【シンガポール】コロナ追跡データ、重大犯罪の捜査に利用[社会](2021/02/02)
シンガポールの国会で1日、新型コロナウイルス感染症に関する「COVID19(暫定措置)法」が改正され、感染者の接触者追跡アプリなどから収集した個人データを、警察らが犯罪捜査に利用できるようになった。7種類の重大犯罪が対象で、罰則も規定された。
警察または法執行官が犯罪捜査に利用できるのは、訪問者登録システム「セーフ・エントリー」、接触者追跡アプリ「トレーストゥギャザー(TT)」、民間企業が開発したTT類似の追跡端末「ブルーパス」で収集した個人データ。これまでは感染者の接触者を追跡するためだけに利用されていた。
セーフ・エントリーは、小売店や企業の事務所などを訪問する際に利用が義務付けられており、氏名や連絡先などを記録する。TTは位置情報を記録しないが、搭載端末同士の近接履歴を収集。TTのスマートフォン向けアプリおよびTT搭載の端末「TTトークン」の利用は任意だが、既にシンガポールの人口の8割余りが利用している。ブルーパスは、スマホの持ち込みが限定される石油製油所の作業員などが使っている。
政府は追跡ツールから収集されるデータを、爆発物や銃火器など危険物の所持・利用、テロ関連の活動、傷害・殺人、死刑の可能性がある薬物犯罪、悪意ある目的での保護観察からの逃走、誘拐、重大な性犯罪の7種類の犯罪捜査に利用する。
個人データを不正利用したり、漏えいさせたりした公務員および下請け事業者には、最大で2万Sドル(約158万円)の罰金または最長2年の禁錮刑、あるいはその両方を科す。
今回の新規定は、COVID19(暫定措置)法が有効な期間のみ適用される。新型コロナが終息し、セーフ・エントリーや接触者追跡アプリが必要なくなった後は、データの収集およびその利用は行われない。