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新たな潮流・エネルギー革命「RE100」。経済、投資に与える影響とは?

【転載元】
日本クラウド証券株式会社
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地球温暖化問題がますます深刻になるなか、ビジネスや投資の世界でも、短期的な利益追求とは異なる、長期の視点でみた持続可能な社会へ向けての新しい潮流が生まれています。

グローバル企業を中心とするエネルギー革命「RE100」や、機関投資家たちが重視する「ESG投資」などがその例で、こうした意識改革を注視していくことで、世界がどのように変化していくかを知ることができそうです。
今回は、経済活動から見た環境問題への取り組みについてご紹介しましょう。

200社以上が加盟するイニシアチブ

「RE100」とは、「Renewable Energy 100%(日本語では、再生可能エネルギー100%)」の頭文字をとったもの。
企業が使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標に掲げる企業が加盟する、国際的なイニシアチブのことを指します。

RE100に加盟するためには、企業活動全体で消費するエネルギーを、太陽光や水力、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーで100%調達することを宣言しなければなりません。期限として2050年までの実現を目標としており、達成目標年や、そこに至るための戦略などの活動報告の提出が毎年必要となります。

現在、加盟企業はIT企業から食品、アパレル、金融、自動車製造など多岐にわたり、2019年10月の加盟企業数は、205社(うち日本企業26社)におよびます。一例としてNestle、コカ・コーラ、NIKE、H&M、IKEA、Google、Apple、MicroSoft、ゴールドマン・サックス、BMWなど、非常に強い影響力をもつグローバル企業が多く加盟しているのが特徴です(日本企業からはリコー、ソニー、イオン、富士通など)。

RE100への加盟を宣言することは、自国のオフィスだけを“再エネ”にするという話でなく、世界に点在するオフィスなどを含めた企業活動全体のエネルギー変換が求められており、目標達成への強い意志が必要であることが分かります。

持続可能な社会の実現に向けて

たとえば、多くの電力を消費する巨大なデータセンターを持つAppleやGoogle、Facebookは、早くから再生可能エネルギーに巨大投資していることでも知られています。また、Appleはサプライヤー企業にも“再エネ”導入をうながしており、脱炭素社会に向けての広がりが、今後さらに加速していくだろうと予測できます。

こうした流れが大きく加速している背景には、2015年に開催された「COP21」で採択されたパリ協定があります。
パリ協定とは、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2度未満、できれば1.5度以内に抑える努力をすることや、今世紀中に温室効果ガス排出量を実質ゼロにしていこう……というもの。

その前年に、“企業版2度目標”といわれる「SBT」イニシアチブが設立されたこともあり、企業が温暖化問題に対応する具体的なアプローチを打ち出す姿勢が顕著に見られるようになりました。世界の消費者意識の高まりもあり、企業のブランドイメージや対外的アピールという点からも、環境負担の少ない新たなビジネスモデルの構築が迫られているともいえます。

また、再生可能エネルギーが従来に比べてコストダウンしていることも、ビジネス上、選択しやすい状況にあるといえるでしょう。

加えて、前述のAppleのようにサプライヤーにも再生可能エネルギーの導入を求めていくことは、取引上の競争力に何らかの影響力を与えていく可能性もあるわけで、こうした動きが高まるほど、次のイノベーションが生まれる機運が高まることになります。

機関投資家たちが重視する「ESG投資」

企業経営だけではなく、投資の世界でもこのような流れを受けた変化が、ここ数年顕著に見られるようになりました。企業の財務点だけでなく、サステナビリティー(Sustainability/環境・社会・経済の3つの観点から、この世の中を持続可能にしていくという考え方)について考慮しながら投資判断をする「ESG」投資と呼ばれるものが、いま、年金基金など大きな資産を長期運用する機関投資家などの間で広まっているのです。

ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の頭文字をとったもの。つまり、その企業がE=環境、S=社会、G=企業統治に対してどのようなスタンスを取っているのかを判断して投資していくものとなります。これを平たくいえば、

●どのように、環境問題に取り組んでいるか
●労働者の人権に配慮しながら企業活動を行っているか
●不祥事はないか

などといった観点において、企業価値が図られることにつながります。こうした点から、ESGに積極的ではない企業に対してはリスクが高いと判断され、投資マネーの引き上げも起こり得ることになるのです。

数字から見てみると、2016年時点で、世界の投資総額の4分の1にあたる2500兆円がESG投資運用額となっており、日本の年金基金も1兆円の投資を始めています。ESG投資への後押しが広まっている背景には、リーマンショック以降、超長期の視点で投資判断していくことが、ひとつの要因にもなっているようです。

──今回、駆け足で「RE100」や「ESG投資」についてご紹介しましたが、10年前には考えられなかった新たなうねりが、世界で拡大しています。
このような新たな潮流が生まれているなか、企業はいかに利益を確保し、社会に貢献していくのか……。大きく変動する社会情勢、地球環境のなかで、企業の責任が大きく問われていくことは間違いない事実でしょう。

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫ 
千葉出身。金沢在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。

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