環境関連投資促進税制(エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
[平成29年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
この制度は、法人が平成23年6月30日から平成30年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、新品のエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得又は製作若しくは建設(以下「取得等」といいます。)をして、その取得等をした日から1年以内に国内にある事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。
- (注1) 所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされる資産については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。
- (注2) 所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。
2 適用対象法人
この制度の適用対象法人は、次のとおりです。
- (1) 特別償却
青色申告書を提出する法人 - (2) 税額控除
中小企業者又は農業協同組合等で青色申告書を提出する法人
(注) 中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。
- 1 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。以下同じ。)に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。 - 2 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
3 適用対象年度
この制度の適用対象事業年度は、指定期間内にエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得等をして、その事業の用に供した事業年度です。
ただし、適用対象事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度においては適用できません。
4 適用対象資産
この制度の対象となるエネルギー環境負荷低減推進設備等は、取得等をした後事業の用に供されたことのない次に掲げる減価償却資産で、指定期間内に取得等をして、その取得等をした日から1年以内に事業の用に供されたものです。
- (1) 平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間に取得等したもの
- イ 新エネルギー利用設備等
- (イ) 一定の太陽光発電設備
- (具体例) 太陽光発電設備(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第2条第5項に規定する認定発電設備に該当するものを除きます。)でその出力が10キロワット以上であるもの
- (ロ) 一定の風力発電設備
- (具体例) 風力発電設備でその出力が1万キロワット以上であるもの
- (ハ) 中小水力発電装置
- (ニ) 地熱発電装置(1000キロワット以上以上)(※)
- (ホ) 管内設置型の下水熱利用設備(※)
- (ヘ) バイオマス利用装置
- (具体例) (1)木質バイオマス発電設備(2万キロワット未満)(※)、(2)木質バイオマス熱供給装置(160GJ/h未満)(※)、(3)バイオマス利用メタンガス製造装置、(4)バイオマスエタノール製造装置、(5)下水汚泥固形燃料貯蔵設備
- (※) 平成28年度税制改正で追加されました。
- (イ) 一定の太陽光発電設備
- ロ 二酸化炭素排出抑制設備等
- (イ) コンバインドサイクル発電ガスタービン
- (ロ) プラグインハイブリッド自動車(※)
- (ハ) エネルギー回生型ハイブリッド車(※)
- (ニ) 電気自動車(※)
- (※) 平成28年度税制改正で特別償却の規定のみ適用可能とされました。
- イ 新エネルギー利用設備等
- (2) 平成23年6月30日から平成28年3月31日までの期間に取得等したもの
- イ エネルギーの有効な利用の促進に著しく資する機械その他の減価償却資産で次に掲げるもの
- (イ) 一定の太陽光発電設備
- (具体例) 太陽光発電設備(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第3条第2項に規定する認定発電設備に該当するものに限ります。)でその出力が10キロワット以上であるもの
- (ロ) 一定の風力発電設備
- (具体例) 風力発電設備(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関す特別措置法第3条第2項に規定する認定発電設備に該当するものに限ります。)でその出力が1万キロワット以上であるもの
- (ハ) 新エネルギー利用設備等
中小水力発電設備(平成25年4月1日以後に取得等したものに限ります。)、水熱利用設備、 雪氷熱利用設備、バイオマス利用装置(具体例:(1)紙・パルプ製造工程バイオマスボイラー、(2)リグニン燃焼ボイラー、(3)バイオマス利用メタンガス製造装置、(4)バイオマスエタノール製造装置、(5)下水汚泥固形燃料貯蔵設備) - (ニ) 熱電併給型動力発生設備
(具体例) 熱電供給型動力発生装置(コージェネレーション設備)
(注) 平成26年3月31日以前に取得等したものに限ります。
- (ホ) 二酸化炭素排出抑制設備等
コンバインドサイクル発電ガスタービン、プラグインハイブリッド自動車、エネルギー回生型ハイブリッド車、電気自動車、電気自動車専用急速充電設備、高効率型電動熱源機、定置用蓄電設備、熱併給型動力発生装置(※)、高効率配線設備(※)、高効率複合工作機械(※)、ハイブリッド建設機械(※)、高効率電気式誘導加熱炉(※)、断熱強化型工業炉(※)、高性能工業炉廃熱回収式燃焼装置(※)、ガス冷房装置(※)、高断熱窓設備(※)、氷蓄熱式冷凍機組込型空気調和機(※)、高効率照明設備(※)
(※)平成26年3月31日以前に取得等したものに限ります。
- (イ) 一定の太陽光発電設備
- ロ 建築物に係るエネルギーの使用の合理化に著しく資する設備で次に掲げるもの
エネルギー使用制御設備
(具体例) (1)測定装置、(2)中継装置、(3)アクチュエーター、(4)可変風量制御装置、(5)インバーター、(6)電子計算機
- イ エネルギーの有効な利用の促進に著しく資する機械その他の減価償却資産で次に掲げるもの
- (注1) 次の場合には、この制度の適用を受けることはできません。
- 1 上記(1)及び(2)に掲げる設備等を貸付けの用に供した場合
- 2 上記(1)イ並びに(2)イ(イ)から(ハ)までに掲げる設備及び(ホ)の定置用蓄電設備については
-
(1) 平成29年4月1日以降に取得する場合
電気事業法第2条第1項第15号に規定する発電事業事業者のうち小売電気事業者、一般送配電事業者、送電事業者若しくは特定送配電事業者又は大規模な発電を行うもの。 -
(2) 平成29年3月31日以前に取得した場合
電気事業法第2条第1項第16号に規定する電気事業の用に供した場合
-
(1) 平成29年4月1日以降に取得する場合
- 3 上記(2)ロに掲げる設備を住宅の用に供した場合
- 4 国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他これらに準ずるものの交付を受け、目的に適合したエネルギー環境負荷低減推進設備等を平成25年4月1日以後に取得等をした場合
- (注2) 次の設備については、それぞれに掲げる証明書類を確定申告書等に添付する必要があります。
また、上記(2)ロに掲げる設備については、適用対象資産の全てを同時に設置する必要があります。- 1 上記(2) イ(イ)及び(ロ)に掲げる設備
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則第7条第1項の申請書の写し及び経済産業大臣の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第6条第1項の認定をした旨を証する書類の写し - 2 上記(2)ロに掲げる設備
その設備が設置された構築物が一定の基準を満たすものであることにつき経済産業大臣が確認した旨を証する書類
- 1 上記(2) イ(イ)及び(ロ)に掲げる設備
5 償却限度額
特別償却限度額は、そのエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額の30%相当額です。
なお、上記4「適用対象資産」のうち、次に掲げる設備を次に掲げる期間に取得等した場合の特別償却限度額は、その設備の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされ、その事業の用に供した事業年度において取得価額の全額を償却(即時償却)することができます。
- (1) 上記4(2)イ(イ)に掲げる設備 平成24年5月29日から平成27年3月31日まで
- (2) 上記4(2)イ(ロ)に掲げる設備 平成24年5月29日から平成28年3月31日まで
- (3) 上記4(2)イ(ニ)に掲げる設備 平成25年4月1日から平成26年3月31日まで
6 税額控除限度額
税額控除限度額はエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額の7%相当額です。
ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、その20%相当額が限度となります。
なお、上記4(1)ロ(ロ)、(ハ)及び(ニ)に掲げる車輛及び運搬具については、税額控除の規定の適用はありません。
7 税額控除限度超過額の繰越し
税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるため、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった金額(以下「繰越税額控除限度超過額」といいます。)については、1年間の繰越しが認められます。
8 その他注意事項
- (1) 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。
- (2) この制度による特別償却又は税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却又は他の税額控除の規定の重複適用は認められません。
- (3) 特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
なお、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けるためには、繰越税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書を添付し、かつ、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。 - (4) 特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てること又はその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。
(措法42の5、措令27の5、旧措法42の5、旧措法42の5の2、旧措令27の5、旧措法27の5の2、旧措規20の2、旧措規20の2の2、平24改正法附則19、平25改正法附則64、平26改正法附則78、平27改正法附則74、平28改正法附則86)
出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5454.htm)