【インドネシア】デンソーとGMSが実証事業[運輸](2021/01/15)

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デンソーはこのほど、東南アジアで事業を展開するスタートアップ企業のグローバルモビリティサービス(GMS、東京都港区)と共同で、インドネシアで小口冷凍輸送サービスの実証事業を開始した。市場規模が大きい一方で冷凍・冷蔵輸送が浸透していない小規模小売店や飲食店向けのコールドチェーン(低温輸送網)構築を目指す。

実証事業で使用している小型商用車(デンソー提供)

実証事業で使用している小型商用車(デンソー提供)

両社は昨年11月、コンサル会社インドネシア総合研究所(東京都渋谷区)の関連会社インドネシア・リサーチ・インスティテュート・ジャパンが運営する宅配専門の店舗「クラウドキッチン」事業向けに、鶏肉などの小口冷凍輸送を開始した。クラウドキッチンではこれまで伝統市場で鶏肉を調達していたが、食肉解体場からの直送に切り替え、価格や品質などの優位性を検証する。デンソー製の車載用冷凍機とGMSが開発したIoT(モノのインターネット)機器を搭載した小型商用車を利用し、庫内温度と輸送状況を遠隔管理する。実証期間は3月まで。

鶏肉は週に1回、ジャカルタから約30キロ強離れた西ジャワ州ボゴール県の鶏肉解体場からマイナス20度で直送している。11月は週に約100キロを輸送した。セントラルキッチン機能を持つ南ジャカルタの店舗に一時保管した後、調理した唐揚げなどと共に他の9店舗へも配送する。

解体場からの直送により、仕入れ価格を伝統市場より最大5割抑えられる。輸送コストを上乗せしても伝統市場以下の価格で提供できる見込みだ。

インドネシア総研のアルビー社長によると、小規模事業者の多くは伝統市場から鶏肉を購入しているが、30度前後に上る気温の中で常温陳列されているため、肉に特有の匂いがついてしまうことが多い。アルビー社長は「伝統市場の食材は新鮮というイメージもあるが、実際には温度管理ができていないことがほとんど。それを管理するだけでも味が変わる。提供する食品にも、より自信を持てるようになった」と話した。調達面の効率化により食品の廃棄量も減ったという。

伝統市場などでは鶏肉は常温で管理されることが多い(NNA撮影)

伝統市場などでは鶏肉は常温で管理されることが多い(NNA撮影)

■少量でも安く供給

近代小売店や外食チェーン向けのコールドチェーンは整備されつつあり、日本企業の参入も進むが、家族経営の飲食店や小売店など小規模事業者向けの小口の冷凍・冷蔵輸送は発展途上にある。特に鶏肉は流通量が多い一方で常温流通が主流と言われており伸びしろが大きい。

デンソーは実証事業の一環として、セントラルキッチンに約200リットルの市販小型冷凍庫4台を設置。セントラルキッチンを一時保管倉庫と位置づけ、今後は他の小規模事業者に対しても鶏肉の配送を行う。需要に応じて数や設置場所を柔軟に変えながら分散型のコールドチェーンを確立し、少量でも安く新鮮な食材を供給できる仕組みを目指す。将来は他の生鮮食品の輸送や他の東南アジア諸国への展開も視野に入れている。

実証事業の結果は両社それぞれの事業にも活用する。デンソーは実証事業中に洗い出した課題を基に、自社商品やサービスの商品開発にもつなげる。デンソーは主力事業のものづくりだけでなくソフト事業にも力を入れており、昨年11月には日本で車載冷凍機の稼働状況を24時間管理するサービスも始めた。

GMSは現地の提携金融機関・企業を通じて、IoTを利用した自動車ローン関連サービスを実施しており、実証事業で利用している小型商用車と運転手の手配は現地の提携企業が管理している。新たな物流事業の構築により、提携先と手掛ける自動車ローン関連サービスの需要も生まれると見込んでいる。

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