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相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例

[平成30年4月1日現在法令等]

 (平成31年分以降の元号の表示につきましては、便宜上、平成を使用するとともに西暦を併記しております。)

1 特例のあらまし

(1) 譲渡対価の全額を譲渡所得の収入金額とする特例

 個人が株式をその発行会社に譲渡(金融商品取引所の開設する市場における取引を除きます。)して、発行会社から対価として金銭その他の資産の交付を受けた場合、その交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額がその発行会社の資本金等の額のうち、その交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は配当所得とみなされて所得税が課税されます。
 しかし、相続又は遺贈により財産を取得して相続税を課税された人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、相続税の課税の対象となった非上場株式をその発行会社に譲渡した場合においては、その人が株式の譲渡の対価として発行会社から交付を受けた金銭の額が、その発行会社の資本金等の額のうちその譲渡株式に対応する部分の金額を超えるときであっても、その超える部分の金額は配当所得とはみなされず、発行会社から交付を受ける金銭の全額が株式の譲渡所得に係る収入金額とされます。
 したがって、この場合には、発行会社から交付を受ける金銭の全額が非上場株式の譲渡所得に係る収入金額となり、その収入金額から譲渡した非上場株式の取得費及び譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額の15%に相当する金額の所得税が課税されます。

(注) 平成25年から平成49年(2037年)までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

(2) 相続税額を取得費に加算する特例

 また、この場合の非上場株式の譲渡による譲渡所得金額を計算するに当たり、その非上場株式を相続又は遺贈により取得したときに課された相続税額のうち、その株式の相続税評価額に対応する部分の金額を取得費に加算して収入金額から控除することができます。
 ただし、加算される金額は、この加算をする前の譲渡所得金額が限度となります。

2 適用手続

(1) 譲渡対価の全額を譲渡所得の収入金額とする特例

 その非上場株式を発行会社に譲渡する時までに「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を発行会社を経由して、発行会社の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出することが必要です。

(2) 相続税額を取得費に加算する特例

 この特例を受けるために確定申告をすることが必要です。
 確定申告書には、(1)相続税の申告書の写し(第1表、第11表、第11の2表、第14表、第15表)、(2)相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、(3)株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の添付が必要です。
 この、(2)の計算明細書を使用すると、取得費に加算される相続税額を計算することができます。

(所法25、法法2、措法9の7、37の10、39、措令5の2、25の16、措規18の18、復興財確法9、13)

出典:国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1477.htm)