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【香港】本土金融機関が香港人を排除か、論争盛んに[社会](2019/12/05)

香港で続く政府などへの抗議活動をきっかけに、中国本土系の金融機関などによる香港出身社員の排除や採用見送りが進んでいる、との臆測が香港メディアで広がっている。

きっかけは、中国国有商業銀大手・交通銀行の香港法人、交通銀行(香港)で首席エコノミストを務めていた羅家聡氏が今年10月突然辞職し、「香港人であることを理由に銀行を辞めるよう強要された」と英経済紙のインタビューで訴えたことだ。

3日付のフィナンシャル・タイムズ(電子版、FT)によると、羅氏は「私が香港人だったため、辞職を強要された」と背景を説明し、「彼ら(交通銀)は香港人が本土の銀行を代表して発言するのは適当ではないと考えたようだ」と述べた。

羅氏によると、行内では6月に香港の抗議デモが本格化して以降、本土と香港の出身者同士の分断が広がり、本土出身者が香港出身者の発言や意見を細かく監視するようになった。羅氏が地元ラジオに出演し抗議活動による香港経済への影響について「新型肺炎SARSが流行した2003年の方が打撃が大きかった」との見解を示したことに「上司が特に不満を持ったようだ」という。

羅氏は05年から交銀香港に通算14年間勤務し、辞職するまで同行を代表するエコノミストの一人だった。経済問題への発言を調べるなどの雰囲気は、14年に香港で起きた大規模な民主化要求デモ「雨傘運動」のころから徐々に広がっていたというのが羅氏の印象だ。

羅氏は「交通銀の動きは本土の銀行全体の『方針転換』を代表するもので、香港人を徐々に排除し、若者を採用しない方向に向かっている」と発言。FT紙は一部の本土系銀行や資産管理会社、会計事務所、弁護士事務所などを取材し、「(採用の際は)暴力に関わった過去があるかどうかを聞くつもりだ。彼らの要求のために暴力を使うことは認めない」「香港政府から違法と見なされた活動に参加した人材を雇えば、本土の顧客との関係に影響が出る」との発言を掲載したため、香港メディアの後追い報道に火が付いた。

4日付の地元紙・蘋果日報は、香港の人材コンサルティング会社、安俊人力資源顧問(AMACヒューマン・リソーシズ・コンサルタンツ)の周綺萍(アレクサ・チョウ)董事総経理を取材。周氏は「本土系企業の政治的な路線ははっきりしている」と前置きした上で、「デモの前線に立ったり、政治意識の高い若者を採用した場合、その企業にも政治論争を引き起こすようなイメージが付いてしまう可能性があるのではないか」と指摘。さらに「企業は面接だけでなく、ネット上の発言をチェックすることもあるだろう」と述べ、政治見解や活動履歴による学生の選別が進む可能性を否定しなかった。

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