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吉崎誠二の「データで読み解く、不動産市況のいま ①」【東京ディズニーランドの入園者の数とマンション価格の不思議な関係】

(写真=PIXTA)

一見、なんの関係もなさそうな2つの出来事。

しかし、データを細かく分析すると、意外な繋がりを発見できるということがあります。
 
「北京での蝶の羽ばたきが、ニューヨークで嵐を起こす」。つまり、「非常に小さな事象が因果関係の末に大きな結果につながる」というものです。これは、“バタフライ効果(butterfly effect)”と呼ばれています。

このことは、気象に代表される科学の領域などでは、よく見られます。

例えば、「南アメリカ沖の海水温が上がると、〇〇国に上陸する台風の数が増える・・」や「北極の氷が解けると・・どこかでのトウモロコシの収穫が減る・・」などといったことを聞いたことがあると思います。

不動産の市況でこんな現象はないものかと、色々とデータを集めてみました。そしてExcelをいじってみました。“ドンピシャ”は、なかったものの面白いものを見つけたので、お伝えするとともにエコノミストの視点でお伝えしてみたいと思います。

>>次ページ 東京ディズニーランドの入園者の数の推移は?

東京ディズニーランドは、ここ1年入園者の伸び悩みが伝えられています。

図のように、リーマンショック後の落ち込みから2011年度に反転、2013年度まではプラス、そして2015年度はマイナス3.8%となっています。2016年度は、執筆時(3月23日)にはまだ終わっていませんが、上期2016年4月~9月がマイナス0.3%となっていますので、下期に大きなイベントもなかったことを考えると、年間を通じては横ばいかやや下落となりそうです。

「今年度から500円の値上げを行ったことが原因か?」ともいわれているようですが、オリエンタルランド社では、「客足に影響はない」ということのようです。

「価格が上がると、客数が減る」というものでもなく、「価格を安くしても、売れない」というものもあります。価格の上昇と品質(品、サービス、満足度)が上手く合致していれば、価格が上がっても、客足が減らないということもあります。「進化をし続ける、予約の取れない人気のレストラン」などがそのイメージでしょうかね。

>>次ページ 不動産投資の平米単価の推移は?

そう単純じゃないのが、不動産の価格です。

不動産の価格水準を見るとき、首都圏などの日本の大都市においては、中古マンション価格をベースにすることが最もわかりやすいと言われています。中古マンションは取引事例が多く、また安定的に取引があるためです。

こちらは、2002年から最近までの首都圏における中古マンションの平米単価の推移です。2002年から2008年は上昇、そしてリーマンショックの後に少し下がりましたが、その後2012年以降は右肩上がりで推移しています。図表中にはありませんが、このあと2016年は横ばいとなっています。

>>次ページ この2つのグラフから読み取れることは?

これら2つのグラフを重ねてみます。

ミニバブル期に向けてディズニーランドの入園者は、マンションほど伸びていませんが少しづつ増えています。

2つの関係を示す相関係数は0.72と計算されました。相関係数は、2つの引っ張られ感を−1から+1までで示すものです。プラスならば相関の関係で、片方が増えるともう片方も増える。逆にマイナスならば、逆相関の関係で片方が増えると片方が減る関係です。また、0.2~0.4はわずかな相関、0.4~0.7はやや相関、0.7~は強い相関となります。

このディズニーランドの入園者と首都圏中古マンションの関係は、0.72ですので、強い相関ということになります。2つのグラフを重ねると分かるように、なんとなく似たような動きになっています。

相関が強いということですので、ディズニーランドの入園者が増えると、首都圏のマンション価格が上がる可能性が高い、そしてその逆も言えるわけです。

2016年ディズニーランドの入園者は横ばいか、やや低下。マンション価格はほぼ横ばいという状況でした。ディズニーランドの入園者は定期的に公表されます。この数字を見ていると、マンションン価格の動きが予測できるということになりそうです。

2017年のマンション価格はどうなるのでしょうか?買い時か売り時か?を見定めるためにも、東京ディズニーランドの動きをウォッチすることは欠かせないことかもしれません。

吉崎 誠二
不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学大学院 博士前期課程修了。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。公式サイトhttp://yoshizakiseiji.com/