紳士服の社長が“スーツ”で富士山に?!ビジネスで周囲を巻き込む術
文化放送・The News Masters TOKYO、マスターズインタビュー。
今回のインタビューのお相手は、「紳士服のはるやま」でお馴染みのはるやまホールディングス社長・治山正史さん。
これまで細身のスーツや、しわになりにくいスーツなど画期的な商品を世に生み出しています。
そのパワーの源は、どこから湧いてくるのか?プロゴルファーで、The News Masters TOKYOのパーソナリティ・タケ小山が迫った。
子供の頃にみた商売の原点
最初は、治山社長の原点について聞いてみると「実家はどこにでもある商店街の洋服屋さんでした」と語りだした治山社長。
幼少期のある日、夜中に店の扉を叩く音で目が覚めた。扉の外には、目を真っ赤にはらした若夫婦が「祖父を亡くして礼服がいるんです!」とやってきたところだった。
すぐに礼服の用意をということで、当時店主だった治山社長の父は裾直しを、母はお茶を出して接客していたという。
治山:
帰る頃には若夫婦は穏やかな顔で帰っていきましてね。そこに商売の原点を見たような気がしますね。
スーツを取り扱うということは、冠婚葬祭や人生の節目節目に出会うものなので、ハレの日はもちろんのこと、辛いことにも隣り合わせのビジネスなのだ。
タケ:
そこに、喜びもありますか?
治山:
あります、あります。いまだに接客しますので。
社長は、続けてこんな体験も語ってくれた。
フレッシュマンのスーツをフィッティングしている時、カジュアルな服で来店していたお客様が、カーテンを開けたら別人のようにビシッとしていた。
これをみて、親御さんは「我が子が、こんなに立派な姿に...」と泣くという経験もこれまで体験している。
それをみて、「お金に関係なく役に立てている」というやりがいを実感するのだそうだ。
「社長がまた無茶を…しょうがないな」という雰囲気作り
治山社長の特徴は何と言ってもポジティブな面である。
皆さんは、この話を聞いてどう思うだろうか。
治山:
1万円なくすとしますよね?その後は、落とさないようにと気をつけますよね?5万円落とす前に1万円で気をつけるきっかけをもらえて、ラッキーということですよ。4万円儲かったということだから。ラッキーでしょ?
このポジティブさには、タケも動揺を隠せないが、要は、捉え方次第で人生はどうとでも変わるのだ。
その考え方は、このエピソードからもわかる。
タケ:
無理と言われたことも実現してきました。当時、前代未聞だった脚長スーツやシワになりにくい北京オリンピックのオフィシャルスーツ。これらは、すんなりいきましたか?
治山:
"宝くじは買わないと当たらない"。やらないと変わらないんです。まあ、ハズレくじもいっぱい買っていますけどね!でも"反省すれど、後悔はしない"の精神です。
一見無茶と思える社長のアイディアに対し、当然部下から反対意見もでる。しかし、それには普段の振る舞いがポイントなのだそうだ。
「社長がまた無茶言っているぞ、しょうがないな」という雰囲気、そしてキャラ付けをしておく。さらに...
治山:
根拠がなくても自信満々でいる。(根拠はないけど)絶対売れるから!と言うんです。
そこまで言われたら従業員も「そこまで言うんなら」となり、周りを巻き込んでいくのが治山社長流でもあるのだ。
スーツでフルマラソン、スーツでゴルフ
思いがけない成果を出したこともあった。
富士山に登ったときのこと、登る時は普通に登り、頂上で自社のスーツを着用し写真を撮影。あたかも「スーツで富士山に登りました!」という一枚をシャレで年賀状に貼り付けて送った治山社長。
冗談でやったはずが、「次はフルマラソンだな」と友人から言われ、やったことのないフルマラソンをスーツで走るハメに。
しかし、社長が走る姿は、社員の大きな励みになり、たまたま翌日に行われた社員の表彰式で、社員にあげるはずのMVP賞を逆に、社員から社長にサプライズ贈呈されてしまった。
話はここでは終わらない。次はゴルフの18ホールをスーツで回ることになった治山社長。スーツで回っているため周りからは「支配人が回っているぞ」「アホやな」と話題に。
タケ:
その時のほうが、スコアが良かったとか?
治山:
そうなんです。
タケ:
こりゃびっくりだ!大振りしないから!?
さすが、プロゴルファー・タケ。体に制限がかかるため、大振りしなかったことが幸いし、好スコアへと繋がったのだ。
意図して宣伝をするつもりはなかったが、心がけていたことを自分で実演した結果、話題になったり、それが人の励みに繋がったりしていることを我々は知らされた。