フィンテックがお金を“見える化”した、簡単・便利な家計簿アプリ
月日が経つのは早いもので、2017年から新しい年にシフトしようとしています。
年末年始は何かとものいりで、出費が多い季節でもあります。気づけばお財布の中はレシートでパンパン、という人も多いはず。
そんなときに便利なのが、“レシート読み取り機能”が付いた「家計簿アプリ」です。このアプリは、フィンテックを使って面倒なお金の管理を“見える化”してくれるので、お小遣いだけではなく、個人の資産管理までできる、いま話題のもの。「フィンテックという言葉はよくわからないけれど、家計簿アプリなら使っている」という方もいらっしゃるのでは?
では、その家計簿アプリにはどんなものがあるのでしょうか。人気のアプリをチェックしてみましょう。
家計簿アプリが、フィンテックをわかりやすくした
「フィンテック」は英語で書くと「FinTech」となり、金融を意味する「Finance」と、技術を表す「Technology」を組み合わせた造語であることは、他の記事でもご紹介した通りです。日本語で意味するところは「金融IT」、「金融テクノロジー」などとなり、金融に関する難解な事柄をよりわかりやすくするIT技術である、とも言われています。
そして、ITを活用して少しでも便利かつシンプルに、そして速く処理することが求められる昨今に登場したのが、家計簿アプリです。フィンテックを理解するのに一番とりかかりやすいアプリのひとつ、とも言えるでしょう。
これまでは家計簿をつけるとなると、買った品物の値段や品目を書き出したり、入力したりする作業が必要でしたが、その面倒くささを一気に取り去ったのが、「レシートを読み取る機能」です。スマホのカメラでレシートを撮影するだけで値段や品目が自動的に入力されて支出額の合計がわかるなんて……なんと画期的! 簡単で便利ですよね。中には、カテゴリーごとに自動で分類して支出のグラフや表を作ってくれるアプリもあります。この取り扱いの簡単さが最大の魅力となり、家計簿アプリを利用する人が続出しているのです。
ラクなうえに、資産管理も可能な家計簿アプリ
では、実際にどのような家計簿アプリがあるのか、見てみましょう。
CMでおなじみの自動家計簿「マネーフォワード」は、550万人が選んだと言われる売れ筋アプリ。無料で利用でき、データを自動でグラフ化してくれるうえ、レシート読み取り機能が付加されている点が特長です。
特筆すべきは2,650もの金融関連のサービスに対応していること。銀行やクレジットカードとデータ連携することで、サービスの利用履歴や残高を自動で取得し、家計簿も自動で作成してくれます。対象となる銀行はもちろん、証券や投信、クレジットカード、マイルなどのポイント、電子マネーに通販、年金まで。これらを一括して管理できるので、現金以外のお金の動きがしっかり把握できるのです。レシートがない現金利用時は手入力できるので、登録も簡単。付け忘れ防止アラートがある点も便利ですね。
自動家計簿「マネーフォワード」は、いくつもある銀行の残高を一括で管理してくれ、クレジットカードなどのデータと自動連携して使用状況をしっかり管理できるなど、まさに至れり尽くせり。個人資産をシンプルかつスマートに管理するアプリといえそうです。
強みや魅力が異なる家計簿アプリも多種多様!
そのほかにも、こんなアプリがあります。
■zaim(ザイム)
現在、利用者数は700万人と日本最大級。銀行やクレジットカードとの自動連係に対応している金融機関は1,500です。よく行くお店の特売情報を自動で表示したり、医療費控除にあたる支出を自動で抽出してくれるなど、嬉しい機能も満載です。家計簿のアカウントを共有できるので、家族で節約意識が高まるという利用者も多いのだそうです。
■Moneytree
銀行やカード、電子マネー、マイルやポイントなどの口座を登録するだけで残高や利用明細が自動的に更新されるので、収支状況をすぐに確認できるアプリです。対応機関は現在2,600以上。マイルやポイントの期限切れ前に通知してくれるサービスもあるので、無駄なく使えそうです。シンプルでスタイリッシュなデザインも、人気の秘密かもしれません。
■Dr.Wallet
最大のポイントは、オペレータが撮影したレシートを目視して、手作業で家計簿データを作ること。レシート読み取り機能では文字化けなどでうまくデータ化されないことも多いのですが、Dr.Walletならどんな形状のレシートでもデータ化が可能です。しかもその精度は、99.98%というので驚きです。もちろん、プライバシーは厳守しているので、匿名性、安全性も高いシステムで対応しています。
データ流出などの危険性は?
ところで、これまで家計簿アプリをご紹介してきましたが、セキュリティが心配になっていませんか?
特に、“銀行やカード会社とのデータ連動”と聞いたとたん「とんでもない!」と思った方もいることでしょう。個人情報保護の時代、データ流出などのリスクは、ぜひとも避けたいところですよね。
アプリを提供する各会社はもちろんその点は心得ていて、かなり高いセキュリティ体制を構築しているようです。
例えば、マネーフォワードの場合は、外部のセキュリティ診断会社から第三者評価を受けて、サービスを提供しています。ユーザーから預かった情報は、通信時も保管時もすべて最高水準の暗号方式である「2048bit」のEV-SSL証明書を利用した方式で暗号化。さらに、大手金融機関の三菱UFJキャピタル、クレディセゾンなどが出資している会社として名を連ね、信頼を得ているのだそうです。
また、オペレータがデータの手入力を行うDr.walletは、細心の注意を払って入力データ化を行っているといいます。通信内容はすべて暗号化され、堅牢なセキュリティで暗号化されたうえで保存されています。
インターネットバンキングで振り込みや出金などで資金を移動するときに必要な第2暗唱番号や乱数表、ワンタイムパスワードなどの入力は、各アプリでは不要です。アプリの提供元に別の取引パスワードを預けることはありませんので、リスクについて過敏になる必要はなさそうです。どうしてもパスワードを入れるのが心配な方は、銀行などの連携機能を使わず、レシート読み取り機能のみを使って、現金支出の計算が簡単になるアプリとして使うのもひとつの方法でしょう。
── 画期的な家計簿アプリの登場。これでレシートと格闘したり、データの入力が面倒で挫折してしまった人がどれだけ救われたことか。家計簿をつける苦労から解放された人がいったいどれだけいるでしょうか。
ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、それほどの技術革新が金融業界に登場したのは、すべて「フィンテック」のおかげです。「フィンテック」は、すでに私たちの生活になくてはならないものになりつつあるのです。
≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、介護福祉士の資格を取得。現在は社会福祉法人にて障がい者支援の仕事に携わる。28年に及ぶクラシック音楽の評論活動に加え、近年は社会問題に関する執筆も行う。
【転載元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
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