減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)
[平成29年4月1日現在法令等]
平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産については、償却可能限度額及び残存価額が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになるとともに、新たな償却方法として、従前における計算の仕組みとは異なる定額法や定率法などが導入されました。
この改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産の償却限度額についての計算方法等は次のとおりとなります。
なお、法人が平成19年3月31日以前に取得をし、かつ、同年4月1日以後に事業の用に供した減価償却資産については、その事業の用に供した日において取得をしたものとみなされますので、これらの新たな償却方法が適用されることになります。
また、平成23年12月の税制改正により、平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産に適用される定率法の償却率について、定額法の償却率を2.5倍した償却率(以下この償却率による償却方法を「250%定率法」といいます。)から、定額法の償却率を2倍した償却率(以下この償却率による償却方法を「200%定率法」といいます。)に引き下げられました(「保証率」及び「改定償却率」についても、この償却率の改正に合わせて見直されました。)。
この改正に伴い、平成24年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において同日以後の期間内に取得をされる減価償却資産に適用される償却費や、平成24 年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に適用される償却費について、法人の事務負担の軽減を図るための措置が講じられています。
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(注) 平成19年度及び平成23年12月の法人の減価償却制度の改正については、国税庁ホームページのパンフレット・手引き「平成19年度 法人の減価償却制度の改正のあらまし(PDF/310KB)」、「法人の減価償却制度の改正に関するQ&A(平成19年4月)(PDF/391KB)」及び「平成23年12月改正 法人の減価償却制度の改正に関するQ&A(平成24年2月)(PDF/867KB)」に掲載されています。
1 定額法
定額法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
定額法の償却限度額=取得価額×定額法の償却率(注)
(注) 「定額法の償却率」は耐用年数省令別表第八に規定されています。
(例)
- 取得年月日 平成19年4月1日 (3月決算法人)
- 取得価額 100万円
- 耐用年数 8年 定額法の償却率 0.125
なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。
(単位:円)
事業年度(至) | 償却費(償却限度額) | 償却累積額 | 未償却残高 |
---|---|---|---|
20.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000 | 125,000 | 875,000 |
21.3.31 | 1,000,000 × 0.125 ×12 / 12 = 125,000 | 250,000 | 750,000 |
22.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000 | 375,000 | 625,000 |
23.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000 | 500,000 | 500,000 |
24.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000 | 625,000 | 375,000 |
25.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000 | 750,000 | 250,000 |
26.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000 | 875,000 | 125,000 |
27.3.31 | 1,000,000 × 0.125 × 12 / 12 = 125,000
→ 124,999
|
999,999 | 1 |
(注) 8年目における計算上の償却限度額は125,000円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として実際の償却限度額は124,999円になります。
2 定率法
定率法とは、次の算式1により計算した金額(以下「調整前償却額」といいます。)を各事業年度の償却限度額とする方法です。
ただし、調整前償却額が償却保証額(注1)に満たない場合は、次の算式2により計算した金額が各事業年度の償却限度額となります。
- (算式1)
定率法の償却限度額 = (取得価額 - 既償却額(注2)) × 定率法の償却率(注3) - (算式2)
調整前償却額が償却保証額に満たない場合の定率法の償却限度額
= 改定取得価額(注4) × 改定償却率(注5)
- (注1) 「償却保証額」とは、減価償却資産の取得価額にその減価償却資産の耐用年数に応じた保証率(耐用年数省令別表第九、十に規定されています。)を乗じて計算した金額です。
- (注2) 「既償却額」とは、前事業年度までに損金の額に算入された償却費の累積額です。
- (注3) 「定率法の償却率」は耐用年数省令別表第九、十に規定されています。
- (注4) 「改定取得価額」とは、原則として、調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高(取得価額から既償却費を控除した後の金額)をいいます。
- (注5) 「改定償却率」は耐用年数省令別表第九、十に規定されています。
(例) 200%定率法による計算例
- 取得年月日 平成24年4月1日(3月決算法人)
- 取得価額 100万円
- 耐用年数 8年 償却率 0.250
- 改定償却率 0.334
- 保証率 0.07909 (償却保証額79,090円)
なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。
(単位:円)
事業年度 (至) |
償却費(償却限度額) | 償却 累積額 |
未償却 残高 |
---|---|---|---|
25.3.31 | 1,000,000 × 0.250 × 12 / 12 = 250,000 | 250,000 | 750,000 |
26.3.31 | 750,000 × 0.250 × 12 / 12 = 187,500 | 437,500 | 562,500 |
27.3.31 | 562,500 × 0.250 × 12 / 12 = 140,625 | 578,125 | 421,875 |
28.3.31 | 421,875 × 0.250 × 12 / 12 = 105,468 | 683,593 | 316,407 |
29.3.31 | 316,407 × 0.250 × 12 / 12 = 79,101 | 762,694 | 237,306 |
30.3.31 | 237,306 × 0.250 × 12 / 12 = 59,326 < 償却保証額79,090 → 237,306 × 0.334 × 12 / 12 = 79,260 |
841,954 | 158,046 |
31.3.31 | 237,306 × 0.334 × 12 / 12 = 79,260 | 921,214 | 78,786 |
32.3.31 | 237,306 × 0.334 × 12 / 12 = 79,260 → 78,785 | 999,999 | 1 |
(注) 8年目における計算上の償却限度額は79,260円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として実際の償却限度額は78,785円になります。
(例) 250%定率法による計算例
- 取得年月日 平成19年4月1日(3月決算法人)
- 取得価額 100万円
- 耐用年数 8年 償却率 0.313
- 改定償却率 0.334
- 保証率 0.05111 (償却保証額51,110円)
なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。
(単位:円)
事業年度 (至) |
償却費(償却限度額) | 償却 累積額 |
未償却 残高 |
---|---|---|---|
20.3.31 | 1,000,000 × 0.313 × 12 / 12 = 313,000 | 313,000 | 687,000 |
21.3.31 | 687,000 × 0.313 × 12 / 12 = 215,031 | 528,031 | 471,969 |
22.3.31 | 471,969 × 0.313 × 12 / 12 = 147,726 | 675,757 | 324,243 |
23.3.31 | 324,243 × 0.313 × 12 / 12 = 101,488 | 777,245 | 222,755 |
24.3.31 | 222,755 × 0.313 × 12 / 12 = 69,722 | 846,967 | 153,033 |
25.3.31 | 153,033 × 0.313 × 12 / 12 = 47,899 < 償却保証額51,110 → 153,033 × 0.334 × 12 / 12 = 51,113 |
898,080 | 101,920 |
26.3.31 | 153,033 × 0.334 × 12 / 12 = 51,113 | 949,193 | 50,807 |
27.3.31 | 153,033 × 0.334 × 12 / 12 = 51,113 → 50,806 | 999,999 | 1 |
(注) 8年目における計算上の償却限度額は51,113円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として実際の償却限度額は50,806円になります。
3 生産高比例法
生産高比例法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
- 生産高比例法の償却限度額
- =(鉱業用減価償却資産の取得価額/その資産の耐用年数(注)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量)×その事業年度におけるその鉱区の採掘数量
(注) その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数になります。
4 リース期間定額法
リース期間定額法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
なお、リース期間定額法は、平成20年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引(注 1)により賃借人が取得したものとされる減価償却資産について適用されます。
(算式)
- リース期間定額法の償却限度額
- = ((リース資産の取得価額 - 残価保証額(注2)) / リース期間の月数) × その事業年度におけるそのリース期間の月数
- (注1) 「所有権移転外リース取引」については、コード5704 「所有権移転外リース取引」を参照してください。
- (注2) 「残価保証額」とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額が所有権移転外リース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を賃借人が支払うこととされている場合におけるその保証額をいいます。
(法法31、法令48の2、56、61、耐令5、耐令別表第八、九、十、平19改正法令附則11、平23.12改正法令附則3)
出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5410.htm)