【中国】肺炎の隔離基準を明確化[社会](2020/02/26)
中国国務院(中央政府)は25日、人を移動歴や健康状態などで高、中、低の3段階にリスク分類し、これを元に医学観察や隔離などの措置を採るよう各地の疾病予防当局に通知した。同時にオフィスや工場での感染防止管理についてもガイドラインを制定。新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の流行後、各地、各施設が独自に管理ルールを設定する動きが目立っていたが、今回の通知により規制の統一、規範化が進みそうだ。
国務院が発表した「法に依拠した科学的で的確な新型肺炎の防疫作業に関する通知」によると、人の健康管理については、移動歴や健康状態のほか、感染者との濃厚接触歴などにより3段階にリスク分類する。
「高リスク」は湖北省など高リスク地域から来た者、感染者、疑似感染者、隔離や医学観察を受けている無症状の感染者、施設や自宅で隔離措置を受けている濃厚接触者など。高リスクに該当する人は、湖北省から移動してきた場合は、目的地到着後、14日間の集中隔離観察を受ける必要がある。湖北省以外の高リスク地域から来た人は、集中または自宅での隔離観察を14日間受ける。無症状の感染者も14日間の隔離観察を受け、2回にわたるウイルス検査で陰性となった後、隔離観察を解かれる。
「中リスク」は感染者が一定数出ている中リスク地域から来た者、発熱や咳といった症状がある者、医学観察が解かれて14日未満の無症状感染者などが含まれる。管理措置としては、自宅での14日間の医学観察などが求められる。
「低リスク」の定義は、低リスク地域から移動してきた者のほか、高リスク、中リスクに該当しない人となっている。低リスクの人は体温測定の結果が正常ならば外出や出勤が可能としている。
低、中、高リスク地域の分類は、国務院が17日に新たな防疫の管理手法として導入を発表していた。省(自治区・直轄市)レベルの政府は、省内の各県(市、区、旗)を人口や新型肺炎の流行状況などに基づきリスク分類する。分類作業は現在進められているとみられる。
これら個人のリスクを証明する手段としては、各地方がそれぞれ導入している健康管理アプリを利用するか、アプリがない地域では独自の健康申告書を作成し、所在地域の管理当局の審査を受けた上で14日間有効の「健康通行カード」を発行してもらい、代替とする。健康管理アプリは上海市の「上海健康雲」や浙江省杭州市の「杭州健康碼」などがあり、主要地域で広く利用されている。
■オフィスビルでのマスク着用を明文化
通知では、オフィスビルや工場の管理についても「技術ガイドライン」として統一基準を定めている。多くの施設や企業で既に導入されている措置が大半だが、各社は現在のルールの改善点を探る上で参考になりそうだ。
オフィスビルや公共施設では入り口にマスク着用などを呼びかける表示などを掲げる。従業員には毎日、体温測定をする。オフィスビルのエレベーターのボタンは最低でも1日3回は消毒し、オフィス内も3回は換気すべきとした。疑似感染者が出た場合は速やかに付近の医療施設で診断を受けさせるほか、施設管理者を通じて当局に報告し、専門人員の指導の下でオフィス内の消毒などを行うと定めている。
工業企業の場合は、労働者の職場復帰に向けた事前の健康チェックのほか、従業員の退社後の行動についても、不必要な外出を避けさせるといった管理を求めている。感染者が出た場合の対応としては、内部拡散と外部流出の防止措置を採ることが必要とし、感染拡大の程度によって工場を一時閉鎖することも定めている。
ほか通知では住宅区や交通機関、商業施設、学校、刑務所、高齢者施設などに対する個別の技術ガイドラインを設定している。
通知の詳細は中国国家衛生健康委員会・疾病予防制御局のウェブサイト<http://www.nhc.gov.cn/jkj/s3577/202002/69b3fdcbb61f499ba50a25cdf1d5374e.shtml>で閲覧できる。