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【タイ】商業施設が2カ月ぶりに再開[商業](2020/05/18)

タイ政府が3月26日に発令した非常事態宣言に基づき制限している経済活動の緩和第2弾を決定したことを受け、ショッピングモールやコミュニティーモール、百貨店といった大型商業施設が17日に営業を再開した。首都バンコクでは、3月22日から大半の店舗が閉鎖されており、約2カ月ぶりの営業再開となった。営業時間は午後8時までで、商業施設の運営事業者は検温や消毒、入店人数の制限などを実施し、感染予防を徹底している。

商業施設が2カ月ぶりに営業を再開した。バンコクの「サイアム・パラゴン」では午前11時の開店前に従業員が並び、感染予防策を徹底していることをアピールした=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

商業施設が2カ月ぶりに営業を再開した。バンコクの「サイアム・パラゴン」では午前11時の開店前に従業員が並び、感染予防策を徹底していることをアピールした=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

17日午前11時前、バンコクの高架鉄道(BTS)サイアム駅に直結する商業施設「サイアム・パラゴン」には、開店を待ちわびる人の列ができた。マスクとフェースシールドを着けた従業員が、列に並ぶ人に向かって前後の間隔を1メートル空けるよう呼び掛けていた。

来店客はマスク着用のほか、スマートフォンで出入り口に設置されているQRコードを読み取り、タイ政府が開発したアプリ「タイ・チャナ(Thai Chana)」を通じて来店時刻と退店時刻を打刻することが義務付けられている。高齢者や子どもなどスマホを持っていない場合は、QRコードが印刷されたステッカーが貼られ、係員が代わりに打刻する。これにより、各商業施設の運営事業者は店内にいる人数を把握できる仕組みになっている。

タイ政府は、商業施設の運営事業者に事前に通知した指針で、来店客1人に対して床面積5平方メートルを確保するよう命じている。サイアム・パラゴンを運営するサイアム・ピワットの広報担当者によると、同施設では来店客数を1時間当たり8,000人、1日当たり8万人に制限。同施設の延べ床面積は約50万平方メートルで、1時間当たり1万人、1日当たり10万人の受け入れが可能だが、「来店客と従業員の安全を確保するため、受け入れ能力より少なめに設定した」という。

入居する各店舗も店舗面積に従って入店人数を制限している=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

入居する各店舗も店舗面積に従って入店人数を制限している=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

新型コロナの感染拡大前の同施設の1日当たりの平均来店客数は20万人で、タイ人が6割、旅行者を中心とする外国人が4割を占めていた。現在タイへの国際線の乗り入れが禁じられており外国人旅行者がいないため、来店客数はこれを大幅に下回るとみている。「アプリの集計データを随時確認し、1時間当たりの来店客が8,000人を超えた場合は入店制限を実施する」(広報担当者)。入店制限に備え、来店客用の待ち合いスペースを確保しているという。

■「自粛疲れ」訴える声も

入り口付近に設置されたマスクの自動販売機。店内では従業員、来店客ともにマスクの着用が義務付けられている=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

入り口付近に設置されたマスクの自動販売機。店内では従業員、来店客ともにマスクの着用が義務付けられている=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

サイアム・ピワットはサイアム・パラゴンのほか、チャオプラヤー川沿いの「アイコンサイアム」など運営するすべての商業施設に、マスクの自動販売機や自動センサー付き消毒用ハンドジェル、消毒液噴霧装置、消毒カーペット、赤外線サーモグラフィーカメラなどを設置。マスクを着用していない人や発熱している人を感知するロボットも導入している。

従業員に対しては、マスクまたはフェースシールドの着用、オンラインでの勤怠報告、定期的な健康チェックを義務付けている。同社の商業施設は当面、午前11時から午後8時まで営業する。

開店と同時にサイアム・パラゴンを訪れ、高級ブランド店で財布を購入したバンコク在住の20代の女性は「オンラインでも購入できるが、ブランド品を購入するときは、実店舗で接客を受けながら買い物をする雰囲気も楽しみたい。ようやく店舗が営業再開してうれしい」と笑顔を見せた。

母親と同施設を訪れたバンコク在住の20代の男性は「特に買いたいモノがあるわけではないが、2カ月近く外出を自粛していたため、気分転換のために訪れた」と話し、「自粛疲れ」を訴える声も聞かれた。

【左】足元を消毒する消毒液噴霧装置【右】マスクを着用していない人や発熱している人を感知するロボット=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

【左】足元を消毒する消毒液噴霧装置【右】マスクを着用していない人や発熱している人を感知するロボット=17日、タイ・バンコク(NNA撮影)

■映画館など娯楽施設は引き続き閉鎖

タイ政府が15日付で官報に公示した決定事項によると、17日から営業再開が認められたのは、◇ショッピングモールやコミュニティーモール、百貨店といった大型商業施設◇小売店・卸売店・卸売市場◇子どもや高齢者、障害者を対象とした介護施設・宿泊施設・支援施設◇ホテル内の会議室・会議場◇美容医療クリニック・美容増進施設(顔付近の施術を除く)・ネイルショップ◇商業施設外のフィットネス場◇屋内外の公共プール◇植物園・博物館・公共図書館・美術館――など。再開に当たって店舗・施設ごとの条件や感染防止策も定めた。

大型商業施設と営業が許可された入居店舗は午後8時までの営業とし、映画館やボーリング場などの娯楽施設、足マッサージ店、会議場などは引き続き閉鎖対象としている。

タイ政府の決定を受け、バンコク首都庁(BMA)もこれらの店舗・施設の営業再開を認めると発表した。

タイ政府はこれに伴い、午後10時から翌午前4時までの夜間外出禁止令の開始時刻を午後11時とし、1時間短縮した。

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