吉崎誠二の「データで読み解く、不動産市況のいま④」【HISが仕掛ける「変なホテル」でも話題に!ハウステンボスの入場者数と中古マンションの関係】

(写真=iamwayclick /Shutterstock)

本連載の第1回目ではディズニーランドと不動産価格の関係について取りあげ、第3回目ではユニバーサルスタジオジャパンとの関係を取り上げました。何人かの読者の方から、次はハウステンボスについて書いてくださいとリクエストをいただきましたので、今回はハウステンボスと不動産価格について分析してみたいと思います。
ハウステンボスは、長崎佐世保市ハウステンボス町にあります。テーマパークの名前が住所になっている例は、(すべて調べた訳ではありませんが)大変珍しいと思います。オランダの街並みを再現した、日本最大級の面積を誇るテーマパークです。

ハウステンボスはいまでこそ、復活を遂げて盛況のようですが、その道のりは多難なものでした。
開業はバブルが崩壊した後の1992年3月で、スタート時はバブル崩壊後の不況下でも来場者数は順調でしたが、2000年が近づくごろから陰りが見え始め、ついに2003年には会社更生法を適用。テーマパーク内施設やホテルが閉館あるいは一部休館などに追い込まれます。私も2004年頃に、一度ハウステンボスを訪れましたが、平日だったからか、とても閑散としていた記憶があります。
しかし、2010年にHISによる支援が決まり、九州の大企業からのスポンサードを受ける等で徐々に息を吹き返してきました。
2010年以降の入場者の推移を示したのが下記の表です。

(ハウステンボスHP,リリース記事より作成。2010年は決算期変更に伴い、半期×2で簡易的に計算しています)

HISが関与し始めた2010年以降順調に入場者が増えていましたが、2016年度は少し減少しています。
ハウステンボスは、福岡中心部から特急電車や高速バスで約2時間弱、そして長崎市内からは約1時間半の場所にあります。中心地から近い、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンとはだいぶ状況が異なっていますので、これら2つのエリアのマンション価格との関係を見るには、少しムリがありますが、これまでの2つのテーマパークと同様の分析を行ってみることにしましょう。

(マンション価格データは東京カンテイ のデータより)

福岡市はマンションが多い街として有名です。世帯数に占める分譲マンションの戸数を示す指標に「マンション化率」という数字がありますが、東京23区に次いで2番目となっています(ちなみに、3位は神戸市)。確かに福岡を訪れると、福岡の中心部から周辺部にはマンションが多いという印象を受けます。マンションの多い街といえば、日本でも海外でも同じように、港を中心に発展した街という特徴があります。香港、シンガポールをイメージすれば、その特徴が分かるように、港町は狭い場所に背の高いマンションがズラリと並んでいる印象です。

ハウステンボスの来場者は九州圏内からも多いようですが、アジアからのインバウンド客の増加が来場者数増につながっているようです。また、先に述べたように、福岡市や長崎市から距離もあります。そのため、来場者数とマンション価格の関係に相応な因果関係はないと思われますが、一応相関を調べてみました。相関係数はハウステンボス入場者と福岡市内の中古マンション価格の間では0.78、長崎県内の中古マンションとの間では、0.89とともに高い値となっています。
相関係数は高いですが、因果関係があまり見当たらないので、「見せかけの相関」ということになると思いますが、数字だけみると「興味深い」と思えますね。

ハウステンボス隣接地には、HISが運営する「変なホテル」が誕生し注目を集めています。「どんどん変化するホテル」としてロボットが活躍するホテルです。こうした新しい話題をどんどん生み出すことで、ハウステンボスは単なるテーマパーク以上の存在になっていくことを期待しています。


吉崎 誠二
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産研究所 理事長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/


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