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【中国】7月の工業生産4.8%増、一段と減速鮮明に[経済](2019/08/15)

中国国家統計局は14日、7月の主要経済指標を発表し、鉱工業生産額(一定規模以上の企業対象、付加価値ベース)は前年同月比4.8%の増加にとどまった。伸び率は前月を1.5ポイント下回り、2009年1~2月期(3.8%増)以来の低水準。投資や消費の伸びも鈍化した。中国経済の減速が一層鮮明になったことで、景気安定に向けた政策運営や米国との貿易交渉は一段と難しいかじ取りが求められそうだ。

統計局の劉愛華報道官は同日の会見で「月ごとに伸び率が変動するのはよくあることだ」と述べ、「7月の経済運営は全体的に見れば合理的な範囲に収まっている」と強調。一方で「足元の外部環境は非常に複雑で、国内経済の下振れ圧力は強まっている」との認識も示した。

7月の鉱工業生産の詳細を見ると、対象となる主要41業種のうち前年同月に比べ生産額が増加したのは36業種。伸びが高かったのは◇鉄道・船舶・航空・宇宙その他運輸設備製造業:15.7%増◇非鉄金属精錬・圧延加工業:10.3%増◇鉄鋼精錬・圧延加工業:10.0%増――などとなっている。自動車製造業は4.4%減少した。

主要生産品の生産量は◇セメント:7.5%増の2億1,003万トン◇板ガラス:5.5%増の7,801万重量箱◇自動車:11.5%減の185万4,000台◇携帯電話:4.5%減の1億4,041万台◇産業用ロボット:7.1%減の1万5,478台――などとなった。1~7月の累計では◇セメント:7.2%増の12億6,253万トン◇板ガラス:7.0%増の5億4,314万重量箱◇自動車:12.8%減の1,435万台◇携帯電話:5.7%減の9億6,236万台◇産業用ロボット:6.3%減の10万906台――だった。

鉄鋼関連や石炭は、7月が◇銑鉄:0.6%増の6,831万トン◇粗鋼:5.0%増の8,522万トン◇鋼材:9.6%増の1億582万トン◇石炭(原炭):12.2%増の3億2,223万トン――。1~7月では◇銑鉄:6.7%増の4億7,344万トン◇粗鋼:9.0%増の5億7,706万トン◇鋼材:11.2%増の6億9,776万トン◇石炭(原炭):4.3%増の20億8,855万トン――だった。

1~7月累計の鉱工業生産額は前年同期比5.8%増加した。

■固定資産投資、0.1P減速

その他の主要経済指標も振るわない。1~7月の固定資産投資(農村を除く)は5.7%増の34兆8,892億元(約527兆7,500億円)で、伸び率は1~6月を0.1ポイント下回った。

産業別の伸び率は、第1次産業が1.2%減、第2次産業が3.4%増、第3次産業が7.0%増。第2次産業は1~6月を0.5ポイント上回ったが、第3次産業は0.4ポイントの減速となり、第1次産業は減少幅を0.6ポイント拡大した。第3次産業に分類されるインフラ投資(電力、熱、ガス、水の生産・供給業を除く)は3.8%増で、伸び率は0.3ポイント鈍化した。

民間による投資は5.4%増、国有企業による投資は7.1%増だった。

1~7月の不動産開発投資は10.6%増の7兆2,843億元だった。伸び率は1~6月を0.3ポイント下回った。このうち住宅投資は15.1%増の5兆3,466億元となっている。

全国の不動産販売面積は1.3%減の8億8,783万平方メートルで、うち住宅は0.4%減の7億7,756万平方メートル。不動産販売額は6.2%増の8兆3,162億元、うち住宅は9.2%増の7兆2,431億元だった。

■消費にもブレーキ、新車販売が逆風

個人消費の指標となる小売売上高は、7月は7.6%増の3兆3,073億元だった。伸び率は前月を2.2ポイント下回り、約16年ぶりの低水準だった4月(7.2%増)以来の低い伸びにとどまった。1~7月の累計は8.3%増の22兆8,283億元となっている。

7月の消費の内訳は、飲食が9.4%増の3,658億元、商品小売りが7.4%増の2兆9,415億元。1~7月の累計は、飲食が9.4%増の2兆4,937億元、商品小売りが8.2%増の20兆3,345億元だった。オンライン小売り額は、1~7月の累計で16.8%増の5兆5,972億元に上った。

劉氏は消費の減速について「主な原因は自動車販売の低迷」と説明している。

■調査失業率は0.2P悪化

7月の全国都市部調査失業率は5.3%で、前月から0.2ポイント上昇した。主要31都市の都市部調査失業率も0.2ポイント悪化して5.2%となっている。

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