【台湾】16日に香港から資金流出か、台湾当局も注視[金融](2019/08/14)
香港から中国への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する香港での抗議活動に絡み、抗議者の間で16日に香港の銀行から預金を引き出すよう呼び掛ける声が広がり、台湾の金融機関が香港に持つ金融資産への影響が懸念されている。台湾金融監督管理委員会(金管会)は「台湾の金融機関が標的ではない」としたものの、状況を注意深く見守る方針を示した。自由時報などが伝えた。
香港では抗議活動の一環として、「香港と中国の資産売却」を目的に、香港の銀行から預金を引き出して海外の口座に移すよう、会員制交流サイト(SNS)やインターネット上で呼び掛けられている。実際に行われた場合、金融機関の流動性などに影響が出るとみられる。
金管会の顧立雄・主任委員(閣僚級)は、「預金の一斉引き出しが行われたとしても、台湾系金融機関の香港拠点は企業向けが主体のため、影響は軽微にとどまる」と指摘。リテール業務を手掛ける香港地場や外資大手の影響が大きいとの見方を示した。
金管会によると、台湾の金融機関(銀行、証券会社、保険会社)が香港に持つ今年6月末時点のエクスポージャー(保有する金融資産のうち、価格変動リスクにさらされている金額)は約1兆282億台湾元(約3兆4,500億円)。4月時点から約443億元増えた。このうち銀行が約7,352億元を占め、保険会社は約2,151億元、証券会社は約779億元だった。基金の投資分は含んでいない。
台湾の銀行が持つ支店などの香港拠点は現在71カ所。現時点までに抗議活動による大きな影響は出ていない。