値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(仕入れに係る対価の返還等)
[平成30年4月1日現在法令等]
商品を購入した事業者がその取引を行った後に、販売業者から仕入値引きを受けたり、仕入割戻金や販売奨励金の支払を受けたり、仕入れた商品について販売業者へ返品をしたこと等により買掛金の減額等を行う場合には、商品を購入した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。
その調整方法等は次のとおりです。
1 調整を行う必要がある事業者
国内で課税仕入れを行った事業者で免税事業者でないもの
2 調整が必要な取引
国内で行った課税仕入れに該当する取引に基因して受け取る次のもの(以下「仕入れに係る対価の返還等」といいます。)が調整の必要な取引となります。
- (1) 返品
- (2) 値引き
- (3) 事業者がその直接の取引先から受ける割戻し
この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)から支払われる飛越しリベート等とされるもの - (4) 海上運送事業を営む事業者から収受する船舶の早出料
- (5) 販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先から金銭により支払を受けるもの
- (6) 協同組合等から組合員等が収受する事業分量配当金のうち、課税仕入れの分量等に応じた部分
- (7) 課税仕入れに係る対価をその支払期日より前に支払ったこと等を基因として支払を受ける仕入割引
- (8) 保税地域から引き取った課税貨物に係る消費税額の還付税額
なお、上記の仕入れに係る対価の返還等であっても次に掲げる場合は調整を行うことができません。
- (1) 免税事業者であった課税期間において行った課税仕入れにつき、課税事業者となった後の課税期間において受けるもの
- (2) 課税事業者であった課税期間において行った課税仕入れにつき、事業を廃止し、又は免税事業者となった後の課税期間において受けるもの
また、以下の取引については調整を行いません。
- (1) 輸入品に係る仕入れ割戻しとして保税地域からの引取りに係る課税貨物について、課税貨物の購入先から受けたもの
- (2) 債務免除として事業者が課税仕入れの相手方に対する買掛金その他の債務の全部又は一部について免除を受けたもの
3 調整を行う時期
当初の課税仕入れを行った課税期間ではなく、仕入れに係る対価の返還等を受けた課税期間において調整を行います。
4 調整の方法
課税期間において控除される課税仕入れ等の消費税額の合計額から課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除します。
ただし、課税仕入れの金額からその課税仕入れに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、この処理も認められます。
なお、課税仕入れ等の消費税額の合計額から課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除しきれないときは、その控除しきれない額を課税売上げに係る消費税額に加算します。
5 控除税額の算出方法
- (1) 課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合
(その課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額の合計額) - (その課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額) - (2) 課税期間中の課税売上高が5億円超又は課税売上割合が95%未満の場合
- イ 個別対応方式
(イ)と(ロ)の合計額- (イ) (課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等に係る消費税額の合計額) - (課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れにつきその課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注1)の合計額)
- (ロ) (課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等に係る消費税額の合計額 × 課税売上割合(注2)) - (課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れにつきその課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額 × 課税売上割合(注2))
- (注1) 「仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額」は、その支払対価の額につき返還を受けた金額又はその減額を受けた債務の額に108分の6.3(※)を乗じて計算します。
※ 「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税率の引上げを含む消費税法の改正が行われています。
詳しくは、コード6950「社会保障と税の一体改革関係」をご覧ください。 - (注2) 課税売上割合に準ずる割合を含みます。
- ロ 一括比例配分方式
(課税仕入れ等に係る消費税額の合計額×課税売上割合) - (その課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額×課税売上割合)
- イ 個別対応方式
6 適用要件
仕入れに係る対価の返還等の金額に係る消費税額について控除を受けるには、仕入れに係る対価の返還等を受けた金額の明細等を記録した帳簿を保存する必要があります。
課税仕入れの金額からその課税仕入れに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を行っている場合も同様です。
(消法30、32、消令52、消基通12-1-1~5、12-1-7~9、12-1-12、12-1-14)
出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6363.htm)