欠損金の繰戻しによる還付
[平成29年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。
ただし、この制度は、(1)解散等の事実が生じた場合の欠損金額及び(2)中小企業者等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額を除き、平成4年4月1日から平成30年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については適用が停止されています。
なお、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度又は中間期間(災害欠損事業年度)開始の日前1年(青色申告である場合には、前2年)以内に開始したいずれかの事業年度(還付所得事業年度)の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができることとされました。
- (注1) 災害とは、震災、風水害及び火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。
- (注2) 災害損失欠損金額とは、災害欠損事業年度の欠損金額のうち、災害損失の額(災害により棚卸資産、固定資産又は一定の繰延資産について生じた損失の額で、資産の滅失等により生じた損失の額、被害資産の原状回復のための費用等に係る損失の額及び被害の拡大又は発生の防止のための費用に係る損失の額(保険金、損害賠償金等により補填されるものを除きます。)の合計額をいいます。)に達するまでの金額をいいます。
2 適用対象法人
- ・青色申告書を提出する法人
- ・災害損失欠損金を有する法人
3 還付金額の計算
還付金額の計算は次のとおりです。
(算式)
(注) 法人が還付金額の計算の基礎として還付請求書に記載した金額が限度となります。また、分母の金額が限度になります。
4 適用要件
次の要件を全て満たさなければなりません。
- (1) 青色申告法人の場合
- イ 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
- ロ 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
- ハ 上記ロの確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
- (2) 災害損失欠損金を有する法人の場合
- イ 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること。
- ロ 欠損事業年度の確定申告書又は仮決算による中間申告書を提出していること。
- ハ 上記ロの確定申告書又は仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
5 解散等の事実が生じた場合の特例
解散(注)、事業の全部の譲渡、会社更生法等の規定による更生手続の開始など一定の事実(以下「解散等の事実」といいます。)が生じた場合で、解散等の事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度又は解散等の事実が生じた日の属する事業年度において生じた欠損金額には、この制度の適用が認められます。
なお、この場合には次の点にご留意ください。
- (1) 上記4(1)ハ又は4(2)ハの還付請求書の提出時期については、解散等の事実が生じた日から1年以内となります。
- (2) 還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していなければなりません。
(注) 適格合併による解散は除かれます。
6 中小企業者等に係る特例
中小企業者等の各事業年度において欠損金額が生じた場合(上記5に該当する場合を除きます。)には、この制度の適用が認められます。
なお、中小企業者等とは次のものをいいます。
- (1) 法人税法第2条第9号に規定する普通法人(投資法人及び特定目的会社を除きます。)のうち、その事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(注)又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社及び外国相互会社を除きます。)
(注) 法人税法第66条第6項第2号又は第3号に規定する法人(資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社の100%子法人等)は除かれます。
- (2) 法人税法第2条第6号に規定する公益法人等又は法人税法第2条第7号に規定する協同組合等
- (3) 法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる次の法人
認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人、マンション建替組合及びマンション敷地売却組合 - (4) 人格のない社団等
(法法66、80、145、法令154の3、191、措法66の13、措令39の24、法基通17-2-1)
出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5763.htm)