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【香港】飲食店の「中国人お断り」、条例違反の指摘[社会](2020/02/18)

「中国人の入店はしばらくお断りします」――。香港で新型コロナウイルスによる肺炎感染が広がっているのに伴い、この種の張り紙を掲げる飲食店が増えている。17日付星島日報によると、既に域内に100店ほどあるという。店側にとっては従業員や来店客の感染を防ぐ自衛策だが、人種差別を禁じた条例に抵触するとの指摘も出ている。

同紙によると、香港島・湾仔のある茶餐庁(香港式大衆カフェ)は、ウェブサイト上に「新型肺炎拡大のため、申し訳ありませんが、大陸人(中国本土住民)は受け入れられません」との断り書きを掲載している。「不衛生だったり普通話(本土の標準中国語)で注文された方(台湾人を除く)にも、お引き取りいただく場合があります」と念を押す記述もある。

女性店長は同紙の取材に対し「普通話を話していたら、どこから来たのか尋ね、本土から来た人であれば、お引き取りいただきます」と明言。「従業員や、他の客のためにはこうするしかない」と自衛手段を正当化した。

店頭に張り紙を掲げている店も少なくなく、同紙が確認しただけでも香港島・北角(ノースポイント)の麺専門店や同・西環のデザート店、九龍・旺角の茶餐庁などが「中国人は受け入れません」などと書いた張り紙を掲げていた。中には、香港政府の強制検疫措置を参考に、過去14日以内に本土を訪れた香港居住者まで入店拒否の対象にしている店も出てきているという。

こうした方策はいずれも、目で確認できないリスクを極力回避しようとの自衛手段だ。しかし、特定の国・地域の住民を丸ごと対象にする顧客選別は、差別意識を助長し、「反中」や「嫌中」感情に油を注ぎかねないとの懸念もつきまとう。

法定機関、平等機会委員会(EOC)で渉外を担当する何漢シン氏(シン=おうへんに探のつくり)もその一人で、「政府の人種差別禁止条例は、いかなる人や機関も合理的な理由がないまま、異なる人種・民族であることによって差別を受けることはないと定めている」と説明。こうした飲食店のようなサービスの提供拒否も違法になる可能性があるとの見解を示した。

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