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【フィリピン】日系車各社、生産を一部再開[車両](2020/05/19)

フィリピンに拠点を置く日系自動車メーカー各社は18日、マニラ首都圏近隣のラグナ州に構える工場で生産を一部再開した。同国政府が外出・移動制限措置を一部緩和したことを受け、約2カ月ぶりの操業となった。衛生管理の徹底や出勤者を通常の5割までに抑えることなどが業務再開の条件になる。通常稼働に向けた第一歩だが、正常化には時間を要する見通しだ。

政府の外出・移動制限措置の緩和を受け、日系自動車メーカー各社は生産を一部再開した=2019年12月、マニラ首都圏(NNA撮影)

政府の外出・移動制限措置の緩和を受け、日系自動車メーカー各社は生産を一部再開した=2019年12月、マニラ首都圏(NNA撮影)

トヨタ自動車は当面、1シフトの勤務体制で工場を操業する。広報担当者はフィリピン工場について「おおむね問題なく生産を再開できた。シャトルバスを用意したことで、従業員の出社にも目立った支障はなかった」と説明した。今後は政府のガイドラインのほか、需要動向に沿って生産体制を調整していく考えを示した。

トヨタはフィリピン工場で、小型セダン「ヴィオス」などを生産している。年産能力は約5万5,000台で、2019年の生産実績は5万4,000台だった。

三菱自動車もフィリピン工場の操業を再開。現地法人の幹部は「まずは生産体制を整えることに注力する。国内外からの部品調達も再開した」と話した。フィリピン工場では小型トラック「L300」や小型車「ミラージュ」を生産している。

日産自動車は、提携先のユニベ―ション・モーター・フィリピン(UMPI)が、小型セダン「アルメーラ」の委託生産を再び始めた。各国のサプライチェーン(供給網)は回復に向かっているため、部品調達などに大きな問題は生じていないという。このほか、いすゞ自動車と日野自動車もフィリピン工場での生産を再開した。

工場の再開に当たって、従業員の出社には一部で乱れも生じた。日野自の現地法人担当者によると、大半の従業員が会社のシャトルバスを利用したが、18日には検問所が混雑し出社が遅れるケースもあった。

自宅からシャトルバスの乗車所までの移動手段の手配が難しい従業員がいることも分かった。日野自は別ルートのシャトルバスの提供も検討しているという。

政府は3月中旬からルソン島全域で外出・移動制限措置を実施し、今月初めからは首都圏などに対象地域を縮小した。16日からは厳格な制限措置を課している地域でも制限を一部緩和。多くの企業が条件付きで活動できるようになった。

ラグナ州は厳格な制限措置の対象地域に指定され、同州に工場を構える日系自動車メーカー各社は、従業員の出社を通常の5割までに抑えることやシャトルバスの提供、工場内の衛生管理の徹底、社会的距離の確保などが求められる。

生産の一部再開は通常通りの稼働に向けた一歩だが、正常化には時間がかかりそうだ。トヨタの広報担当者は「生産を再開したばかりで先のことはこれから」と話す。外出・移動制限措置の影響で年内は需要の減退が予想されるなど、自動車業界には逆風が吹いている。

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