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【インドネシア】非ムスリムの政治参加に不満[政治](2018/10/03)

インドネシアのムスリム(イスラム教徒)の間で、非ムスリムの政治参加に対する不寛容性が高まっている。インドネシア世論調査研究所(LSI)が実施した世論調査によると、非ムスリムが大統領になることに不満を表明するムスリムは過去2年間で48%から59%に増加した。来年4月の大統領選では、他宗教に寛容な姿勢をとるジョコ・ウィドド大統領を「非ムスリム」とみなす、保守系のムスリムたちが反大統領で結束を強める動きが進んでいる。

LSIは8月1~7日、全国の有権者1,520人を対象に調査を実施した。このうちムスリムの回答者は87%。

非ムスリムが大統領になることに「反対」と回答したムスリムは59%だった。2016年に実施した同じ調査で「反対」と回答した割合は48%で、17年が53%。過去2年間で10ポイント以上増えた。

非ムスリムが副大統領や州知事、県知事となる場合でも「反対」の回答は増加した。16年調査では「容認する」の回答がいずれも半数を超えていたが、17年に逆転した。10年に実施した調査では、非ムスリムが政府高官となることに「反対」するムスリムは32%にとどまっていた。

一方、今年の調査で、近所で開催される非イスラム教の宗教行事を「容認する」と回答した割合は5割以上だった。10年に実施した同調査では「反対」が6割を超えており、身近にある他宗教の行事に対しては寛容になりつつある傾向がうかがえる。

地元各紙によると、LSIのブルハヌディン氏は「17年4月のジャカルタ州知事選以降、政治家たちはムスリムの宗教的不寛容性の高まりに対策を講じている」と指摘した。ジャカルタ知事選では、再選を目指したキリスト教徒で華人(中国系住民)のバスキ元知事の選挙運動中の発言が「イスラム教を侮辱した」として非難され、大規模デモに発展。バスキ氏は選挙に敗れたばかりでなく、宗教冒瀆(ぼうとく)罪で実刑判決を受けた。ブルハヌディン氏は、今年6月に実施された全国統一地方選挙でも、イスラム色が強い候補者を立てる政党が目立ったと説明した。

■現職は宗教支持を着々

来年実施される大統領選では、再選を目指すジョコ大統領が、副大統領候補のペアにイスラム指導者会議(MUI)のマアルフ・アミン議長を選んだ。MUIは、ジョコ氏の政治的盟友だったバスキ氏を非難するデモを主催した団体でもある。

バスキ元ジャカルタ州知事の発言を巡って複数回のデモが実施された。写真は17年3月=ジャカルタ(NNA撮影)

バスキ元ジャカルタ州知事の発言を巡って複数回のデモが実施された。写真は17年3月=ジャカルタ(NNA撮影)

9月に故アブドゥルラフマン・ワヒド元大統領の娘、イェニー・ワヒド氏がジョコ大統領とアミン議長のペアを支持すると表明した。ワヒド元大統領は生前、インドネシア最大規模のイスラム教組織、ナフダトゥール・ウラマ(NU)の会長も務めた。NUの会員数は7,900万人以上に上るとみられている。

また、国内第2の規模を誇るイスラム団体のムハマディアは支持候補が割れている。ムハマディアを主要支持基盤とする国民信託党(PAN)は、ジョコ氏の対立候補で最大野党グリンドラ党のプラボウォ・スビアント党首の支持を表明したが、ムハマディア内ではジョコ陣営を支持する意見が増えているという。

■世論調査はジョコ優勢

インディカトル・ポリティック・インドネシアが実施した世論調査では、ジョコ大統領ペアの支持率が57.7%で、プラボウォ党首ペアの32.3%を引き離した。調査は9月1~6日に有権者1,220人を対象に実施した。各調査機関が2~8月に実施した調査でも、ジョコ氏が5割台、プラボウォ氏は3割台で推移している。

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