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【ミャンマー】27日の死者110人超、届かぬ国際社会の非難[社会](2021/03/30)

ミャンマーで27日の国軍記念日に合わせて行われた当局側の弾圧で死亡した、抗議デモの参加者は110人を超えた。地元メディアが伝えた。クーデター発生後、1日の犠牲者としては最も多かった。日本を含む国際社会が強い非難を表明しているが、国軍側は同日夜に首都ネピドーで花火を打ち上げる記念日の祝宴を開くなど、意に介す様子はみられていない。

27日、ミャンマー・ヤンゴンの路上でタイヤからあがる黒煙(共同)

27日、ミャンマー・ヤンゴンの路上でタイヤからあがる黒煙(共同)

地元オンラインメディアのミャンマー・ナウによると、27日午後9時半時点で114人が死亡したことが分かっている。最も多かったのは北中部マンダレー管区の40人で、最大都市を抱えるヤンゴン管区が27人で続いた。北東部シャン州、東部モン州、南部タニンダーリ管区などを含む全土で犠牲者が出ている。2月1日以降の死者は累計で400人を超えた。

国軍にとって27日朝に行った軍事パレードは年間を通して最も重要な行事。26日夜には国営放送で、抗議を行う妨害者の「頭部を撃つ」と警告していた。それでも反旗を翻す市民のデモは収まらず、各地で銃によるちゅうちょない攻撃が行われた。

ミン・アウン・フライン総司令官はパレード閲兵時の演説で、昨年の総選挙で不正があったためクーデターは「避けられなかった」とあらためて正当化。「自由で公正な選挙の後、権力を委譲する」と説明したが、時期は示さぬままだ。演説は例年より長い30分余に及び、抗議デモを含む軍への反発勢力を非難したほか、「軍は国家を強くするために力を尽くしている」とも強調。外交筋は「残念だが、非難を気にする様子はなく、国を担う自信で満々だ」と評した。

暴力行為を続ける軍政に対し、国際社会は依然として一枚岩ではない。ロイター通信によると、式典には、ロシア、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、ラオス、タイの8カ国から外交官が参加。参加国こそ減ったが、国軍は夜に来賓を交えた祝宴で花火を打ち上げ、多くの国民の死を考慮する姿勢は皆無だった。国連安全保障理事会では、常任理事国の中国とロシアが国軍への非難を避けており、国連憲章の範囲内で具体的な措置に踏み込むといった介入は見通せていない。

■日本など、強い非難表明

式典に参加しなかった日本や米国など12カ国の参謀総長ら軍トップは同日、国軍側に対し「非武装の市民に軍事力を行使したことを非難する」との共同声明を発表。日本政府は28日に個別でも声明を出し、「軍は国民の生命を国外の脅威から守るための組織であることを指導部が想起すべき」と、国軍や警察の部隊が国民が死に至る弾圧を続けていることを強く批判した。

27日は国外のミャンマー人にとっても、悲痛な一日となった。タイで行われた「ミスグランドインターナショナル」最終戦に出場したミャンマーのミスインターナショナル、ハン・レイさんは晴れ舞台のスピーチで涙を流しながら「路上で民主化を叫ぶ人と一緒にこの舞台で民主化を求める。国際社会の助けが今すぐに必要だ」と訴えた。

地元メディアによると、28日午前もヤンゴン管区ライン郡区、北西部ザガイン管区モンユワなどでデモ活動が行われ、市民が手りゅう弾による攻撃を受けたもようだ。激しい弾圧を受け、屋外でのデモ活動は徐々に下火になっている。ただ、人々の悲しみと怒りは収まっておらず、ヤンゴン在住の36歳の会社員女性は取材に対し、「国内は完全に戦場に変わったが、不法で残忍な軍政に支配されたくはない」と話した。

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