【カンボジア】シアヌークビル賃料下落、カジノ規制が影響[建設](2020/02/10)
カンボジア南部シアヌークビルの地価下落に伴い、住宅の賃貸料が急落している。今年から施行されたオンラインカジノ規制が不動産市場の低迷につながっているもようだ。クメール・タイムズ(電子版)が伝えた。
昨年まで、シアヌークビルではカジノ関連投資の活発化に伴って不動産需要が拡大。地価の上昇とともに賃貸料も高水準を維持していたが、地場の不動産会社キー・リアルエステートは、一戸建て住宅を中心に家賃の下落が著しいと報告した。
同社のソン・シプ最高経営責任者(CEO)は、オンラインカジノの規制が不動産市場の低迷に大きく影響したと説明。現在の一戸建て住宅の平均家賃は月2,000~6,000米ドル(約22万~66万円)と、規制前の月8,000~1万6,000米ドルから大幅に下落していることを明らかにした。
賃料下落の背景には、オンラインカジノ規制後の地価の急落がある。米系不動産仲介大手CBREカンボジアは、カジノ規制前の海岸地区の地価が1平方メートル当たり800~1,200米ドル、中心部では同1,200~1,300米ドルだったが、規制後には最大で3割の下落を記録したと報告した。
カンボジア不動産鑑定士・不動産業者協会(CVEAA)のチレク・ソクニム会長は、シアヌークビルの地価が再び上昇する可能性は低いと予想。「賃貸物件市場は過去数年間で大きな危機に直面している」との見方を示した。
米不動産会社ケラー・ウィリアムズをカンボジアでフランチャイズ展開する、KWカンボジアのキム・ヘアン地域運営代表も、シアヌークビルを中心とした不動産市場の低迷を懸念。「建設・不動産分野は、国内経済をけん引する重要な産業。観光やサービスなど、他の成長産業の発展にも影響する可能性がある」と指摘した。