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非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例

※ 東日本大震災により被害を受けた場合等の非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例については、「東日本大震災に関する税制上の追加措置について(相続税・贈与税関係)相04」をご覧ください。

※ 災害等により被害を受けた一定の会社に係る非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例については、「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年7月)」及び「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例の適用を受けている場合の災害等に関する税制上の措置(免除手続等)」(PDF/150KB)をご覧ください。

[平成29年4月1日現在法令等]

1 特例のあらまし

後継者である相続人等(「経営承継相続人等」といいます。)が、相続等により、都道府県知事の円滑化法の認定を受ける非上場会社の株式等を先代経営者である被相続人から取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人等が納付すべき相続税のうち、その非上場株式等(一定の部分に限ります。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます(猶予される相続税額を「非上場株式等納税猶予税額」といいます。)。

この非上場株式等納税猶予税額は、経営承継相続人等が死亡した場合などにはその全部又は一部が免除されます。なお、免除されるときまでに特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合には、非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。

(注) 「円滑化法の認定」とは、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」といいます。)第12条第1項の認定(円滑化法施行規則第6条第1項第8号の事由に限ります。)をいいます。この認定は、平成29年4月1日から都道府県知事が行います。

※ 「非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成29年7月)」も併せてご覧ください。

2 特例を受けるための要件

この特例の適用を受けるためには、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(「円滑化法」といいます。)に基づき、会社が都道府県知事の円滑化法の認定を受ける必要があります。なお、都道府県知事の円滑化法の認定を受けるためには、原則として、相続開始後8か月以内にその申請を行う必要があります。

  1. (注) 上記における認定を受けるための具体的な要件及び手続については、会社の主たる事務所が所在する都道府県の担当課にお尋ねください。
  1. (1) 会社の主な要件
    • イ 円滑化法の認定を受けた中小企業者であること
    • ロ 非上場会社であること
    • ハ 常時使用する従業員が1人以上(一定の外国会社株式等を保有している場合には5人以上)であること
    • ニ 資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当しないこと
    • ホ この会社の株式等及び特別関係会社(注)のうちこの会社と密接な関係がある一定の会社(以下「特定特別関係会社」といいます。)の株式等が非上場株式等であること
    • ヘ この会社及び特定特別関係会社が風俗営業会社ではないこと
    • ト この会社の特定特別関係会社が中小企業者であること
    • チ 相続の開始の日の属する事業年度の直前の事業年度(相続の開始の日が事業年度の末日である場合には、その事業年度及びその直前の事業年度)の総収入金額(営業外利益及び特別利益以外のものに限ります。)が零ではないこと
    • リ 経営承継相続人等以外の者が会社法第108条第1項第8号に規定する種類の株式(拒否権付き株式)を有していないこと
    • ヌ 相続の開始前3年以内に一定の者から受けた現物出資等資産の割合が総資産の70%未満であること
      • (注) 「特別関係会社」とは、この会社と租税特別措置法施行令第40条の8の2第8項で定める特別の関係のある会社をいいます。
  2. (2) 先代経営者である被相続人の主な要件
    • イ 相続開始以前会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していたことがあること
    • ロ 相続の開始直前において、被相続人及び被相続人と特別の関係がある者(被相続人の親族など一定の者)で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、被相続人が保有する議決権数が経営承継相続人等を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと
  3. (3) 経営承継相続人等の主な要件
    • イ 相続開始の直前に役員であったこと(被相続人が60歳未満で死亡した場合等を除きます。)
    • ロ 相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していること
    • ハ 相続人及び相続人と特別の関係がある者(相続人の親族など一定の者)で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
    • 二 相続税の申告期限まで特例の適用を受ける非上場株式等の全てを保有していること

3 特例の対象となる非上場株式等の数

特例の対象となる非上場株式等の数は、次のA、B、Cの数を基に(1)又は(2)の区分の場合に応じた数が限度となります。
 「A」・・・経営承継相続人等が相続等により取得した非上場株式等の数
 「B」・・・経営承継相続人等が相続開始前から保有する非上場株式等の数
 「C」・・・相続開始時の発行済株式等の総数

  1. (1) A + B < C × 2/3 の場合  A
  2. (2) A + B ≧ C × 2/3 の場合  C × 2/3 - B

4 納税が猶予される相続税の額

次の(1)から(2)を差し引いた相続税額の納税が猶予されます。(1)及び(2)の税額を計算する場合の経営承継相続人等以外の者の取得した財産は、実際に経営承継相続人等以外の者が相続等により取得した財産によります。

  1. (1) 経営承継相続人等が取得した財産が特例の適用を受ける非上場株式等のみであると仮定した場合に算出される経営承継相続人等の相続税額
  2. (2) 経営承継相続人等が取得した財産が特例の適用を受ける非上場株式等の20%のみであると仮定した場合に算出される経営承継相続人等の相続税額
  3. (注) その非上場株式等を発行する会社及びその会社と特別の関係のある一定の会社が、一定の外国会社若しくは一定の上場会社の株式等又は医療法人の出資を有する場合には、納税が猶予される税額の計算の基となる非上場株式等の価額は、その外国会社若しくは上場会社の株式等又は医療法人の出資を有していなかったものとして計算した金額となります。

5 特例を受けるための手続

  1. (1) この特例を受ける旨を記載した相続税の申告書をその申告期限までに提出するとともに、その申告書に特例の適用を受ける非上場株式等の明細や納税猶予分の相続税額の計算書など一定の事項を記載した書類を添付する必要があります。
  2. (2) 上記(1)の申告書の提出期限までに非上場株式等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。なお、特例の適用を受ける非上場株式等の全てを担保として提供した場合には、非上場株式等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされます。

6 納税猶予期間中の手続

引き続きこの特例の適用を受ける旨や特例の対象となる非上場株式等に係る会社の経営等に関する事項を記載した「非上場株式等についての相続税の納税猶予の継続届出書」を原則として、相続税の申告期限後の5年間は毎年、5年経過後は3年ごとに所轄税務署に提出する必要があります。
 なお、継続届出書の提出がない場合には、原則として、この特例の適用が打ち切られ、非上場株式等納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。

7 猶予税額の納付が免除される場合

次に掲げる場合などに該当したときには、非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部の納付が免除されます。

  1. (1) 経営承継相続人等が死亡した場合
     この場合、死亡があった日から同日以後6か月を経過する日までに「免除届出書(死亡免除)」を先代経営者の相続税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
  2. (2) 申告期限後5年以内に経営承継相続人等が、特例の適用を受けた非上場株式等を後継者へ贈与した場合(身体障害等のやむを得ない理由により、その経営承継相続人等が認定相続承継会社の代表者でなくなった場合に限ります。)において、その後継者が贈与税の非上場株式についての贈与税の納税猶予の特例の適用を受ける場合
     この場合、その後継者が、贈与を受けた非上場株式等について、贈与税の納税猶予の特例の適用に係る申告書を提出した日以後6か月を経過する日までに「免除届出書」を相続税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
  3. (3) 申告期限後5年を経過した後に、特例の適用を受けた非上場株式等を一定の親族に贈与し、その親族が「非上場株式等についての贈与税の納税猶予」の適用を受ける場合
     この場合、その後継者が、贈与を受けた非上場株式等について、贈与税の納税猶予の特例の適用に係る申告書を提出した日以後6か月を経過する日までに、経営承継相続人は「免除届出書」を相続税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
  4. (4) 申告期限後5年を経過した後に、次に掲げるいずれかに該当した場合
     この場合、一定の免除事由に該当することとなった日から2か月を経過する日までに「免除申請書」を先代経営者の相続税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
    • イ 経営承継相続人等が特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社の株式等の全部を譲渡又は贈与(以下「譲渡等」といいます。)した場合(その経営承継相続人等の同族関係者(経営承継相続人等の親族など一定の者)以外の一定の者に対して行う場合や民事再生法又は会社更生法の規定による許可を受けた計画に基づき株式等を消却するために行う場合に限ります。)
    • ロ 特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社について破産手続開始の決定又は特別清算開始の命令があった場合
    • ハ 特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社が合併により消滅した場合で一定の場合
    • ニ 特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社が株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社等となった場合で一定の場合
    • ホ 民事再生計画の認可決定等があった場合で会社の資産評定が行われたとき

8 納税猶予税額の納付をすることとなる場合

  1. (1) 非上場株式等納税猶予税額を納付しなければならない場合
     次のいずれかに該当することとなった場合には、その非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部を納付しなければなりません。
    • イ 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等が代表権を有しないこととなった場合
    • ロ 申告期限後5年間の平均で、相続開始時の雇用の8割を維持できなかった場合
    • ハ 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等及び経営承継相続人等と特別の関係がある者(経営承継相続人等の親族など一定の者)が保有する議決権数の合計が、総議決権数の50パーセント以下となった場合
    • ニ 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等と特別の関係がある者のうちの1人が、経営承継相続人等を超える議決権数を有することとなった場合
    • ホ 経営承継相続人等が特例の適用を受けた非上場株式等の全部又は一部を譲渡等した場合
    • ヘ 特例の対象となっている会社が解散をした場合又は解散をしたとみなされた場合
    • ト 特例の対象となっている会社が資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当することとなった場合
    • チ 特例の対象となっている会社の事業年度における総収入金額(営業外収益及び特別利益を除きます。)が零となった場合
    • リ 上記のイからチのほか、会社の円滑な事業の運営に支障を及ぼすおそれがある一定の事由に該当することとなった場合
    • (注) 上記ロに該当することで、その相続税を納付することとなった場合において、納税猶予の期限までに金銭により一時に納付することが困難な事由があるなど、一定の要件を満たしているときには、申請により延納又は物納が認められます。詳しくは、最寄りの税務署にお尋ねください。
  2. (2) 納付すべき税額に係る利子税
     上記(1)により納付する相続税額については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じて年3.6%の割合で利子税がかかります。
     利子税の計算にあたり、各年の特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合は、以下のとおりとなります。
  • (算式)
  • 3.6% × 特例基準割合(※) ÷ 7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
  • (例) 特例基準割合(※)が1.8%の場合・・・0.8%
  • (注) 特例基準割合(※)が変動すると利子税の割合も変動します。詳しくは最寄りの税務署にお尋ねください。

※ 特例基準割合
【平成25年12月31日まで】
 各年の前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合
【平成26年1月1日以降】
 各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合

○ 申告期限から5年経過後に相続税額を納付する場合の利子税の特例

相続税の申告期限から5年を経過した後に、上記(1)に該当(一定の事由に限ります。)し、相続税額の全部又は一部を納付するときには、申告期限の翌日から5年を経過する日までの期間の利子税の割合が年零パーセントに軽減されます。

(措法70の7の2、93、平25改正法附則86、措令40の8の2、措規23の10)

出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4148.htm)