【タイ】鉄鋼タタ、需要減退で4~6月は43%減益[鉄鋼](2019/08/16)
インド系の鉄鋼大手タタ・スチール(タイランド)は15日、2020年3月期第1四半期(19年4~6月)の決算を発表し、純利益が前年同期比43%減の3,200万バーツ(約1億1,000万円)だったと明らかにした。純損益が1億1,700万バーツの赤字となった前期(1~3月)から黒字に転換したが、米中貿易摩擦の影響による世界的な需要減退などが響いた。
タタ・スチール(タイランド)のラジブ・マンガル社長兼最高経営責任者(CEO)は、世界的な需要減退に加え、世界最大の鉄鋼生産国でもある中国の自動車市場やインド経済の低迷、消費者信頼感の悪化なども影響したと話した。4~6月の売上高は前年同期比0.4%減の54億2,000万バーツの微減となった。
マンガル社長は一方で、依然として鉄鋼の需要が旺盛な小売りや不動産分野への販売を強化していることから、20年3月期の通期は前期比5~10%の増収となるとの見方を示した。ただ、タイを含むアジアでは中国製の鉄鋼の流入が拡大しており、現地で生産された鉄鋼製品の販売に影響を与える可能性があるという。
■中国HBISによる買収は白紙化
タタ・スチール(タイランド)は同日、中国の製鉄大手の河北鋼鉄集団(河鋼集団、HBIS)による買収について、計画を白紙化したと明らかにした。
タタ・スチール(タイランド)は今年1月、同社の筆頭株主であるTSグローバル・ホールディングス(TSGH)とHBISの完全子会社ヘブスチール・グローバル・ホールディングがシンガポールに合弁会社を設立し、TSGHが保有するタタ・スチール(タイランド)の全株式67.9%をこの合弁会社に売却することで合意したと発表。合弁会社の出資比率はヘブスチールが70%、TSGHが30%で、実質的にヘブスチールがタタ・スチール(タイランド)を買収する形になると見込まれていた。