【タイ】新アウトレット開業、タイ米合弁が140億円で[商業](2020/06/22)
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タイの商業施設開発・運営大手サイアム・ピワットと米国のアウトレットモール大手サイモン・プロパティー・グループの合弁会社サイアム・ピワット・サイモンは19日、首都バンコク東郊サムットプラカン県にアウトレットを開業した。投資額は約40億バーツ(約140億円)。初日は平日にもかかわらず午前中から大勢の客が訪れ、人気ブランドの店舗には入店待ちの列ができた。
「サイアム・プレミアム・アウトレッツ・バンコク」は、バンコクと東部チョンブリ県を結ぶ都市間高速道路(モーターウエー)7号線のラクラバン料金所の近くに立地し、スワンナプーム国際空港から車で約15分の距離にある。
サイモンが三菱地所と日本の9カ所で展開する「プレミアム・アウトレット」と同ブランドの施設で、敷地面積は150ライ(24ヘクタール)、店舗面積は約5万平方メートル。
200余りのブランドが入居する予定で、英国の「バーバリー」やフランスの「バレンシアガ」、イタリアの「フルラ」など60のブランドは、タイでアウトレット初出店となる。また、「ナイキ」や「アディダス」といったスポーツブランドが国内最大規模の店舗を構える。
サイアム・ピワット・サイモンのマイケル・タン社長は「数カ月前には開業準備が整っていたが、タイ政府が経済活動の制限を段階的に緩和するのを待っていた」と説明。6月1日に制限緩和第3弾が実施されたことを機に開業を決めたという。
現時点で入居店舗の65%が開店している。月内には70%が開店する予定で、年内には80%に達する見通し。サイモンが展開するアウトレットの入居比率は高級ブランドが10%、飲食店が15%、その他国内外のブランドが70~80%程度と決まっており、同アウトレットもそれに沿っている。各ブランドは、商品を定価の最大70%引きで販売する。
■当面は1日1万人目指す
タン社長は、国際線旅客機の乗り入れ禁止によりタイを訪れる外国人旅行者が4月以降ゼロとなっていることに言及し、「当面は国内の買い物客に照準を合わせ、1日当たり1万人の集客を目指す」とコメント。「バンコクだけではなく、チョンブリ県など東部からの買い物客も見込んでおり、そのうち90~95%は何かしら購入するとみている」と自信を示した。
外国人旅行者の入国受け入れ再開後は、現地客が60%、外国人客が40%になるとみる。外国人客のうち中国人が40~50%を占めるとみており、中国語を話すスタッフを配置する予定という。
スワンナプーム空港周辺では、タイの流通大手セントラル・グループの完全子会社セントラル・パタナー(CPN)が、昨年8月に国内初の本格的なアウトレットとなる「セントラル・ビレッジ」を開業しており、競争激化が見込まれる。同施設の第1期事業には、三菱地所が資本参加を発表している。
サイアム・ピワット・サイモンは2018年の設立当時、総額100億バーツを投じて、3年以内にバンコク周辺とタイ北部、南部の3カ所にアウトレットを建設すると発表していた。タン社長はこの計画について、「新型コロナウイルスの影響により、残り2カ所の出店場所や出店時期は未定」とした。