【シンガポール】東急建設、BIM強化へ海外企業買収[建設](2020/07/09)
東急建設(東京都渋谷区)は8日、シンガポールのインドシン・エンジニアリング(Indochine Engineering)を買収すると発表した。海外企業を買収するのは初めて。コンピューター上に建物の立体モデルを構築し、建設工事の無駄を省くビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を活用したサービスを強化するのが狙いだ。
インドシンとは7日、同社の株式100%を譲り受けることで合意した。買収額は明らかにしていない。同社の資本金、売上高も非公開だ。
インドシンは、2015年創業。BIMによる設備設計・構造設計を手掛ける。ベトナム・ホーチミン市とオーストラリア・ブリスベンに子会社を持つ。ベトナムの子会社はエンジニア約80人を有し、アジア太平洋地域を中心にサービスを提供している。
東急建設では、施工でBIM活用を推進するため17年に専門組織を設立していたが、技術者不足が課題となっていた。今回の買収を機に、BIM関連の高度な技術を持つエンジニアを確保できるようになるという。
東急建設の広報担当者は「もともとBIMの領域を強化しなければならないという意識があった」と説明。今後はインドシンを通じ、まず日本国内のBIM業務を強化したい考えを示した。売り上げ目標は非公開だ。
東急建設によると、建設業界では人手不足や働き方改革などを受けて、生産性向上が大きな課題となっている。環境意識の高まりを背景に、二酸化炭素(CO2)排出量を把握できる建物などBIMを活用した案件へのニーズも高まっている。
東急建設は海外ではこれまで、政府開発援助(ODA)案件を中心に手掛けてきた。直近ではタイやインドネシア、バングラデシュなどで事業を展開している。