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今年の投資環境からみるミドルリスク・ミドルリターン商品

【転載元】
日本クラウド証券株式会社
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今年は干支である猪のように、目まぐるしく変動する金融市場となりそうです。

米中貿易摩擦問題と報道合戦

グローバルな視点で見ると、直近では、米中貿易摩擦は米国、中国共に譲歩する動きから、リスク志向に向かうのではないかとの期待感が強くなっています。
米国ではムニューシン財務長官が「中国に課している追加関税を撤廃する提案をしている」との報道記事が、そして中国からは、「貿易不均衡の是正に向け、米国からの輸入拡大に向けた6年間にわたる拡大提案を行った」との報道も見られました。年間で1兆ドルほど減らし、2024年までに対米黒字をゼロにすることを目指しているとしています。
どちらも報道の範囲にとどまっており、両国政府が正式に発表してはいませんが、両政府の思惑が一致すれば、急速に金融市場環境は改善されるのではないかと推測されます。

下記グラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は一年間の米ダウ平均株価の推移を示しています。

これを見ると、年末大きく下落し、そして戻す動きとなっています(緑丸部分参照)。
この点は、米中貿易摩擦の報道合戦によるところが大きいと言えます。

現在の指数値は、昨年10月3日の高値26,828.36と昨年12月24日の安値21,792.20の半値戻し水準である24,310.78を上回ってきています。
しかし先程も述べたようにこれは報道合戦の結果であり、実際の進展度合いやトランプ大統領の予見できないリスクを考えると、とてもこのままリスク志向に向かうとは言い切れません。
投資家は今年、そんな市場環境に備えないといけないと言えます。
そんな訳で、筆者は今年の金融市場を乗り切るのは相当にしっかりとシートベルトを締めないといけないというのが正直な心境と言えます。

今後注目すべきクラウドファンディング商品とは

そんな金融市場では今後、ミドルリスク・ミドルリターンを目指すクラウドファンディング商品が注目されるのではないかと思います。
リスクが充満する最近の金融市場で、3%以上の利回りが確保できる商品はないのではないでしょうか。

クラウドファンディング商品では、太陽光発電や風力発電など、政府が買取り義務を課している自然エネルギーの受け皿を証券化しているようです。ここでは資金調達、つまりデット部分の優先・劣後構成における、劣後部分をファンドとして出資を募り、クラウド商品として販売しているのです。要するに、優先部分は金融機関から借り入れしており、その下の部分、メザニンでの資金調達と言えます。

仮に受け皿が破綻してしまうと、優先部分から残存資産が配分されますので、劣後部分は残存資産の配分は受け取れないリスクはあります。しかし、ビジネスモデルからして、また現在日本のエネルギー政策からして、破綻というリスクは限りなく少ないのが現状ではないかと思います。

そのような視点を持って、他の金融市場の代表的な商品の現状の環境も考察してみましょう。

国内外の債券市場

米債

の10年米国債利回りは現在2.80%前後です。FRB(米連邦準備理事会)はこれまで続けてきた利上げサイクルに打ち止めをかけるのではとの観測が強まってきています。
筆者の見解では、今年1回利上げに踏み切った後、当面は利上げを見送るのではないかと思っています。
米中貿易摩擦が長引けば、世界的な景気後退期に入る可能性があります。そうなれば必然的に安全資産としての米国債に資金は集まります。
結果、10年債は利回り上昇の局面ではなく、むしろ利回り低下の動きを強めるのではと推測しているのです。
去年のような3%を超える利回りには期待薄と言えます。

欧州債

現在、英国の欧州連合(EU)からの離脱、つまりBrexitが不透明という時間がどんどん過ぎております。
その相対であるユーロ圏に対しても、今年は景気後退局面に入るのではとの観測が次第に強まる傾向にあります。
これを受けてか、イングランド銀行とECB(欧州中央銀行)は、共に利上げに踏み切るタイミングを先送りしている傾向が見られ、資金供給も実質的には継続している現状があります。
詳しく数値を見てみると、英国債は10年1.35%水準、ユーロ圏指標国債独連邦債は10年0.30%水準です。また、財政問題で話題のギリシャ10年債4.20%水準、そしてイタリア10年債2.80%と言ったところです。

オセアニア債

こちらは最近注目されていませんが、先進国であり、カントリーリスクも少ない高利回り国債として脚光を浴びていました。
現在は、豪連邦債が10年2.40%水準、ニュージーランド債は10年2.40%水準です。去年のような3.00%を超える利回りを期待できる水準にはない状況です。
これらについては、中国との貿易関係に大きく影響を受ける国柄で、米中貿易摩擦の一喜一憂報道に大きく左右されると考えられます。
金利面のみならず為替も、本邦投資家にとっては円高にたびたび振れる豪ドル、ニュージーランドドルの相場環境です。利回りと為替相場の両方に目配りしないといけないのが現状です。

新興国債券

新興国というと、アルゼンチン、トルコ、ロシア、東欧と言った国々の債券を思い浮かべますが、やはり相当に研究しないと、本邦投資家にとってはなかなか難しい債券ではないかと思います。
その意味では、やはり投資対象としては、筆者は省くべきではないかと思います。今年もハイリスク・ハイリターンな新興国債券と言えます。

日本国債

日本国債の10年0.00%という利回りを、皆さんはどのように考えておられるでしょうか?
景気を下支えしないといけない日本銀行が現在も大規模な資金供給をしていることの表れが、日本国債の現状です。
銀行預金にも利子がほとんどつかないとなると、どうしても、30年前の預金環境を知っているご年配の投資家にはもどかしさを感じておられる方々が多いのではないかと思います。
その意味でも、やはり魅力がない日本国債と言えます。

米国と日本の株式市場


最初にグラフで示したNYダウ平均の株価のチャートを見ても、今年は大きな期待を描くのは無理ではないかと思っておられる方も多いのではと思います。
現状から10%上昇したとすると、27,200ドル水準です。これは昨年の最高値水準と言えますが、反対に10%以上下落するリスクを昨年末投資家は思い知らされています。
もしかしたら、それ以上の悪い金融環境になるのではと悲観的になってしまいますよね。

日本株式市場にも、今年は大暴騰の年になると予想している証券アナリストはほとんどいない状況で、こちらも悲観論が依然漂います。
現状の日経平均20,700水準から大きく水準を回復するのには、時間と内外の市場環境が良くなることが必要と考えます。
これが下落リスクを抱えながら上昇期待を持つ、投資家の現状ではないでしょうか。

まとめ

貴金属商品、原油商品などの考察は今回できませんでしたが、現状の金融商品の中で、クラウドファンディング商品の年利は大変魅力的であり、現在の不透明な金融市場環境下では輝く存在であると思います。
不透明な投資環境の下で、皆さんのポートフォリオでミドルリスク・ミドルリターンな商品比率を引き上げることは重要です。
特にこの先数年続くとしたら、複利で安定的に3%以上の投資を続けることが出来れば、結果的に大きなリターンを得ることになります。

«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。

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