【マレーシア】19年4Qの住宅価格は低下、今年も下落傾向[建設](2020/02/20)
マレーシアの住宅市場は、引き続き買い手主導で推移する見込みだ。不動産情報サイト大手、プロパティーグルはこのほど、住宅の提示価格を集計して算出したプロパティーグル・マーケット・インデックス(PMI)が、2019年第4四半期(10~12月)は88.9(16年第4四半期=100)だったと発表した。前期からは1.04ポイント、前年同期から4.81ポイントそれぞれ低下した。17年初頭からの指数の下落傾向は今年も続くと予想した。
プロパティーグルは、PMIを四半期ごとに、同社サイトに掲載する25万戸以上の住宅の提示価格に基づいて算出している。
19年第4四半期の地域別PMIは、クアラルンプールが94.90と、前期から1.35ポイント、前年同期から2.75ポイントそれぞれ低下。スランゴール州は91.43で、前期比0.08ポイント、前年同期比4.28ポイントそれぞれ低下。ペナン州は95.39で、前期比0.35ポイント、前年同期比1.97ポイントそれぞれ低下。ジョホール州は99.59で、前期比1.53ポイント、前年同期比2.58ポイントそれぞれ低下した。
一方、供給量(同社サイトに掲載された物件数)を示す指数は348.84と、前期から21.36ポイント、前年同期から83.08それぞれ上昇した。地域別ではクアラルンプールが343.02と、前期から28.8ポイント上昇。スランゴール州が346.14で26.91ポイント、ペナン州が173.87で0.94ポイント、ジョホール州が551.42で25.32ポイントそれぞれ上昇した。
プロパティーグルは、ペナン州では、ペナン島で入手可能な土地が減少傾向にあることから、在庫の伸び率は鈍化傾向にあると説明。ジョホール州では、クアラルンプールやスランゴール州より住宅の供給過剰傾向が強く、前期から価格は下落したと分析した。
今後の見通しについて、プロパティーグル・マレーシアのカントリーマネジャー、シェルドン・フェルナンデス氏は、マレーシア中央銀行が1月に政策金利となる翌日物政策金利(OPR)を3.00%から2.75%へ引き下げたことに言及し、「住宅ローンの金利低下などが見込まれるため、不動産の購入希望者にとっては入手の好機になる」と指摘。住宅購入方式「レント・トゥ・オウン(RTO)」の導入とともに、短期的に買い手市場が続くとみている。
RTOは一定期間にわたって賃貸料を支払い、その物件に住み続けることで所有権を得るシステム。住宅購入の余裕がない若年層などが主な対象となっている。
新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大による影響は微少と予想。「ペナン州を中心に外国人による不動産購入は順調に推移する」との見方を示した。