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【日本】製造機器は日本ブランド信仰=ウズベキスタン[繊維](2018/12/10)

日本人の短期滞在ビザ免除や外貨売買自由化など、ミルジヨエフ大統領が2016年12月に就任して以降、経済改革が急ピッチで進むウズベキスタン。食品や衣料品企業のオーナー3人が6日、東京都内で講演し日本企業とのビジネスチャンスを拡大したいと訴えた。価格が高くても日本ブランドの製造機器を使用するメリットなどが示された。

ウズベキスタンの衣料品やビジネス資源を日本に売り込みたいと話すラウンドルーフスのシェルゾッド氏=6日、東京(NNA撮影)

ウズベキスタンの衣料品やビジネス資源を日本に売り込みたいと話すラウンドルーフスのシェルゾッド氏=6日、東京(NNA撮影)

旧ソ連時代から綿花や食品生産が盛んなウズベキスタンは、中央アジア5カ国では最も人口が多い(約3,266万人)が、日本企業の本格的な進出はなく、中国や韓国企業が目立つ。「中国企業がウズベキスタンでできるビジネスは既にやり尽くされている」ほど存在感が大きいという。

それでも、「日本企業との取引を拡大したい」と話すのは米国・ウズベキスタン合弁繊維メーカー副社長の経験があるアフメドブ・シェルゾッド氏だ。現在は自身が立ち上げたラウンドルーフス社の最高経営責任者(CEO)として、縫製品製造や縫製機器輸入を手掛ける。日本企業からは、織物の加工技術を学びたいと話す。ラウンドルーフスではJUKIや森本製作所といった日本の工業ミシンメーカーの機械を使っている。縫製品を輸出(販売)する交渉の際、製品の品質に関して信頼され、話が早く進むからで、日本ブランドの機器を工場内で使用するメリットは大きいという。

ウズベキスタンの人件費は中国の10分の1だが、物流コストやリードタイムがネック。縫製品の価格競争力では中国に負ける。そのため、オーガニックの綿糸など高付加価値製品で勝負をかける。シェルゾッド氏は、1年以内に東京・渋谷のファッションビル「SHIBUYA109」に出店したい、と意欲を示す。日本と関わることで企業としてのブランド力を高める狙いもある。

衣料小売店「アルボン(ALVON)」をウズベキスタン国内に23店舗持ち、衣料品生産のヤスカナム社創設者のクナザロブ・シェルゾッド氏は「買い物とは心が躍るもの。しかし、ウズベキスタン人が信用し、なじんでいる日本ブランドの衣料品店がないことは残念だ」と話す。

■食品加工も商機

ウズベキスタンは食品生産が盛んで、中央アジア域内向けの輸出も多い。食品加工業サモ・プロダクト社と家具製造業アート・メベル社CEOのダダホジャエブ・アブロール氏は、年間の晴天日数が300日以上あり、メロンをはじめとする果物の味は特筆すべきと話す。ゼリーの包装では、日本ブランドの機械と包装材を使っている。中国製の場合は水漏れがするのだという。アブロール氏はコメのもみ殻から飼料を生産する技術でも、日本企業と協業したい考えだ。

3人はいずれもセミナーの主催者である国際協力機構(JICA)が首都タシケントで運営するウズベキスタン日本センター(UJC)のビジネスコース修了者だ。

セミナーには、ファジロフ・ガイラット駐日ウズベキスタン大使も参加。日本人が陥りやすい「内陸国は物流コストが高く進出の障壁になる」という考えについて、「ウズベキスタンで生産して、域内へ輸出すれば逆にチャンスになるのではないか」と指摘し、日本企業のウズベキスタン進出や協業強化に期待を込めた。

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