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【インド】デリーの感染者、累計50万人[社会](2020/11/20)

インドの首都ニューデリー一帯で新型コロナウイルスの感染が再び広がっている。デリーの1日当たりの新規感染者は、8月に1,000人前後に減少していたが、祭事期を迎えて人の往来が活発化したことで11月以降は7,000人超えが多発。累計の感染者数は18日夜の発表で50万人を超えた。地域政府は、市場の閉鎖やマスク非着用者に対する罰金引き上げなど、感染対策の強化を検討している。

ディワリを翌日にひかえ、買い物客でごった返すデリーの市場=13日(PTI)

ディワリを翌日にひかえ、買い物客でごった返すデリーの市場=13日(PTI)

デリー首都圏政府(州政府に相当)の発表によると、デリーでは18日に7,486人の新規感染者が確認された。累計の感染者数は50万3,084人となり、50万の大台に乗った。

デリーでの1日当たりの新規感染者は、6月に最多で4,000人近くに増えた後は減少傾向にあった。再び増加に転じたのには季節的な要因が関係しているとされる。インドでは例年、10~12月に大規模な祭りが開かれ、市場や商業施設が買い物客で混雑する。なかでも最大の祭りである「ディワリ(灯明祭)」が今年は11月14日に行われたことで、11月に入って以降、回避すべき「人が密集する」状況が各地で発生した。

オーストラリアの医療分野の調査機関ジョージ・インスティテュート・フォー・グローバル・ヘルスのオーメン・ジョン(Oommen John)上席研究員は、NNAのメール取材に対し「(個人による)感染対策の緩みに加え、祭りに伴う混雑が感染者の急増をもたらした」と指摘する。

医療関係者らは大気汚染による影響も指摘する。デリーの位置する北インドは、毎年10月ごろから野焼きや祭りの爆竹などで大気汚染が悪化する。住民は汚れた空気を避けようと窓や扉を閉じたままにしがちなため、密閉された空間が形成されやすくなる。

さらに呼吸器機能への影響も懸念だ。北部グルガオンのフォルティス病院で呼吸器科の医師を務めるマノジ・ゴエル(Manoj Goel)氏はNNAに対し、「デリーの大気汚染は新型コロナの状況を悪化させている。大気汚染で呼吸器系がダメージを受けていれば感染リスクが高まり、もともと肺が弱っていたり呼吸に困難があったりする人は、大気汚染と新型コロナが組み合わさることでより深刻な打撃を受ける恐れがある」と話す。

■結婚式の参加人数を引き下げ

デリー首都圏政府は対策を急いでいる。ケジリワル首相は17日の記者会見で、市場が感染のホットスポットになっているとして、「市場を封鎖する許可を中央政府に求めた」と明らかにした。翌18日には結婚式の参加人数の上限を200人から50人に引き下げる措置を決定。19日にはツイッターで「マスクの非着用に科す罰金を500ルピー(約700円)から2,000ルピーに引き上げる必要がある」と述べたほか、首都圏内の集中治療室(ICU)増加に尽力していることも明らかにした。

インドの中央政府は、新型コロナ対策として3月下旬から5月にかけて厳格な封鎖措置を全国で実施した。デリー首都圏政府の関係者によると、同政府は当時に匹敵するような封鎖措置をデリーで導入することは現時点では検討していない。市場や結婚式など特定の場所で規制を強めたり、罰則を通じて住民の警戒意識を高めたりすることで感染拡大を食い止める考えのようだ。

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