【中国】自動車年間販売が4千万台へ[車両](2021/05/13)
中国自動車業界団体の全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)は11日、中国の自動車販売台数が将来的に少なくとも年間4,000万台以上になるとの見方を示した。2020年の販売台数から6割近く増える計算。自動車の電動化に伴う製品寿命の短縮と自動車普及率の低さを理由に挙げた。中国市場の規模化を受けたパイの奪い合いがさらに過熱しそうだ。
自動車販売店などが加盟する業界団体の中国自動車流通協会(CADA)とともにまとめた4月の乗用車市場の分析報告で明らかにした。4,000万台が実現する時期については触れていない。
報告によると、自動車の電動化が進むにつれ、自動車の製品寿命は大幅に短縮し、これまで15年以上だった使用サイクルが10年前後まで短くなると予想される。中国の人口14億人余りに対し、自動車の保有台数は5億台の水準で、保有規模は国民1,000人当たり300台と低い状態にあり、自動車市場の発展余地は非常に大きいと分析した。
同じく業界団体の中国自動車工業協会によると、中国の20年の新車販売台数は前年比1.9%減の2,531万1,000台。4,000万台に達すれば、20年から約1,500万台積み上がる計算だ。
中国自動車工業協会も18年、「中国の自動車産業は年産5,000万台規模まで拡大可能で、国内販売は4,000万台まで増える」との見通しを示していた。
報告では将来の乗用車市場にも言及し、「現在は段階的な発展途上にあり、乗用車の販売規模は今後も拡大を続ける」と指摘。高齢者や未発達地域の外出需要の拡大などに伴い、大都市を中心としたマイカーの普及が農村部にも広がるとみている。
北京市などの大都市では配車サービスの引き合いが高まっているものの、マイカーの普及には影響しておらず、「今後は公共交通機関ではなく、マイカーで外出するスタイルが広がる」と指摘した。
5月の乗用車市場は、新型コロナウイルス感染症の国内抑え込みを受けた需要の回復と運転免許証の保持者の増加が自動車消費を促す要因になると指摘。政府による農村部での販売促進策が「新エネルギー車(NEV)」市場を押し上げることにも触れた。
1~3月に運転免許証を取得した人の数は839万人で、前年同期に比べ538万6,000人多かった。コロナ禍の影響がない19年同期比では38万7,000人増。
一方、直近で続く車載半導体の不足がメーカーの生産停滞につながり、自動車販売に悪影響を及ぼすと懸念を示した。
CPCAによると、中国の4月の乗用車販売台数(広義の乗用車、小売りベース)は前年同月比12.4%増の164万3,000台。1~4月は前年同期比50.6%増の682万3,000台だった。
■輸出も好調見通し
中国の今年の自動車輸出については、「乗用車が市場を押し上げる」と見通した。中でも中東とアフリカ向けが強く伸び、欧州やメキシコなどの市場向けも期待できるとみている。上海汽車集団や長城汽車など中国自動車大手各社の東南アジア工場からの輸出も一定の効果を上げるとした。
NEVの輸出も成長に向かうと指摘。新型コロナウイルス感染症のまん延によってインド向けが低迷しているものの、欧州向けが急伸していると報告した。NEV分野の欧州市場の開拓は中国業界の国際化にとって重要な意味を持つとして、素早く市場を開拓するよう業界企業に呼び掛けた。
中国税関総署によると、中国産自動車の1~4月の輸出台数は前年同期比83%増の58万5,000台。輸出額は約2.1倍の88億8,200万米ドル(約9,633億4,000万円)だった。1台当たりの平均単価は12%上がって1万5,200米ドルとなった。
■NEV8割増へ
NEVの国内販売は今年も強く伸びそうだ。
12日付経済参考報によると、中国証券会社の開源証券は、中国の今年のNEV販売台数が前年比79.9%増の245万8,000台になるとの見方を示した。米テスラや比亜迪(BYD)、NEV新興勢力の販売が拡大するほか、中国通信機器大手の華為(ファーウェイ)などのIT、インターネット各社が既存自動車メーカーの製品スマート化、電動化を助けることも販売を押し上げる要因になると分析している。
民生証券によると、世界の今年のエコカー販売は523万台となる見通し。中国は5割近くを占める計算だ。
CPCAによると、中国の4月のNEV販売台数(小売りベース)は前年同月比2.9倍の16万3,000台。前月比では12%減った。このうち電気自動車(EV)は前年同月比3.1倍の13万2,000台、プラグインハイブリッド車(PHV)は2.3倍の3万1,000台。
1~4月の累計販売は前年同期比約3.7倍の60万台で、このうちテスラは9万5,125台。中国産テスラ車の4月の輸出台数は1万4,174台だった。