新商品の発売が続く「認知症保険」を探ってみた
身内や知り合いの中に、認知症の問題を抱えている方はいらっしゃいませんか。
高齢者の割合がますます増大していくに従い、噴出してくる問題の中のひとつに認知症が挙げられるのではないでしょうか。
常に付き添いが必要なケースもあるかと思いますが、訪問看護やデイサービスを利用すると介護保険だけでは費用をまかなえないケースもあるようです。
そこで登場したのが「認知症保険」。今後、高齢者割合の増大に伴い、ますます需要が増えると予測される「認知症保険」について探ってみました。
2025年には認知症患者が約700万人になると推計
認知症患者数は現在どのくらいで、将来的にはどのくらい増大すると予測されているのでしょうか。
早速、65歳以上の高齢者の認知症患者数と有病率の将来推計をみてみると、図の通り(有病率とは病を患っている人の割合)となります。
2012年は認知症患者は462万人。65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症患者である結果となっています。有病率は15%です。
2025年には、認知症患者は約700万人となり、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症患者となると推計されています。有病率は20.6%です。
認知症患者が約700万人となり、有病率が20.6%となる社会はちょっと想像できませんが、高齢者の生活をケアするビジネスは必要不可欠になってくることは違いないでしょう。あらゆるシーンで、高齢者のサポートサービスが充実することは望ましいことではありますが、どのサービスも無償で利用できるわけではありません。支払いは必ずついてまわってきます。さまざまなサービスを利用したいと思う場合、どこからか費用を捻出しなければならなくなるわけです。
介護費用はどのように捻出しているのか
介護が必要となった際、みなさんは実際に費用負担をどのようにやりくりをしているのでしょうか。「介護が必要になった場合の費用負担に関する意識」の調査を見てみましょう(図参照)。
1位(42.3%)を占めたのは「用意しなくても年金等の収入でまかなう」。
2位(20.3%)を占めたのは「必要なだけの貯蓄は用意している」。
合算すると62.6%の人々は、しっかりと将来設計を見越しているといえますね。しかし、すべての人々が準備万端とはいかないでしょう。「子どもから経済的援助を受ける」「不動産を担保にお金を借りてまかなう」「資産の売却等でまかなうことになる」という人々は確実に存在します。今後、介護費用をどう捻出していくかは大きな問題となるに違いありません。
「認知症保険」を比較検討してみた
こういった社会背景を踏まえた「認知症保険」が、昨今、人気傾向にあるようです。
朝日生命保険の「あんしん介護 認知症保険」(図参照・以下同)は、保障内容を絞り込み、認知症と診断されると保険金が支払われるタイプの保険です。支払い要件は、要介護1以上の認定を受ける必要があります。支払いは、年金と一時金の2タイプとなります。
太陽生命保険の「ひまわり認知症治療保険」は、認知症と診断されると一時金が支払われる保障内容がメインの保険です。ただし、認知症の状態が180日間以上継続することが前提となります。また、7大疾病など認知症以外の入院や手術でも一時金が支払われる保障も含まれています。
メットライフ生命の「Flexi S」は、入院や手術の給付金が主契約となる保険ですが、「終身認知症診断一時金特約」を付けることも可能です。また、持病や既往症がある場合でも入れる「Flexi Gold S」にも同様の特約が設定されています。
いずれの保険に加入する場合でも、自らが認知症になった場合を考慮すると、親族などに保険金請求をまかせる「代理請求特約」を申し込んでおくことも、検討すべき点のひとつといえるでしょう。
── そして、認知症を「他人事」と高をくくってばかりもいられません。若年性認知症がいつ自分に襲ってくるかもしれないからです。しかしながら疾患の内訳は多岐にわたります(図参照)。どのようなことが要因となるのかは、なかなか予測し難いことかもしれません。
とはいえ、将来設計を考えるのに早過ぎることはないと思います。家族や他人に迷惑をかけずに生きるためにも、保障内容を比較対象しながら早めに「認知症保険」への加入を検討しておく……、あるいは今からチョイスしておく……ことも、賢明な選択肢になるかもしれません。
≪記事作成ライター:川島大河≫
情報サービス会社、広告代理店などの勤務を経て、現在は供養関連事業(お墓、葬儀、終活など)の販促企画、セミナー・プロデュース、執筆・編集関連業務に従事する。「楽しく人生を過ごすために役立つ情報を分かりやすく提供」することがモットー。
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