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資金調達のポイント

1. 概要

経営において資金の有無は非常に重要であり、資金がなければ積極的な経営を行うことは出来ません。その資金を調達するためには、どのような点に注意すればよいか。この資金調達のポイントについて確認していきたいと思います。

2. 資金調達の方法は

資金調達の方法は、実は多くあります。調達の方法が多くてわからなくなる人もいるかもしれません。そこで、まずは資金調達の方法について以下の3種類に分けて整理します。

① 負債を増やす
② 資本を増やす
③ 既存の保有資産を現金化する

負債を増やす

「負債を増やす」とは、債務を増やすことであり、いつか返済しなければならないお金を借りることです。いわゆる借金です。この方法は、最終的には利息とともに借り入れた金額を返済する必要があります。

資本を増やす

次の「資本を増やす」とは、返さなくてもいいお金を集めることです。投資家などにお金を出してもらい、株式を発行して株主になってもらう方法です。集めたお金を返す義務はなく、株式の価値が低下しても、価値の低下部分に対して補填する必要はありません。この方法は、配当を支払うことが求められますが、会社の業績が悪ければ払わなくても大丈夫です。
株式発行等は、すべてのビジネスにおいて利用可能なうえ、メリットも大きい手段であり、多く用いられる資金調達手段です。

既存の保有資産を現金化する

最後の「既存の保有資産を現金化する」とは、手持ちの固定資産などを売却することや、不動産等を賃貸してお金を集める方法です。この方法を行うにはそもそも現金化するための資産が必要です。現金化する場合、実際の価値よりも減殺される可能性があることに注意が必要です。

3. 借入による場合の調達方法

ここまで3種類の方法を見てきましたが、短期間での手続きが可能で一般的に用いられる方法はやはり借入だと思います。では、その借入はどのような点に注意して行えばよいのか。知っておくべきポイントを確認したいと思います。

① 過去に取引のある金融機関に依頼する

既に借入をしたことがある金融機関での返済実績があれば、金融機関はそれほど審査に時間をかけずに融資を実行してくれます。

② 現預金残高を高水準に保つ

現預金残高が少なく、近い将来倒産するリスクがある企業は当然借入が難しくなります。銀行は、現預金残高が多く、何か不測の事態が発生しても生き残る可能性が高い企業に融資をしたがります。資金に多少余裕があっても普段から積極的な融資を受け、現預金残高を高水準に保つことが、いざという時の対策になります。

③ 金利と金額の比較

自社のステージに応じた資金調達を行う必要があります。
安定期に入った企業は、調達コスト(金利)を抑えて利益の拡大を図ることも必要です。投資に対する業績の反応が乏しくなるためです。一方、スタートアップ、成長期の企業は、融資により資金調達する場合、金利よりも調達額を重視することをおすすめします。投資の方向性を間違わなければ、業績に跳ね返ってきやすいためです。金利が高くても、調達可能額が増え、金利以上の利益率が投資先事業に見込めるなら、金額を重視して調達を行うべきです。

④ 取引銀行を分散させる

銀行の特徴として、支店長が変わると融資体制が変わります。したがって、リスクをとるタイプの支店長の時は、積極的に融資を受けることができても、保守的なタイプの支店長に変わった途端に融資を受けられなくなる恐れがあります。
また、融資を行う場合、全ての銀行が決算書のデータを評価しています。どのように評価するかは共通する部分が多いのですが、銀行によって、どの要素にどれだけの重みをおいているのかが多少異なります。つまり、評価方法の合う合わないにより、融資の可否が変わってきます。日ごろから、複数の銀行と付き合うことで、会社の状態にかかわらず安定して一定の融資を受けることができます。

4. 融資時の銀行のチェックポイント

銀行から融資を受ける場合、一般に銀行からは以下の書類を求められます。
・決算書3期分
・直近までの試算表
・借入金残高一覧

決算書の中でも特に重要となるのは貸借対照表です。
銀行はこの資料をもとに会社の安全性や事業活動における財務状況、お金の流れ、使い方の良し悪しを判断します。
それでは、具体的にA社の貸借対照表をみてポイントを確認していきます。

① 流動資産と流動負債のバランス

ポイントは、「流動資産>流動負債」となっているかです。流動資産とはすぐに現金化できる資産、流動負債はすぐに返さなければならない負債です。
つまり、すぐに返さなければならない負債より、すぐに現金化できる資産を有しているかをみているのです。A社の場合、流動資産が1,250と流動負債900を上回っているため、流動資産と流動負債の合計を見る限り問題ないと言えます。

② 自己資本比率

負債は返済・支払義務のある他人資本、資本は返済の必要のない自己資本です。他人資本と自己資本を合計したものが総資本で、総資本に占める自己資本の割合が自己資本比率です。
A社の場合、自己資本2,850、総資本4,750で自己資本比率は60%です。通常、50%を超えると優良企業と評価されるため、まずまずの自己資本比率と言えます。

③ 仮勘定

立替金、仮払金、仮受金などで、内容がはっきりしていれば別ですが、内容が明確でないものは資産状況を判断できず(たとえば、本当にすぐに現金化できる資産か不明)、前述の①や②の判断を正確に行えないため銀行はネガティブな印象を持ちます。A社は仮払金が500と流動資産に占める割合が大きいため、好ましいとは言えません。仮に、仮払金がすぐに現金化できないものであった場合、流動資産は流動負債を下回ります。

④ 社長貸付、役員貸付の存在

社長や役員の貸付金があるのもマイナスです。社長や役員への貸し付けは、回収可能かどうかが判断できず、銀行からは不良債権とみなされるので会社の評価は下がります
A社は社長貸付が400と大きいため、こちらもあまり好ましくありません。

また、上記以外の書類で中長期(3~5年程)の事業計画書を作成しておくと、融資後の投資内容や資金の回収・返済計画の実現性をアピール出来ますので、融資の審査にも効果的と言えます。

5. まとめ

今回の記事を通して、資金調達を行う上でのポイントは確認できたでしょうか。資金調達を行えるか否かは、その後の事業展開に大きく影響を与えることになります。
今回記載したポイントに注意しながら、滞りなく資金調達を行い、事業の発展に役立てていただければ幸いです。

南青山リーダーズ株式会社 編集部

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