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【香港】地元ツアー解禁、旅行各社は受け付け開始[観光](2020/10/22)

香港政府が新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした規制を一部緩和し、域内団体ツアーの参加人数上限引き上げを承認したことを受け、地元旅行各社は20日、郊外の自然や観光地などを巡る新商品を相次いで発表した。市民からの問い合わせや申し込みも始まっているという。ツアーの参加費用は約100~400HKドル(約1,350~5,400円)。21日付明報などが伝えた。

地場大手旅行会社、縦横遊控股(WWPKGホールディングス)は12の地元団体ツアーの催行を計画。このうち298HKドルで香港ディズニーランドと同園の人工湖「迪欣湖(インスピレーションレーク)」、人気の飲茶専門店「添好運」での食事が楽しめるパックツアーには既に10人の参加申し込みがあり、実施が決まったという。

同社の袁振寧最高経営責任者(CEO)は「少なくとも20人が参加して元が取れる状態だ」と指摘。現状で社員には月14日間の無給休暇を要請しているといい、地元ツアーを催行しても売り上げは1~2%増える程度との見方を示した。「来月末をめどに無給休暇の日数を減らすか見極める」とも語った。

政府は20日、23日から地元団体ツアーの参加人数上限を現行の1団体4人から同30人に引き上げると発表した。公共の場で5人以上集まることを禁じる「集合制限令」が継続される中で、苦境が続く観光業への特例措置だ。一方で、マスクの着用義務やバスや船などの乗車・乗船率を50%以下とすることなど感染対策順守に関する誓約書への署名を求めた。行程も条件付きで、ツアーガイドらにも事前のコロナ検査を義務付けている。

政府の邱騰華(エドワード・ヤウ)商務・経済発展局長は20日の記者会見で「感染防止対策と経済・社会活動回復のバランスを取ることで、観光業界に営業の余地を与えられる」と強調した。

観光業界団体、香港旅遊業議会(TIC)の胡兆英(マイケル・ウー)名誉顧問は21日、官営メディアのRTHKの番組で、「ツアーガイドや運転手はやっと仕事ができる」とほっとした表情を見せ、海外の香港旅行に対する信頼回復も後押しすると期待感を示した。

ただ、経済効果は限定的との声は根強い。香港中文大学経済学部の荘太量(テレンス・チョン)准教授は地元ツアー解禁について、「旅行時の最大の支出は買い物、ホテル、航空券だ」とした上で、ホテル業や航空業まで波及せず「経済全体への貢献度は小さい」と予想した。雇用への効果もツアーガイドなど観光業の一部業種の増加にとどまるとした。

感染リスクへの懸念も消えていない。香港中文大学の許樹昌(デビット・ホイ)教授(呼吸器学科)は「人数制限を4人までから一気に30人までとは緩和しすぎだ」と指摘。ツアー参加者に感染者が見つかれば、全員が検疫を受ける必要が出てくるとし、「長期の持病がある人は参加しないことが最善の策だ」と述べた。

■800$消費で地元ツアー無料に

香港政府観光局(HKTB)は20日、政府の発表に合わせ、観光需要刺激策「賞ジ遊香港(フリー・ツアー、ジ=にんべんに尓)」キャンペーンを開始すると発表した。域内の小売店や飲食店で計800HKドル(領収書2枚まで合算可)以上消費すると、無料で地元ツアー1回分と引き換えることができる。先着順で、1万人分を準備した。公式ウェブサイトで27日から詳細を公表する。

キャンペーン実施に当たり、参加する旅行会社向けに計500万HKドルの補助金を拠出する予定。1人当たり500HKドルが補助される計算になる。12月末まで実施する。

同局の程鼎一(デーン・チェン)総幹事(事務局長)は21日のRTHKの番組で「消費刺激による後押しが観光業関係者の業務復帰につながれば」と語った。

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