【インド】感染の第2波に警戒[社会](2021/03/18)
インドで新型コロナウイルスの感染が再び広がっている。1日当たりの新規感染者数は今月に入ってから増加傾向にあり、3カ月ぶりに3万人台に届く勢いだ。モディ首相は17日、地方政府の首長とのオンライン会議で「第2のピークを食い止めなければならない」と述べ、検査・追跡・治療の3点を徹底するよう呼び掛けた。感染者が急増している西部マハラシュトラ州は、ホテルや飲食店の収容人数を抑制するなど活動制限を続けている。
インドでは、1日の新規感染者数が10万人近くに上った昨年9月が、新型コロナの第1のピークとされる。その後は段階的に減少し、今年1月以降は1万人前後で推移していたが、3月から増加に転じた。17日に発表された新規感染者数は2万8,903人。モディ氏は「第2のピークを直ちに食い止めなければ、全国的な拡散が生じてしまう」と警戒感を強める。
会議では地方政府のトップと「いかにして公共の場で感染対策を継続するか」についても話し合った。最近のインドはマスクの着用や社会的距離の確保が以前ほど徹底されておらず、メディアや専門家が注意喚起する場面が増えている。
■人の移動が活発化
感染状況を地域別に見ると、マハラシュトラ、西部グジャラート、南部ケララ、カルナタカ、タミルナド、北部パンジャブの6州で増加が著しい。とりわけ商都ムンバイを抱えるマハラシュトラ州は1日当たりの新規感染者数が1万7,000人を超え、第1波の到来した昨年9月に近い水準にまで状況が悪化している。
オーストラリアの医療分野の調査機関ジョージ・インスティテュート・フォー・グローバル・ヘルスのオーメン・ジョン(Oommen John)上席研究員は、NNAの電話取材で「人々が感染対策を取らなくなったことに加え、鉄道の運行再開をはじめ人の往来が盛んになったことが増加の原因と思われる」と述べた。同州の州都ムンバイでは2月1日にローカル列車の運行が再開し、人の移動が活発になっている。
マハラシュトラ州政府は3月15日付の通達で、◇映画館・飲食店・ホテルの収容人数は50%以下◇医療など必須サービスを除く企業の出社率は50%以下◇結婚式の参加人数は50人以下――などの制限を3月31日まで課すと明らかにした。
■長期的にはリスク低下
野村グループは16日の報告書で「インドは第2波のフェーズに入った可能性がある」との認識を示す。3月下旬からアッサム、西ベンガル、タミルナドなど5州で議会選のキャンペーンが実施されるため、向こう数カ月は感染が拡大し続けると予測する。ただ、ワクチン接種の普及によって、数四半期かけてリスクは低下していくとみている。