行政手続きのオンライン化で、いよいよマイナンバーカード必須の時代に!?

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今年(2019年)5月24日、行政手続きなどを原則、電子申請に統一する「デジタルファースト法」が、参議院本会議で可決・成立した。

国の機関に対して行政手続きを原則インターネットで受け付けられるようにし、各都道府県の自治体には努力義務が課せられる。

これを受けて2019年度から順次、マイナンバーカードを利用した住民票の移転や相続、死亡などの申請がパソコンやスマートフォンで完結できるようになり、煩雑だった行政手続きの手間が大幅に軽減しそうだ。

しかし、行政のオンラインサービス利用に必要なマイナンバーカードの普及率は、わずか12.8%。現状ではシステムを導入しても利用者は限られ、制度自体が行きづまる可能性も考えられる。政府は今後、マイナンバーカードの活用を医療分野にも拡大する方針を打ち出すなど、カードを所有するメリットをアピールして普及を促す狙いだが……。
国が進めるデジタルファースト改革によって、果たしてマイナンバーカードの取得者は増えるのだろうか。

3つの原則を柱とした「デジタルファースト法」とは?

デジタル手続法とも呼ばれる「デジタルファースト法」は、行政手続きのオンライン化を推進するために、既存のマイナンバー法、公的個人認証法、住民基本台帳法などを一括改正した制度で、以下の3原則を柱としている。
(1)デジタルファースト/個々の手続き・サービスを一貫してデジタルで完結する
(2)ワンスオンリー/一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
(3)ワンストップ/民間サービスを含め、複数の手続き・サービスをワンストップで実現する
つまり、行政のオンライン化を徹底することで、申請・手続きの簡素化や添付書類の撤廃を図り、「利用者の利便性向上+行政業務の効率化」につなげようという狙いだ。

まず2019年度には、引っ越しに伴う電気やガス、水道の契約変更を一元化。ネットで住民票の移転手続きをすれば、住所などの情報がそのまま転用されるため、各サービスの契約変更時に改めて入力する必要がなくなる。死亡届もネットで届出するだけで、付随する年金関連・相続の手続きまで完結できるという。
さらに、2020年度からは法人設立の申請もオンライン化。これまでは法務局に出向いて登記事項証明書を取得し、書類を複数の窓口に提示する必要があったが、今後は証明書の添付が不要になり、ネットでのワンストップ申請が可能になる。

「利用価値の低さ」がマイナンバーカード普及のネックに

先述した通り、これらのオンラインサービスを利用するためには、ICチップを内蔵したマイナンバーカードが必須となる。ICチップには「署名用電子証明書」「利用者証明用電子証明書」の2種類の証明書が標準搭載されており、PCのカードリーダーやスマートフォンで読みとったチップの情報が、ネットを介した申請・手続きの際の「個人認証・本人証明」になるからだ。

とはいえ、2019年4月時点のマイナンバーカード発行枚数は約1666万枚にとどまり、所有するのは国民10人に対して約1.2人(12.8%)というのが現状だ。昨年秋の内閣府の世論調査では、53%の人が「カードを取得する予定がない」と回答。うち27%が、取得しない理由を「個人情報の漏えいが心配」と答えており、安全性に対する社会的な不信感は根強い。

加えて、カード普及のネックとなっているのが「利用価値の低さ」だ。マイナンバーカードの主な用途といえば……
「運転免許証に代わる身分証明書に使える」
「コンビニで住民票などの証明書が取得できる」
「ネットの確定申告に利用できる」
……などが挙げられるが、どれも「日常生活で必要不可欠なもの」というわけではない。カードがなくても事足りるのであれば、わざわざ手間をかけて取得する意味もないだろう。

さらに2020年には、制度開始時の2016年に交付されたカードが更新時期を迎え始める。カード本体の有効期限は最長10年だが、内蔵されている本人確認用の電子証明書は、発行から5回目の誕生日に有効期限が切れるからだ。カード取得者が「これまで必要を感じなかった」と更新しなければ、オンラインサービスの利用者はますます減ることになる。

政府が次々と打ち出すマイナンバーカード普及策

そこで、デジタルファーストを推進する政府としては、マイナンバーカードの取得・更新を促そうと、活用分野をさらに拡大する普及策を次々と打ち出し(図表参照)、カードを所有するメリットや利用価値をアピール。その一環として、これまで証明証として代用されてきた紙製の「通知カード」を廃止し、オンラインサービス利用者の減少を食い止めたい考えだ。

これらの施策の中で柱となるのが、健康保険を中心とした医療関連サービスだ。保険証は日常的に利用する人が多いため、代用できれば普及が進むとみられている。
過去の処方薬や特定健診の履歴データについては、政府が運営するサイト「マイナポータル」に入り、カードで本人確認すると閲覧できるようになる。個人の投薬や特定健診の情報を集約する社会保険診療報酬支払基金からデータが送られてくる仕組みで、転職・退職してもデータが蓄積されるので、医療機関の受診の際や健康管理にも役立つ。特定健診は2020年度、投薬履歴は2021年度に開始する予定だ。

本人・家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除についても、2021年分の確定申告から申請手続きを完全自動化。こちらも利用者がカードを使って、国税庁のネット上で1年分の医療費の合計額が確認でき、領収書を保存していなくても、そのままネットで申告できるという。日本の医療費控除の申請者は毎年約750万人にのぼり、確定申告の負担軽減を多くの人に実感してもらうことで、カードの普及と公的サービスのデジタル化を加速させる狙いだ。

3年後には国民のほとんどがカードを所有する時代に……?

政府はこうした普及策を打ち出すことで、3年後をメドに1億枚以上のマイナンバーカードを普及させる方針を示している。これが実現すれば、2022年度には「国民のほとんどがカードを所有している」ことになるが……。カードの取得を躍起になって促し、普及すれば暮らしがもっと便利になるという政府の理屈には、マイナンバーの制度自体や安全性への懸念を含め、賛否両論さまざまな意見があるようだ。

一方で海外に目を向けると、行政手続きのデジタル化は日本以上に進んでいる。税務の電子申告の利用率が9割を超える韓国では、国税当局のサイトを通じて医療費や保険料、教育費などが確認でき、それを元にオンラインで控除の申告がワンストップでできるという。
また、IT社会の先進国といわれるエストニアでは、個人番号カードでほぼすべての行政サービスが受けられる「電子政府」を構築。国外の外国人に対しても、ネット経由で行政サービスを提供する「電子居住権」制度を設け、世界各国の1万5000人以上が登録しているという(希望すれば、私たちも登録可能だ)。

もちろん、単に海外の制度と比較するのは難しいが、少子高齢化が加速する日本において、負担と給付のやりくりが年々厳しくなる社会状況を考えると、デジタル化による行政業務の効率化・迅速化は急務といえるだろう。と同時に、社会生活におけるデジタル化の背景には、マイナンバーカードの普及が前提となっていることは間違いない。
これからの時代、マイナンバーカードは信用できない・抵抗があると拒絶する前に、まずはその利便性を享受しつつ、運用に非があれば国民から指摘し、改善を求めていくことも大切なのではないだろうか。

※参考/総務省HP、朝日新聞、日本経済新聞

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
20年以上にわたり、企業・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌・各種サイトなどの記事を執筆。長年の取材・ライティング経験から、金融・教育・社会経済・医療介護・グルメ・カルチャー・ファッション関連まで、幅広くオールマイティに対応。 好きな言葉は「ありがとう」。

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