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話題のSDGsとは?私たちにどうかかわるの? 1~4のゴールを見てみよう!〈第3回〉 

【転載元】
日本クラウド証券株式会社
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「大阪宣言」が採択されたG20サミットが、2019年6月29日に閉幕しました。

安倍総理は議長国の会見で「自由、公正、無差別、開かれた市場という自由貿易の基本原則を確認し、多くの分野でG20の強い意思を世界に発信することができた」と総括しています。サミットでは誰一人取り残さない持続可能な世界の実現に向けて、SDGsの達成を始めとする開発課題が話し合われました。
今回は、海洋プラスチックごみの新たな汚染を2050年までにゼロに削減する「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」や、ジェンダー平等の推進、女性のエンパワーメントなどが宣言に盛り込まれています。
G20サミットでも議論の中核となったSDGsのより深い理解のために、今回からは17のゴール(目標)を一つずつ説明していきます。まず、4つのゴールを紹介しましょう。

話題のSDGsとは?私たちにどうかかわるの?〈第1回〉
話題のSDGsとは?私たちにどうかかわるの?〈第2回〉

ゴール1:貧困をなくそう

《目標》
2030年までに全世界の貧困をなくす。

現在、世界の人口の約10%の人が1日につき1ドル90セント(国際貧困ライン)未満での生活という極度の貧困状態で暮らし、生活に基本的に必要な健康、教育、水、衛生などが提供されていない状態です。事態が深刻なのは南アジアとサハラ以南のアフリカですが、先進国でも約3000万人の子どもが貧困にあえいでいます。わが国の子どもも7人のうち1人にあたる約280万人が「貧困」状態にあることも忘れてはなりません(2015年厚生労働省調査)。

《私たちにできること》
自分が貧しいかどうかにかかわらず、他の人の経済状況を考えることはできます。私たちの福祉はお互いに関連しています。不平等が広がれば経済にも悪影響がおよび、社会的な一体性が損なわれることで政治や社会の緊張感が高まり、紛争の原因にもなりかねません。「貧困」は私たちみんなの問題だという当事者意識を持つべきではないでしょうか。

世界の貧困に終止符を打つために必要な費用は、実に、年間1750億ドル程度といわれています。選挙権を活かして国政に参加することで国家の政策立案にかかわり、貧困への取り組みを推進することができます。また、貧困の解決に取り組む団体などにボランティアで参加するなど、さまざまな機会で声をあげることで、世代を超えて問題を共有し、人々の暮らしを変える原動力となることも可能です。

ゴール2:飢餓をゼロに

《目標》
飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養状態の改善を達成し、持続可能な農林水産業を促進すること。

世界的に飢餓で苦しむ人は増え続け、2017年には世界の人口のうち9人に1人にあたる8億2100万人に達しました。食糧の安定確保のためには、開発途上地域で消費される食糧の約80%を提供する全世界で約5億軒の小規模農家に投資をし、国内や海外の市場向けの食糧生産を増大する必要があります。
一方、ここにはジェンダーの問題もあり、農作業に従事する女性が男性と同じ決定権を持った場合、収穫高が22%向上するという調査結果があります。女性の農民が男性と平等に農業に従事できれば、持続可能な農業により飢餓で苦しむ人々を1億5000万人減らせる可能性があるのです。

《私たちにできること》
膨大な食糧廃棄を減らすことにより、私たちの生活から変化を起こすことができます。生鮮品や残り物、食べきれないものは早めに冷凍すれば、無駄をなくすことにもなるからです。また、食糧の購入に際して、持続可能な農林水産業を推進する生産者を選んで買うことが彼らの支援につながります。マングローブの林を伐採して大量生産されたエビではなく、マングローブ林と共存する粗放養殖で生産されたエビを購入するなど、私たちの行動一つひとつが目標達成へのステップとなるのです。

ゴール3:すべての人に健康と福祉を

《目標》
あらゆる年齢の人々の健康な生活を確保し、福祉を増進すること。

健康は豊かな社会を構築するための基本です。医療は著しく進歩していますが、その恩恵を受ける機会は実は不平等だということをご存じでしょうか。
毎年、5歳までに命を失う子どもの数は500万人を超えており、そのうち5人に4人がサハラ以南のアフリカと南アジアの子どもたちです。特に、予防接種の普及は緊急の課題でもあります。予防接種に10億ドルを費やせば、毎年100万人の子どもの命を救うことができるといわれているからです。
2000年以来、はしかの予防接種により約1560万人の命が救われました。健康と福祉を得ることは大切な人権だからこそ、すべての人に最高水準の医療を提供する必要があるといえるでしょう。

《私たちにできること》
まず、自らが生活習慣を見直すことで健康を増進し、周囲の人々にも健康の輪を広げていくことから始めましょう。次に、ボランティア活動をすることにより、質の高い医療サービスを受ける権利の重要性について啓発をすることができます。周りの仲間とともに行動を起こし、幼い子どもたちや社会的に弱い立場の人々を含むすべての人の健康増進に努めることは大変有意義なことなのです。

ゴール4:質の高い教育をみんなに

《目標》
すべての人に包摂的で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進すること。

学校に通えない子どもは世界で2億6500万人にのぼり、そのうち22%は小学校就学年齢の子どもたちです。教育期間が1年延びるごとに、ジニ係数(所得格差を示す指数)が1.4ポイント低下するというデータがあります。わが国でも最終学歴によって、最大で男性は約8000万円、女性では約1億円の生涯年収差があり、進学格差が将来の収入格差につながっています(2012年ユースフル労働統計)。
人々は教育を受けることにより、よりよい仕事に就き、よりよい生活を送れるようになります。質の高い教育を受けることで、貧困の連鎖を断ち切ることができることから、不平等の是正に教育は重要な役割を果たしているのです。

《私たちにできること》
政策上、教育を実践上の優先課題とする政党に投票することが、政府に対して教育に関する施策の実施を要請することにつながります。また、より直接的な支援として、開発途上国での教育を受けることができない女の子を応援するプロジェクトでは月額3000円から寄付を始めることが可能です。

世界の現状に目を向け、教育の大切さを考えようという地球規模のイベント「世界一大きな授業」(The world Biggest Lesson)に学校やグループで参加するのも魅力的でしょう。2019年はわが国から618団体、約4万8000人がこの授業に参加し、市民の声を日本政府に届けました。SDGsは、一人ひとりができるささやかな取り組みの持続によってのみ達成されるのです。

―― 次回は、5番目の「ジェンダー平等を実現しよう」から8番目の「働きがいも経済成長も」を取り上げます。

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援に携わる傍ら、30年に及ぶクラシック音楽の評論に加え、社会問題に関する執筆を行う。

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