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国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について

[平成30年4月1日現在法令等]

1 電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準

 電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が国内の事業者・消費者に対して行われるものについては、国内、国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されることとされています。

※ 平成27年10月1日以後、国外から行われる「電気通信利用役務の提供」についても消費税が課税されることとされました。

2 リバースチャージ方式等

 国外事業者が行う電気通信利用役務の提供については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」とそれ以外のものとに区分されます。

 消費税法においては、課税資産の譲渡等を行った事業者が、当該課税資産の譲渡等に係る申告・納税を行うこととされていますが、電気通信利用役務の提供のうち「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、国外事業者から当該役務の提供を受けた国内事業者が、「特定課税仕入れ」として、申告・納税を行います(注)。

※ 「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、「役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの」をいいます。

(注) 平成28年4月1日以後に国外事業者が国内で行う「特定役務の提供(国外事業者が国内で行う芸能・スポーツ等の役務の提供)」については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」と同様に、当該役務の提供を受けた事業者が「特定課税仕入れ」としてリバースチャージ方式による申告・納税義務が課されています。

3 国外事業者から受けた消費者向け電気通信利用役務の提供に係る仕入税額控除の制限

 電気通信利用役務の提供のうち、事業者向け電気通信利用役務の提供以外のもの(ここでは、便宜的に「消費者向け電気通信利用役務の提供」といいます。)については、当該役務の提供を行った事業者が申告・納税を行うこととなりますが、国内事業者が国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、当分の間、当該役務の提供に係る仕入税額控除を制限することとされています。

4 登録国外事業者制度の創設

 3のとおり、国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた国内事業者は、当該役務の提供に係る仕入税額控除が制限されますが、国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者から受ける消費者向け電気通信利用役務の提供については、その仕入税額控除を行うことができることとされています。
  現在登録されている登録国外事業者については、こちら(PDF/200KB)をご覧ください。

5 主な経過措置等

(1) リバースチャージ方式に関する経過措置

 「事業者向け電気通信利用役務の提供」等の特定課税仕入れを行った国内事業者は、当該特定課税仕入れについて、申告・納税の義務が課されるとともに、当該特定課税仕入れについて、仕入税額控除の対象とすることができますが、一般課税で申告を行う事業者においては、当該課税期間における課税売上割合が95%以上である事業者、当該課税期間について簡易課税制度が適用される事業者については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます。
 したがって、これら事業者は、特定課税仕入れを行ったとしても、その課税期間の消費税の確定申告については、特定課税仕入れについて申告等に含める必要はありません。

※1 特定課税仕入とは、国内において国外事業者から受けた「電気通信利用役務の提供」及び「特定役務の提供」をいいます。

2 これら事業者は特定課税仕入れがなかったものとされますので、特定課税仕入れに係る申告納税義務もありません。また、仕入税額控除のみ行うこともできません。

3 免税事業者は、消費税の確定申告等を行う必要がありませんので、特定課税仕入れを行ったとしても申告等を行う必要はありません。

(2) 継続的電気通信利用役務の提供を行っていた場合の経過措置

 国外事業者が平成27年3月31日までに締結した電気通信利用役務の提供で、平成27年10月1日前から同日以後引き続き行う電気通信利用役務の提供については、改正前の消費税法が適用されます。また、この経過措置が適用される事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた国内事業者は「特定課税仕入れ」として、リバースチャージ方式による申告・納税を行う必要はありません。
 例えば、データ保存等を行うクラウドサービスについて、平成27年3月31日までに、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの1年間の利用契約を締結していた場合などは、改正前の内外判定基準等が適用されます。なお、契約内容等の変更が行われた場合には、経過措置は適用されません。

※ 月ごとに更新するものや、月ごとに自動継続するようなものなど、月ごとに役務の提供を了している、又は、月ごとに契約を更新しているものと認められるものは、経過措置の対象とはなりません。

(3) 事業者免税点制度に関する経過措置

(1) 平成27年10月1日を含む課税期間(改正前の法律に基づき計算した課税売上高により事業者免税点制度の適用がある課税期間に限ります。)及び、同日の翌日以後に開始する課税期間における基準期間又は特定期間の課税売上高の計算に当たっては、既に当該改正による内外判定基準の見直しが行われていたものとして計算することとされています。
 例えば、平成27年10月1日前に国外事業者が国外から国内の消費者に販売した電子書籍の売上等は国外取引として不課税でしたが、基準期間にこのような取引が含まれている場合には、新しい内外判定基準を適用して基準期間の課税売上高を計算することとなります。すなわち、このような売上を課税売上高に含めて1,000万円を超えるかどうかの計算を行うこととなります。

(2) 電気通信利用役務の提供を行っていた事業者であって、基準期間又は特定期間の初日が平成27年9月30日以前である場合で、例えば、日本の居住者に対する販売金額を区分していなかったなど、その基準期間等における課税売上高を計算することにつき困難な事情がある場合には、平成27年4月1日から同年6月30日までの期間における課税売上高に、4を乗じた金額を基準期間における課税売上高とし、2を乗じた金額を特定期間における課税売上高とすることができることとされています。

 「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」の詳細については、特設ページ「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」をご参照ください。

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(消法2、4、5、平27改正法附則1、35、36、 38、42、44、48、 平27改正消令附則1、2)

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出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6118.htm)