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ビットコイン(仮想通貨)は消費税が課税されるのか?

camera_alt (写真=Alexander Kirch/Shutterstock.com)

日本における仮想通貨の認知

ビットコインを中心とした仮想通貨利用がグローバルに拡大しています。

日本でも、インターネット上の仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」を運営するMTGOXが平成26年2月に東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されたと発表されました。

債務が資産を上回る債務超過に陥っており、顧客が保有する75万ビットコインのほか、購入用の預かり金も最大28億円程度消失しておりました。顧客層は外国人が大部分であったといわれておりますが、この事件をきっかけに日本でも仮想通貨の存在が広く知られるようになったように思います。

仮想通貨の特徴と資金決済に関する法律(以下、資金決済法)の改正

仮想通貨とは、インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用でき、中央銀行等の公的な発行主体や管理者が存在せず、専門の取引所を介して円やドル・ユーロ・人民元等の通貨と交換できます。しかし、資金決済法の改正の成立前、仮想通貨は「通貨」ではなく「モノ」という扱いでした。そんな中、平成26年にビットコイン取引所「マウントゴックス」の運営会社MTGOXが破綻しました。

仮想通貨が単なるモノであるならば、その交換業者にも規制をかけることができません。取引が野放しだと、犯罪組織に利用されるおそれもあります。利用者保護やマネーロンダリング防止のためには、仮想通貨に別の位置づけを与えて交換業者に規制をかける必要があり、資金決済法の改正へとつながりました。

資金決済法改正後の仮想通貨

改正のポイントは大きく分けて2つあります。1つめは仮想通貨取引所を登録制にして、金融庁が監督官庁になるということです。この改正により、金融庁に取引所への検査権限を付与し、業務改善命令や業務停止命令などの行政処分を出せるようになり、行政の仮想通貨市場への介入が可能となりました。2つめは仮想通貨の位置づけがより明確になり、「財産的価値」と定義されました。この改正により「貨幣の機能」を持つと認定することで、決済手段や法定通貨との交換に使えると正式に位置づけられます。

資金決済法と消費税法

資金決済法の改正により仮想通貨が支払の手段として位置づけられましたが、消費税法上の取り扱いは不透明な状況にありました。現在は、仮想通貨も何らかの価値を有する「モノ」として、消費税法上資産として評価でき、その譲渡は「資産の譲渡等」に該当すると考えられています。

消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課することとしております。この資産の譲渡等のうち、課税になじまない一定の取引については非課税の規定が設けられています。

通貨や小切手等は支払手段に該当し、消費税法上は非課税とされています。また資金決済法上の前払式支払手段(電子マネー等)については、物品切手等に該当し非課税となります。

しかし、仮想通貨については現行の消費税法上、非課税対象取引と規定されておりませんでしたので、仮想通貨の譲渡は消費税が課税されると考えられていました。

仮想通貨の消費税非課税化

仮想通貨が支払いの手段として法的に位置付けられたこと等を踏まえて、平成29年度税制改正大綱に、仮想通貨の譲渡を非課税とする項目が盛り込まれました。この適用は平成29年7月1日以降に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れとなります。国内において行われる資産の譲渡等のうち、非課税とするものを掲げる消費税法別表第1に仮想通貨が明示されていませんでしたので、政令により規定されることとなりました。

このほか、経過措置として平成29年6月30日に税抜100万円以上の仮想通貨を保有する場合、同日の仮想通貨の保有数量が29年6月1日から平成29年6月30日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入れに係る消費税には仕入税額控除を認めないとしています。

まとめ

以上の通り、仮想通貨の税務上の取り扱いが整備されつつあります。事業上で仮想通貨を取り扱う場合、最新の税法をキャッチアップし、無用な税金を払うことがないよう留意する必要がありそうですね。


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