【第2回 工藤崇のFP-Solution】災害の被害を「最低限にする」ためにリーダーは何が出来るのか。

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大阪・京都圏の大地震、西日本豪雨や大型台風、そして北海道胆振東部地震と、立て続けに震災が続いています。気象予報や地震予知の技術が確立してきているとはいえ、まだ日常の平穏な生活が突然、緊急事態に変わってしまう災害。災害のニュースがいったん沈静化しても、経営者は自社業績が受けた著しい被害からの復興、従業員の生活が元に戻るまでの時間は大きな損失となります。

では、経営者はこれら災害に対して、特に予測されていた情報を活用して「被害を最低限にする」ことはできたのでしょうか。

1、JR西日本の「計画運休」

今回の台風に対して、JR西日本の取った対応が注目されました。それは「計画運休」というものです。計画運休とは、前日というあらかじめ早い時期に告知し、時間を指定したうえで列車の運行を止めるというもの。これまで交通機関は災害の状況を見ながら、列車運転見合わせという判断を下していました。

あらかじめ告知されると、営業先への訪問が難しくなり、「会社に待機しよう」という機運が高まります。そもそも自宅から職場オフィスまでの足も不透明なものになるため、自宅待機やリモートワークという判断を下しやすくなります。今回のJRの判断は、通常運転という判断を下した私鉄や、本来このようなメッセージを発する役割の行政の発表遅れもあり、「動かせる路線は動かして欲しい」と賛否両論を巻き起こしているようですが、新時代の意思決定を期待させる素晴らしい決断だったと思います。

参照:産経新聞 http://www.sankei.com/west/news/141014/wst1410140035-n1.html

2、インターネット社会で「実損害」より大事にされるもの

当然、会社として休業にしたり、従業員に臨時休暇を与えたりするのは、予期せぬ損害が生まれます。災害は余裕のある時に来るとは限らないので、月末目標の達成や危うい時期や、決算前などに、「多少の被害が生まれても日常営業にしたい」と考えるのは経営者として、ある意味では妥当な感覚ともいえるところ。

ただ、昨今はインターネット、さらに細かくいうとSNS社会です。結果的にでも無理を強いた従業員のコメントは、瞬く間に世界中に拡散し、多くの人が見るものとなります。よく、「就業中のSNS利用は禁止」と取り締まっている会社は多いのですが、社員の家族はもちろん、周囲の第三者が見てネガティブな意見を書き込むこともできます。先日の台風でも、大雨のなか、ピザを運んでいたバイクが転倒する映像が拡散しました。その映像に対するコメントで最も多かったのは、「こういう時の注文は企業として断ることはできないのか」、「この店舗は従業員のことを考えていないのではないか」という、企業の姿勢や緊急事態への対応を批判するものでした。これらは計画運休のように予め準備できるものではなく、あくまで経営者の咄嗟の判断が要求される「臨時対応力」です。

インターネット社会で「実損害」よりも大事にされるべきものは、飛び道具となる風評被害や、従業員への不丁寧な態度です。特に災害時は、様々な人が情報を集めてインターネット界隈に滞在していること、そして感情が緊迫していることから、そのような
態度は会社に大きな損害を与えることとなります。


3、今回の災害を気に、Technologyで「会社の在り方」を見直してみては

とはいえ今回のように1-2カ月で様々な災害が訪れると、経営者としてはそう頻繁に災害時対策となることに不安を感じてしまうのではないでしょうか。そこで大切なのは、日頃から突発的な事態が発生しても対応できるよう、「会社の在り方」を考えておくべきではないでしょうか。

代表的なものがリモートワークです。今回の一連の災害を見ていると、リモートワークに積極的な企業はパソコンを自宅に持ち帰り、いとも自然に対応した一方、改めてリモートワークの必要性が従業員から訴えられた企業も多いでしょう。もちろん業種によって、セキュリティの問題など、一様にリモートワークを進められない理由はあると思いますが、今後「職場にいなくても出来るようになる」環境が整うのは間違いありません。

ここで活用できるのがTechnologyです。SNSを使った出勤管理やChatへの参加、円滑な動画を活用した遠隔会議など、それまで当然のように会社で行われていた仕事方法を代替できるものに溢れています。いまや顧客とSNSをすることも、少しずつ当たり前になってきました。

従業員のデジタルリテラシー(理解力)やTechnologyに対する賛否など、超えなければいけない壁はいくつもあるように思えます。ただ、次代の趨勢もあり、今後前向きに導入している企業が「災害に際しても従業員のことを考えている」というポジティブな評判を得られるのも事実です。


日常生活に戻った頃に、再び訪れる災害に対し、経営者は何が出来るのか。
それは事前準備なのか、それともとっさの判断なのか――。

経営者として会社への被害を「最小限」とするために、さまざまなものが求められているといえるでしょう。今回の災害を期に、より強い会社を作っていきましょう。



【プロフィール】
工藤 崇
FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。スタートアップ経営者としてシードラウンドまでの資金調達完了済み。本社は東京都港区虎ノ門。

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