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平成29年度地域別最低賃金、改定。昨年度よりどれくらい増えた?

2017年10月、平成29年度地域別最低賃金の改定額が出そろいました。会社勤めをしている方々にはあまりなじみがないかもしれませんが、何気なくもらっている給料=賃金をいざ計算してみたら「最低賃金を下まわっていた!」なんてことがあるかもしれません。計算方法は時間給、日給、月給によって異なりますので、本文の中で計算式についてもご紹介しましょう。
最低賃金改定は、労働に従事し、雇い主から賃金をもらっている(経営者の場合は支払っている)以上、すべての人にかかわる大切な制度ですので、今回は最低賃金額改定を機に“賃金”について考えてみることにします。

働く人全員に関係する「地域別最低賃金」

「最低賃金」を端的に言うと「労働者が不当に低い賃金で働かされることがないよう国が定めたもの」。労働者を雇う使用者(経営側)は労働者に対し、最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないことが法律で定められています。

最低賃金といってもその種類はふたつあります。ひとつが「地域別最低賃金額」です。
「地域別最低賃金額」は47都道府県ごとに定められていて、すべての使用者と労働者が対象となり、正社員、非正社員、パート、アルバイトなど雇用契約にかかわらず、支払われなければならない最低の賃金額を指します。
しかし過去には、最低賃金で働いて得られる収入を生活保護給付額が上まわるといった逆転現象が問題になったこともあり、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」こととされています。ちなみに、自分がもらっている賃金が最低賃金額以上かどうかは、次の方法で判別(表参照)できます。

最低賃金額以上か否かの判断は、対象賃金額を時間額に直して比較する必要があります

特定の産業について設定される「特定最低賃金」

「最低賃金」には2種類あると言いましたが、もうひとつが「特定最低賃金」です。これはその名の通り、ある特定の産業について設定されている賃金を示します。
具体的に言うと、地域別最低賃金よりさらに高い最低賃金を定める必要があるとされる特定産業向けに設定されたものが、特定最低賃金となり、例えば北海道であれば乳製品製造にかかわる業種など。2017年9月30日時点で233件の特定最低賃金が全国で定められています。

また、地域別最低賃金と特定最低賃金両者が適用されるケースでは、高いほうの賃金を支払わなくてはなりません。これは法律に基づくもので、使用者が最低賃金以下の賃金を支払っていた場合、使用者に50万円以下の罰金が科せられます。皆さんも一度、もらっている給料が最低賃金の基準を満たしているかどうか、確認してみてはいかがでしょうか。

最低賃金が最も高いのは東京都の958円

では早速、今回の改訂結果を見ていくことにしましょう。
その地域の物価等を鑑みて最低賃金は定められていますが……、
●最低賃金が最も高いのは東京都で時間額958円
●最低賃金が最も低いのは高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の8県で、時間額は737円

そして、昨年と比較した伸びについては、東京都が102.79%、神奈川県が102.80%、大阪府が102.94%となっており、それ以外の道府県では3%以上の伸びとなっています。最も伸び率が大きいのは徳島県の103.35%でした。

最低賃金法改正以降、差の拡大が顕著に

次にご紹介するのは、平成14(2002)年度から、平成29(2017)年度の最低賃金の推移です(グラフ参照)。

グラフに示した「地域別最低賃金の平均推移(棒グラフの黄色い部分)」と、「東京都の最低賃金(青い折れ線グラフ)」の推移を見てみると、一目瞭然どちらも年々上昇していることがわかります。さらに、東京都の最低賃金がこの調子で上がり続ければ、数年後に1000円の大台にのることは間違いないでしょう。

しかし、全国平均と東京都の最低賃金はいずれも右肩上がりではあるものの、少しずつながら差が開いていることもわかります。ワーキングプア撤廃を目的に最低賃金法が改正されて以降、その差の拡大が顕著になったようです。
さらに平成14(2002)年度から、平成18(2006)年度までは、全国平均と東京都の差が45円前後の平行状態で推移していましたが、平成23(2011)年度以降その差は拡大し、100円以上の差を示すように。同じ上昇トレンドとはいえ、差の広がりが顕著になっていることがグラフから読み取れますね。

労使トラブル件数が、過去最多を記録

賃金が上がる……、それは何より労働者にとって喜ばしいことです。家計にまわせるお金が増えるだけでなく、貯蓄にまわせるお金も増える。それは働く意欲を向上させるだけでなく、将来への不安を軽減させる意味合いをもちます。そして何より、経済の活性化といったメリットをももたらします。

一方、人件費を抑えることで利益を出している企業側では、最低賃金の上昇は頭の痛い問題です。残業代の未払いやサービス残業など、賃金にまつわる話題やトラブルは事欠きませんし、労働者の権利意識の向上に伴い、全国の労働基準監督署内など380カ所に設置されている「総合労働相談コーナー」に寄せられた相談件数は106万7210件にのぼり、助言・指導申出件数も1万363件と、1万件の大台を突破。これらの数字は年々増加傾向にあり、平成25(2013)年に過去最多を記録したと厚生労働省発表は発表(数値は平成25(2013)年5月31日付のもの)。

また、2017年9月29日に公表された総務省統計局「労働力調査結果」を見ると、8月では就業者数、雇用者数は56カ月連続で増加。完全失業者数については87カ月連続で減少しています。労働力不足が問題になっている昨今、最低賃金にかかわらず優れた人材を確保するために、賃金は今後も上昇することでしょう。ただだからと言って、何もせずに年収が大幅に上がるということはありません。労働にみあった賃金やより高いお給料を得るためには、やはりそれなりの能力などが求められるのは当然のこと。さらに賃金の上昇が続く一方で、人件費削減のためのさまざまな手法が新たに登場するであろうことは、過去の歴史を見ても明らかです。
これからの働き方を考えるうえで、納得のいく収入を得ることはもちろん大切ですが、そこで得た収入をもとに、自ら資産を殖やす視点が求められていることも間違いないようです。

≪記事作成ライター:林 明≫
翻訳通訳会社などでの勤務を経て、現在は専門誌の出版社で編集記者として取材、執筆に従事。海外留学時に、日々の暮らしの中で物価が急激に上昇していくのを目の当たりにし、「生活とお金」に興味を持つ。

【転載元】
日本クラウド証券株式会社
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