簡易課税制度
[平成30年4月1日現在法令等]
(平成31年分以降の元号の表示につきましては、便宜上、平成を使用するとともに西暦を併記しております。)
1 制度の概要
消費税の納付税額は、通常は次のように計算します。
課税売上げ等に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額
しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」という。)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。
この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等(注)、サービス業等、不動産業及びその他の事業の6つに区分し、それぞれの区分ごとのみなし仕入率を適用します。
みなし仕入率
- 第一種事業(卸売業)90%
- 第二種事業(小売業)80%
- 第三種事業(製造業等)70%
- 第四種事業(その他の事業)60%
- 第五種事業(サービス業等)50%
- 第六種事業(不動産業)40%
(注) 平成31年(2019年)10月1日を含む課税期間(同日前の取引は除きます。)から、第三種事業である農業、林業、漁業のうち消費税の軽減税率が適用される飲食品の譲渡を行う事業を第二種事業とし、そのみなし仕入率は80%(現行70%)が適用されます。
2 仕入控除税額の計算
(1) 基本的な計算の方法
- イ 第1種事業から第6種事業までのうち一種類の事業だけを営む事業者の場合
(算式)
- ロ 第1種事業から第6種事業までのうち2種類以上の事業を営む事業の場合
- (イ) 原則法
- (ロ) 簡便法
次のA及びBのいずれにも該当しない場合は、次の算式により計算しても差し支えありません。
- A 貸倒回収額がある場合
- B 売上対価の返還等がある場合で、各種事業に係る消費税額からそれぞれの事業の売上対価の返還等に係る消費税額を控除して控除しきれない場合
(2) 特例の計算
- イ 2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。
- ロ 3種類以上の事業を営む事業者で、特定の2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の課税売上高の75%以上を占める事業者については、その2業種のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高については、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上げに対して適用することができます。
例えば、3種類以上の事業を営む事業者の第1種事業及び第2種事業に係る課税売上高の合計が全体の課税売上高の75%以上を占める場合の計算式は次のとおりです。- (イ) 原則法
- (ロ) 簡便法
次のA及びBのいずれにも該当しない場合は、次の算式により計算しても差し支えありません。
- A 貸倒回収額がある場合
- B 売上対価の返還等がある場合で、各種事業に係る消費税額からそれぞれの事業の売上対価の返還等に係る消費税額を控除して控除しきれない場合
(3) 事業区分をしていない場合の取扱い
2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。
3 簡易課税制度の届出
この制度の適用を受けるためには、納税地を所轄する税務署長に原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要です。
「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となっている場合、又は新設法人に該当する場合で調整対象固定資産(注1)の仕入れ等を行った場合は、一定期間「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出できない場合があります。詳しくは、コード6501納税義務の免除及びコード6503基準期間がない法人の納税義務の免除の特例をご参照ください。(注2)
この「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、原則として、2年間は実額計算による仕入税額の控除に変更することはできません。
また、簡易課税制度の適用をとりやめて実額による仕入税額の控除を行う場合には、原則として、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があり、とりやめる課税期間の初日から課税仕入れ関係の帳簿及び請求書などを保存することが必要です。
なお、簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できませんのでご注意ください。
(注1) 「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で一の取引単位の価額(消費税及び地方消費税に相当する額を除いた金額)が100万円以上のものをいいます。
(注2) 平成28年4月1日以後に課税事業者が、高額特定資産又は自己建設高額特定資産の仕入れ等を行った場合は、当該高額特定資産等の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から一定の期間について、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用が制限されます。
詳しくは、コード6502 「高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除等の特例」をご参照ください。
(注3) 平成31年(2019年)10月1日から、平成32年(2020年)9月30日までの日の属する課税期間については、その課税期間中までに提出することで簡易課税制度の適用を受けることができます。
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(消法30、37、消令57、平28改正法附則11の2、38(4))
出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm)