいと思っています。

自分の仕事が、社会にどんな影響を与えているのか、ここに実感が持てていると、特に35歳以下の社会貢献実感に関して渇望感を持っているような、ミレニアル世代にとって大きいという。

小沼:
大きな組織の中で働いていると、自分の仕事が社会とのつながりを感じにくく、お客様と会ったことがないという人が結構います。これではやっぱり、モチベーションが持てなくなってしまいます。

お客とのつながりについて、小沼さんはさらに続ける。

小沼:
一方で、留職で途上国のニーズだらけの現場に行って、自分の仕事がどう生きるかパッとわかって『おお、ありがとう!君は魔法使いか!?』と言われると、自分の仕事がこんな風に役に立つのかと確認できて、小さな組織の中で、社会と自分の仕事のつながりを感じることができます。

そうすると、日本に帰ってからも、社会とのつながりを想像することができるのです。


(後編:「企業が“留職”を体験させる理由。リーダーに必要な5つのスキル 」


文化放送『The News Masters TOKYO』のタケ小山がインタビュアーとなり、社長・経営者・リーダー・マネージャー・監督など、いわゆる「リーダー」や「キーマン」を紹介するマスターズインタビュー。音声で聞くには podcastで。
The News Masters TOKYO Podcast
https://itunes.apple.com/jp/podcast/the-news-maste...

文化放送「The News Masters TOKYO」http://www.joqr.co.jp/nmt/ (月~金 AM7:00~9:00生放送)
こちらから聴けます!→http://radiko.jp/#QRR
パーソナリティ:タケ小山 アシスタント:小尾渚沙(文化放送アナウンサー)
「マスターズインタビュー」コーナー(月~金 8:40頃~)

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